武蔵野航海記

武蔵野航海記

2007年11月08日
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「ギリシャ哲学はタレスに始まる。彼は万物の元は水だと主張した」

子供たちはこれを聞いた途端に教科書を放り投げます。

この世には水以外に土も鉄もあります。ですからこんなことを聞いても全然納得しません。

それにこんな説が深遠な「哲学」だなどとはとても思えません。そして哲学者などは閑人なのだと理解して、哲学に興味を失って大人になっていきます。

私もそうでした。

実は、つい最近までの人間と現在の人間はものの考え方が全然違うのです。

ものの原則を考え出す方法は、大きく分けて演繹法と帰納法があります。

朝9時に会社が始まるのでそれまでに自分の机に座っていなければなりません。

そのためには、7時半に家を出て7時45分発の急行に乗らなければなりません。

そうすれば9時10分前には会社に着けるのです。

「朝7時半に家を出れば会社に遅刻しない」という原則は、何千回となく朝の通勤を経験して導きだされたものです。

数多くの事実から一つの原則を作り出したわけで、これが「帰納法」です。

ところがこの帰納法は100%信用できないのです。

電車が遅れれば彼は当然遅刻します。

最近、中高年のオッサンが線路に飛び込む「人身事故」により電車が遅れることが増えたので、彼はもう一つ前の急行電車に乗るために、朝7時10分に家を出ることにしました。

このように「7時半に家を出ると会社に間に合う」という原則は暫定的なもので、新しい事実が出てくれば修正しなければなりません。

このように帰納法の結論は頼りないので、古代から近代社会になるまでは、まともな学問的方法とは考えられていませんでした。

帰納法が日常生活だけでなく学問の世界でも公認されるようになったのは、19世紀になってからです。

ですからわれわれは帰納法にすっかり慣れてしまっていますが、古代の哲学は演繹法で考えられていたのです。

演繹法は、はっきり言えば思い付きで何らかの原則を始めに決めます。

例えば、「万物は水だ」とか「万物のもとは原子だ」とかです。

そしてその原則からすべての現象を説明するのです。

帰納法というやり方に慣れた現代人はこんなものを受け入れることが出来ません。

ですから子供たちは教科書を放り投げるのです。





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最終更新日  2007年11月08日 10時52分18秒
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