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2010年01月29日
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カテゴリ: ウマく行く恋愛術


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、先日見掛けた佐伯瑛君の奇妙な素振りが気に掛かっていた。

(当番だから、早めに来たけどちょっと早過ぎたかな。一番乗りかも。ん)
誰もいない廊下を歩き、通りすがりに教室を覗いてみた。

すると、彼はすでに出席していた。
窓辺の席に、彼の姿があった。
(佐伯君、だよね。勉強かな。あれ?眼鏡を掛けている、わぁ。珍しい。あ)

彼も、私に気付いたらしかった。
「ん?」
席から立ち上がると、面倒臭そうに此方まで歩いて来た。
「お前さ、黙って見てんなよな。趣味、悪いぞ!!」

(ごめん)
私は、見上げながら軽く頭を掻いた。
(でも、どうしたの。こんなに早く)

「昨日の夜、仕入れのチェックが遅くて授業の予習が出来なかったんだ」
彼は、煩そうに切り上げた。
「店にいると、つい仕事しちゃうし」

これが、私の”質問”に対する返答だと判ってはいた。
でも、私は少し話を伸ばそうとした。

(そっか。大変だね。お店と学校の両立)
「別に。勝手にやってる事だし」

佐伯瑛君とは、向き合えばこんな会話になってしまう。
私は、食って掛かったり揚げ足を取る様な話の流れが苦手だった。

それでも、あの晩の彼の歪んだ笑顔が胸中に浮かんでは消えた。
(あ。そうだ。眼鏡を持っていたんだね。びっくりしちゃった)

下らなくても、仕方が無い。
僅かな”雑談”の隙間から、彼の本心が掬い取れないか模索していた。

「目が悪い奴は、普通持ってるだろ!!」
佐伯瑛君は、声を荒げて”結論”を叩き付けた。
「本を読む時は、こっちのほうが楽なんだ!!」

私は、内心では怯んだ。
その気持ちとは裏腹に、さらに話を繋げ様と試みた。
(でも。普段は、コンタクトなんだ。どうして?)

佐伯瑛君は、声が低くなった。
「だって。何か、格好悪いじゃん。眼鏡」

(そうかな。結構、似合っていたよ)
私は、思ったままを答えた。

だが、彼は苛立った。
「似合って、いないんだ!!あー、もう!!あっちへ、行けよ!!皆が来る前に、終わらせるんだから!!」

(はい、はい)
私は、身に染みて感じた。
私の何かが、余程相手の神経を逆撫でし不愉快にしている。
それだけは、違いない。

(お邪魔しました)
言葉では、おどけていたが心には決心が固まっていた。

二度と、佐伯瑛君には近付かないでいよう。
それが、彼の一番の願いなのだから。





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最終更新日  2010年01月29日 21時49分11秒
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