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2010年01月18日
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カテゴリ: ウマく行く恋愛術


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
授業と授業の狭間に設けられた、短い休憩時間。
俺は、ただ1人の面影を探していた。

女生徒の流れの中に、おかっぱ頭が垣間見えた。
(あ。志波君。どうしたの?)

俺は、平静を装いながら質問した。
声が震えている事実に、気付かれてはいけない。

「今度の日曜日、空いてるか?」

相手は、普段通りのぽっかりした表情だった。
(うん。暇だよ、どうして?)

俺は、何気無く提案を述べた。
「ああ。ライブハウスに、行かないか?」

途端に、弾んだ声がボールの様に返って来た。
(うん。是非)

俺も、釣られて笑みが零れた。
「良かった」

(じゃあ)
彼女は、頭の中に”カレンダー”を思い浮かべたのか目線を外した。
(今度の日曜日、駅前広場で、待ち合わせで良い?)

「ああ」
俺は、微笑を噛み締めながら答えた。
「日曜、晴れると良いな」

当日、俺はまた遅刻してしまっていた。

交差点の向こうに、小さな背中が混じっている。
あの娘は、俺が好きな黒色のブラウスに花柄のフレア・スカートを合わせニットのショールを羽織っていた。

近付こうとすると、突然下品な大声が耳朶を打った。
「はぁい!!彼女!!猛烈簡単アンケートに、答えて欲しいんだけど!!」

最近、はばたき駅前で幅を利かせている”キャッチ・セールス”の一員だ。
あの娘は、誰であれ”無視・知らぬ振り”が出来ない。

(困ります。待ち合わせしてるし)
案の定、応じている様子だ。

噂では、若王子貴文先生から懇願され転校生へのお見舞いにも通っているらしいし。
俺は、舌打ちしながら”全力疾走”に切り替えた。

相手は、小娘の”断り文句”になんか怯む様子は無かった。
「すぐに、終わるから!!お茶もケーキも、ご馳走するから協力してよ!!」
益々、調子付いている。

俺は、間髪を入れず割って入った。
「アンケートに答えたら最後、何を売り付けるつもりだ?」

キャッチ・セールスの男は、薄っぺらなマニュアルの答えを並べ立てた。
「当社自慢の深い眠りに誘う学習セットを・・・は?」

俺は、怒ると声が低くなりしかも笑えて来る。
「ははは。そりゃ、傑作だ。俺にも、見せてくれ」

相手は、漸く俺の存在に気付いたらしかった。
「え。そ、それは!!」

俺の横目には、女の子が此方をちらちら伺う眼差しを映していた。

「あ。いや、その」
この勝負だけは、絶対に負けられない。
俺は、”気迫”を武器にした。
「金なら、ある。連れてけよ」

相手に隙を与えないスピードで、畳み掛ける様に迫った。
「それとも?俺には、見せられないのか」

俺は、近寄ろうとする彼女を目線で制した。
そして、まごまごしている男に言い放った。

「だったら!!こいつは、やれねぇ。俺が、貰ってく」

自慢にはならないが、俺はダチから”背が高過ぎて、威圧感がある”だの”目付きが悪い”だのと注意されて来た。
此処は、それを大いに活かした。

幸い、チンピラにも”話が、通じた”らしい。
「ど、どうぞ!!僕は、消えまぁす!!」
後ろも振り向かず、走り去って行った。

「大丈夫か?悪い。遅れたばっかりに」
取り合えず、ずっと蟠っていた”侘び”を告げた。

(うん。ありがとう。志波君)

こっちは、心臓が脈打っている。
ところが、彼女は小首を傾げたまま何か別の事に関心を抱いた様子だった。

(ね。さっき、最後に何て言ったの)
な、何だ?
その詰問は。

俺は、さっきまでとは違う意味で慌てた。
「あ、あれは。大した事は、言っていない。それより」

話をすり替えがてら、大事なお願いを言って置いた。
「ああ言う奴には、気を付けろ。俺も、遅刻しない様に気を付ける。判ったか」

彼女は、こくんと頷いただけだった。
そればかりか、先程と同じ質問をまた聞いて来た。

(うん。それで、さっきの・・・)

俺は、タイミングを計りながら踵を返した。
「それ以上言ったら、置いて行くぞ」

まったく。
これからは、豪い事になりそうだ。

天然で。
無神経で。
鈍感。

そうは思いながら、胸の奥では面白くて仕方が無かった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
男性の”恋心”は、最初から”照準”が確定しており急に動き出します。
そして、一旦”アクセル”が踏み込まれると道も外さず決してスピードが緩められません。

男性の”買いもの”と、女性の”ショッピング”の違いを比べて頂ければ喩え易いでしょう。男性は、何にしてもじっくり検討し見極めてから動きます。

だから、azareaは”我も我もと回数ばかり追い求める恋愛観”には懐疑的なのです。
あれでは、女性にのみリスクが高いのです。

志波勝己君の恋愛感情も、パラメーター的には”運動能力&気配り”みたいですが(爆)走り出すと迷いがありません。

恋愛には晩生で不得手な”クドかない男”である彼が、難攻不落の”クドかれない女”であるデイジーを落とせた最大の勝因は”その時毎にきちんと対峙しつつ、端的に運ぶ”流れだったのではと見受けられます。

”クドかない男”達には、それに合った恋愛があります。
此処でのポイントは、”デートの誘い”&”キャッチ・セールスへの対応”です。

志波勝己君に限らず、”キャッチセールス&ナンパ男”はときめも男性から全員撃退される運命です(爆)

言うまでもありませんが、”女性が、危機に陥った時”自分だけ逃げる・遠ざかる男性達には恋愛の資格は無いです。

ご自分が腕力に自信が無くても・他力本願でも・逃避でも・誤魔化しでも、兎に角臨機応変に知恵と勇気を振り絞り立ち向かって欲しいものです。

彼は、淡々と約束を結びつつアクシデント時には大きく出て”主導権”を印象付けています。
また、遅刻等自らの欠点は気が付いた時に率直に反省しています。

一方、”クドく男”達は狙った女性には常時様々な”心理的罠”を仕掛けてはコントロールを図ります。
しかし、多くは容姿や話術・スマートな身のこなしに長けた男性ばかりなのです。

志波勝己君は、そんなアプローチには全く関心が無さそうです(爆)

彼は、大仰に構えず・緊張もせず・鎧も着ず・捻くれたり・卑下しない自然体です。
これは、無防備に”自分を剥き出しにする”のとは意味が違います。

気負わない為、恋愛に傷付きません。
彼は、”親友モード”でも芝居掛かった物悲しさを漂わせる他の男性キャラクター達を尻目に至って飄々としています。

”変わらない姿勢”を、魅力にする事も可能なのです。





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最終更新日  2010年01月18日 10時48分03秒
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