きっとどこかの物語

2008.05.06
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どうにもならない


どうにも鳴らない鐘が
吹く緩やかな風にもベルを揺らさない
本体に呼応しているかのように
中のベルを揺らさない

どうにも鳴らないので
諦めて鐘台から遠ざかってみた
遠くに遠くに行って鐘など忘れようとした
しかし僕はまだ


遠くにいく程その思いは高まり
耐え切れなくなったと確信したときに
もう足はせわしく地面を蹴っていた
何日も何年でもいい
時間など惜しまない
あの鐘に僕はもどった

見慣れた風景
懐かしい風の感触
僕はあの鐘台の下まできていた
鳴らしたい
お前をどうにも鳴らしたい

思いは風になるとどこかで聞いた
一陣の猛烈な風が吹きつけ鐘をめちゃくちゃに揺らした
はじめて聴く高い音が響いた
鐘の大きさに比べ
とても盛大とはいえない音だった

けれど僕の心は躍っていた
どうやらあの鐘は
どうにも鳴ったらしいのだ





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Last updated  2008.05.06 12:56:43


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