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2013.02.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「馬鹿みたいだな。
人と自分を
比べてしまうのって。」

「突然どうしたの?
何のこと?」


百合は
不可解な顔をして
瞳を上げ
悠馬を見た。


そんな百合の声に
急に我に返って
言葉を濁した。


「別に何でもないんだ。
ただ呟きたかっただけ。
何でもないよ。
人は人だって言うこと。」


それを聞いて
百合は小さく
明るく微笑んだ。


「人は人?

当たり前のことじゃなあい?」

悠馬は
ちょっと照れたような表情を作って
「そうだな」と言うような
優しい素振りを見せた。




どう付き合っていようが
俺には関係ないってこと。
人と比べるようなことじゃないし。
でもさ。
そう想ってはいても
やっぱクラスメートだからか
どうしても友達の動向が
気になっちゃうんだ。」


百合は
「そう」と言いたげに
言葉を返した。


「この間も
ア~ちゃんと春君と
私達4人でダブルデートして
映画を皆で観たばかりでしょ?
楽しかった?」

「うん。
まあね。」


悠馬は
素直に頷いた。


「そう。
じゃ良かった。
春君やア~ちゃんだけじゃないし
カップルになって
今付き合ってるのは。」


悠馬は
フフフと
ちょっとニヒルに苦笑いした。


「だよな?
道哉なんか既に
彼女歴3人目だって言うし。」


百合は言った。


「何?
何が言いたいの?
付き合った人数?」


「まさか!
俺せんだっても春明から
悠馬は愛に一途だよなって
褒められたばかりなんだぞ。」


百合は
ほんのりと顔を赤らめた。


「そう?
嬉しいな。
ありがとう。」


暫くの間
ちょっとした沈黙があった。


悠馬は想った。


もしかしたら
恋って言うのは
こうしたような
言葉にならない風情って言うか
ちょっとした微妙な雰囲気の中にある味わいや
醍醐味なのかもしれないな
と。


いたずらに言葉を交わして
相手と親しくなることだけが
恋の醍醐味ではないように
感ずるらしい。


時間と距離感が
恋を育てることもある。


そう想うようだ。


ああ
そうだ。


思い出した。


確か
そう言えば
いつだったか
あれは
諒太郎伯父さんが俺に


「悠馬
たとえ離れていても
たとえ小さな諍い事で
互いを傷つけ合っても
互いの心が通い合い
繋がり合っていれば
恋は必ず成就するよ。
しないのは初めから
その人と縁がないのさ。
1番大切なのは
相手を大切に想う気持ちだと想う。
そうした優しい気持ちと忍耐の情が
互いの恋を深めさせ
互いの愛情を充実させ
人間を成長させてゆくんだからね。」



そう
教えてもらったことを。


伯父さんは続けざまに
こうも言ってたような気がする。


「年頃になれば
誰かを好きになるのは当然で
至極自然なことだと想う。
何も特別なことじゃない。
むしろ逆に
自分の殻に閉じこもったり
閉鎖的になったり
投げやりな気持ちになったりして
自らが恋する気持ちを遠ざけてしまうほうが
ずっと問題で異常だってことを
悠馬には知っておいてもらいたい。
悠馬
あのな。
大事なのはね。
大切な人を
大切に想うってことさ。
単純なことだろう?
大切な人を
大切に想い
大切に扱って
大事にしてゆくと言うこと。
たった
それだけのことなんだよ。」


そんなふうに話して
遠い目をしていたことを
今しがた懐かしく
脳裏に思い起こした。





百合が
傍らで言った。


「はい。
バレンタインチョコ。
ちょっと小さいけど。」


悠馬は
差し出された小さな包みを受け取り
「ありがとう。」

お礼を述べた。


「食べるの
何か
勿体ないな。」


「チョコは
食べられるのを
待ってるのよ。」


「そう?」

「そうよ。」

「じゃあ
分け合って食べよ。」

「いいのよ私は。
チョコあげたほうなんだし。」

「遠慮するなよ。」



しょうがないわねと
クスクスと笑い出す百合を見て
「何だよ」と言いたげな表情の悠馬だった。


男は
いつまでも子供だと百合は想う。


でも
そんな悠馬が何故か
愛しく感じられる。


なんやかんや言ってはいても
自分のことを気遣ってくれ
悠馬は優しくしてくれる。


とても嬉しく
有難いと想う。


手つなぎ愛は
幼いかもしれないけれど
今は
それで充分だ。


無理に
背伸びなんかはしたくない。


それに何よりも
今1番心に嬉しく感じるのは
人を好きになることって
いいことだなあって想うこと。


素晴らしいなあって想う。


好きな人がいるって
とっても心が温かく
有難いことだと
つくづく幸せに感じるらしい。


百合は
チョコの包みを
大事にそうに持つ
そんな悠馬に目を遣りながら
優しい表情を作って
ニッコリと笑い掛けた。


悠馬が
そんな百合を見て
微笑み返したのは
言うまでもない。







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Last updated  2013.02.07 19:23:17
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