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観終わった後、私達の心に衝撃が走る、それがこの映画「ドッグ・ヴィル」である。 アメリカ合衆国、ロッキー山脈の小さな田舎町、ドッグ・ヴィル。住民は貧しく、素朴で善良な人々の集まりだった。 しかし、本当に「素朴で善良」なのか。 この物語が人間性の隠された本質を解き明かしてゆく。「衝撃のラスト・シーン」で幕を閉じるまでに、人間の心の奥に潜む利己主義の恐ろしさを私達に教えてくれる。 利己主義が集団となって、大きな力となり、一人の人間に向けられた時、集団の中の個々の人間は、閉鎖された空間の中の絶対多数が正義だと思い込み、自分自身の心の醜さ、残忍さに気づかない。 この事態を客観的に見つめることができた人物さえも、やがては集団心理の中へ埋没してしまい、自分自身を見失ってしまう。 グレース(ニコール・キッドマン)は、神の化身か。それとも神の使者なのか。この醜い人間達に対して、神の怒りは、終に頂点に達する。 映像は、舞台劇をそのまま映像化したような創りになっている。ドッグ・ヴィルの町のセットは、スタジオの床に白線を引き、道路と家々を区別しただけの簡単なものであり、リアルな風景の中に登場人物の微妙な心の変化を光と影の微妙なバランスで表現する映画特有の手法も使われてはいない。物語の進行も、主に語り手の解説によって進められている。 このような故意にリアリティーを欠いたような演出は、これが現実の物語などではなく、寓話なのだという印象を与える役割を果たしている。 あらすじプロローグ ドッグ・ヴィルの住民の紹介。第1章 トム(ポール・ベタニー)自称、作家、町の伝道所の伝道師「人間の心の奥を掘り起こそうとしている」と、グレース(ニコール・キッドマン)「ギャングに追われている逃亡者」との出会い。トムは銃声を聞いたことをきっかけに、グレースと出会うことになる。第2章 トムの指導で、住民に自分を受け入れてもらう為、個々の家々で肉体労働をするグレース。第3章 グレースを心から受け入れる住民。第4章 ある日、警察が町にやってきて、グレースの手配書(行方不明)を張ってゆく。住民達は警察からグレースをかばう。第5章 グレースと住民の信頼関係は、ますます深まってゆくが、警察から来た2枚目の手配書(強盗事件に関与、危険な女)を見て、住民の態度が少しずつ変わり始める。第6章 住民のグレースに対する態度が一変する。第7章 町から逃げ出そうとするグレース。ギャングと警察を恐れるあまり、グレースの身に鉄の重りのついた鎖を取り付け、過酷な肉体労働を強いる住民。毎晩、グレースをレイプする男達。第8章 今までグレースをがばってきたトムが豹変し、ギャングにグレースの存在を知らせる。第9章 グレースの正体が明らかになる。実は、グレースは、ギャングのボスの父親と同じ闇の世界で生きるのがいやで、家を飛び出した娘だった。人間の心の弱さからくる人間性の醜さに対して、自分自身の心の中の矛盾に決着をつける為、最後の裁きを下すグレース。父親から譲り受けた強大な闇の権力を使って、住民をすべて虐殺し、町に火をつけるグレース。 こうして人間性の醜さの象徴と化したドッグ・ヴィルの町は、この世から消え去ったのである。
2006.01.29
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この作品は、映画としては、ディズニー映画で知られているガラスの靴でお馴染みの童話「シンデラ」をファンタジーの世界ではなく、現実にあった話として、とらえなおした内容になっている。 従って、魔法使いが登場して、シンデラに舞踏会用の衣装を与えたり、カボチャを馬車に変えたりはしない。もちろん、ガラスの靴もこの映画では母の形見の靴を使っているのであって魔法の力など、かりてはいない。 メイドとして、継母とその連れ子に扱き使われる生活を強いられるという点だけが同じなのである。 16世紀、フランス。 幼い頃、母親を亡くしながらも、父親に愛され、たくさんの使用人に囲まれ、なに不自由のない生活を送っていた8歳の女の子、ダニエル(ドリュー・バリモア)。 しかし、この温かくて穏やかな生活は、父親の突然の死によって一変する。 死の直前に父親と再婚した男爵夫人ロドミラ(アンジェリカ・ヒューストン)によってメイドにされてしまうダニエル。 ロドミラとその連れ子による贅沢な暮らしによって、家計が困窮するにつれ、メイドの仕事は、しだいにその量を増してゆく。 あれから10年。 18歳になったダニエルを、このままにしておいてはいけない。このままでは、ただ単に、ひたすら逆境に耐え抜く女性を描いた映画になってしまう。 なにしろ、主演のダニエル役は、ドリュー・バリモアである。ドリュー・バリモアの、なんとなくぎこちなく、かわいい顔立ちの中にある強さを引き出してダニエルとダブらせなければならない。 ダニエルの持つ力とは何か。 それは、父親のダニエルに対する愛情の深さである。幼い頃、父親と過ごした6年間、この深い愛情は、ダニエルに自分自身の運命を切り開く為の強い力を与えたのである。 もし、仮に、ダニエルが父親から愛されずに幼児期を過ごしていたら、はたしてどうなっていただろうか。逆境に耐えぬく力は存在しただろうが、自分の運命を切り開いて運を掴み取る強い意志の力は芽生えなかった筈である。 もう一つ、ダニエルには大きな力がそなわっていた。それは自分自身が、継母とその連れ子によって虐げられた生活を体験したことにより、社会で虐げられている人々の心を知っていたことである それに、父親から教えられた読書の習慣によって、今のフランス社会の矛盾もよく知っていた。 こうしてダニエルは、童話の「シンデラ」のように魔法使いの力をかりることなく、自分自身の力によって、フランス王子ヘンリー(ダグレイ・スコット)の心をつかみ、「ふたりは末永く幸せに暮らした。」といことでこの物語は終わるのである。
2006.01.03
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