1
![]()
ずうのめ人形を読みました。◆◆ずうのめ人形 / 澤村伊智/著 / KADOKAWA【あらすじ】オカルト雑誌の編集社で働く青年藤間。彼は在籍しているライターの変死体を発見します。ライターの部屋には奇妙な小説の原稿が遺されていました。藤間は興味本位で原稿を読み始めます。内容は女子中学生里穂の自伝的な怪奇小説です。自分が正しいと信じて疑わない父親、その場しのぎだけの母親、あてにならない教師、いじめてくるクラスメート。そんな人々に囲まれうんざりしている里穂。彼女はホラーものが好きで、図書館で借りた本を読んでは気持ちを紛らわせる日々。ある日里穂は図書館でゆかりちゃんという女の子と友達になります。ゆかりちゃんもホラーが好きで、二人で話に花を咲かせていました。ある時ゆかりちゃんから「ずうのめ人形」という都市伝説を聞きます。話自体はよくある都市伝説なのですが、里穂はその話が頭から離れないのでした。周囲とうまくいかない孤独。ホラーやオカルトが好きというだけで変な目で見られる疎外感。原稿を読み進めるうち、藤間は里穂に共感と同情を覚えるようになります。しかし藤間に原稿を勧めたアルバイトの青年が、ライター同様変死してしまいます。さらに藤間にも喪服を着た人形が見えるようになりました。日を追うごとに近づいてくる人形。藤間は先輩であるオカルトライター野崎に助けを求めます。果たして藤間は呪いから逃れることができるのでしょうか。【おかえり野崎、さらば岩田君】※ネタバレあり。前作「ぼぎわんが、来る」からオカルトライター野崎と、その恋人で霊媒師の比嘉真琴(ひが まこと)が続投です。皮肉屋ぶってるけど何だかんだで優しい野崎が好きですね。また深くものを考えたりしないけど、人情家の真琴と良いコンビだと思います。各々が苦しみを背負い、肩を寄せ合っている姿はつい応援したくなります。詳しくは前作を読んでみてください。この二人好きなので再登場は嬉しいのですが、こういうホラーものはあまり何回も出るとそのうち死ぬので、ほどほどにね(笑)。そして前回から続投の希少本マニア岩田君。前作では出番こそ少ないものの、割と重要な役割を担っていました。憎めないキャラだったのですが、残念ながら今回で降板です。出てこなければ死なずに済んだのに。哀悼。ひょとしたら幽霊になって続投するかも。【ホラーとミステリーの挟撃再び】今作もミステリー要素を含んだ展開が魅せました。呪いの手がかりを得るために藤間は原稿を読み進めます。藤間たちの行動と原稿の物語が交互に語られ、真相へと向かって行きます。特に終盤は藤間、原稿、そして呪いの元凶の三者が細かく入れ替わりながら描かれています。これだけシーンを短く切っても読みにくくならず、むしろ「こっちも気になるがあっちも気になる」状態で、この見せ方はすごいなあと思いました。【感想あれこれ】今回もしてやられました。原稿を読む限りでは、かわいそうな少女が理不尽に耐えているように見えます。ですが決して「そうではない」と分かった時のあの戦慄。前作と同じような感覚を覚えました。「アンタは自分をカワイソウな被害者だと思ってるだろうが、ちがうねッ! こいつはくせえッー! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーっ!」という感じでした。※相変わらずテンションがおかしいことになっています。第1部のシーンに照らし合わせてお楽しみください。とはいってみたものの、こうした状況にいたら自分も「こうなってしまうだろうな」と思ってしまうと、一抹のやりきれなさも感じました。ストレスは成長に必要なもの、といった内容の話をしばしば聞きます。吾輩も賛成です。ですがそれは「健全な」ストレスに限ると思っています。成熟した社会や会社においては、ストレスは困難にもめげない心身を育む効果があると思います。ですが世の中は害にしかならないストレスに溢れています。木は台風や他の倒木に当たったりしてねじ曲がっても生きています。しかし曲がってしまった木は曲がったまま伸びていきます。虐待されて育った子どもは、自分が親になってから虐待をしてしまうことが多いと聞きます。不健全なストレスからはぜひとも逃げた方がいいなと思いました。特に子どもは逃げ場が少ないですから、その辺にうまい方法はないものかと思います。学校に行けなくなってしまった子は、もうスカイプ通学でもいいじゃないか。世の中にはコミュ力を必要としない仕事だってあるし。……本題とそれてしまいましたが、そんなことを考えてしまった作品でした。本作を読む時は、気を逸らさずに読んでください。最後まで読むと、序章の意味が、第1章の最後に書かれていたメールの意味が分かりますから。そして「おかげで心おきなく呪いを解ける」この言葉に戦慄してみてください。【おまけ】作中では「リング」など、他のホラー作品も取り上げられています。作者さんと同時期に賞を取った作品「記憶屋」も話題に出ています。こちらも気になりますね。また「緑色の目の白いネコ」は、吾輩も小学生の時図書館で読んだことがあります。直球ではなく、まとわりつくような怖さを感じさせる作品だったのを覚えています。【関連作品】【店内全品5倍】ぼぎわんが、来る/澤村伊智【3000円以上送料無料】前作ぼぎわんが、来るです。ミステリー要素も感じさせる、ホラーエンターテイメントです。紹介記事はこちら。ししりばの家/澤村伊智次の作品、ししりばの家です。紹介記事はこちら。などらきの首/澤村伊智そのまた次の作品、などらきの首です。シリーズ初の短編集で、今までの作品を読んでいるとなお楽しめます。紹介記事はこちら。◆◆ずうのめ人形 / 澤村伊智/〔著〕 / KADOKAWA文庫版です。【中古】 ずうのめ人形 /澤村伊智(著者) 【中古】afb中古はこちら。◆◆ずうのめ人形 / 澤村伊智/著 / KADOKAWA新品はこちら。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2019.01.06
閲覧総数 3200
2
![]()
殺人鬼(サイコパス)狩りのご紹介です。※本記事はネタバレを含みます。【中古】 殺人鬼狩り/二宮敦人(著者)【あらすじ】東京から1000キロ離れた羊頭島(ようとうじま)にある刑務所から、5人の囚人が脱獄しました。彼らは多くの殺人を犯したサイコパスです。周囲への被害拡大が懸念され、一刻も早い対応が求められました。事態解決のため、警視庁は警官隊に一人の女性を同行させます。彼女の名は園田(そのだ)ユカ。かつて13人を殺したサイコパスでした。こうして孤島を舞台にサイコパス対サイコパスの殺し合いが始まるのでした。【殺人鬼紳士録】本作は殺人鬼ごとに章分けされていて、各殺人鬼にスポットを当てています。これが思いの他読みやすく、物語の構成にも技量を感じました。「血のナイチンゲール」伊藤裕子怪我人を看護することに執着していて、しまいには自分で「看護する対象」を作り出すようになりました。幼い頃虐待を受けていた彼女は、他人を救うことに自分の存在意義を感じていました。彼女が罪悪感を感じているのは怪我人を救えなかったことで、他人を傷つけていることには何も感じていない所がヤバいですね。「ごはん男」高橋光太郎自分より弱い高齢者や子どもを標的にし、さらに殺した相手の穴という穴にごはんを詰めます。ですがこの異常性は計算されたもので、被害者の遺族をより苦しめるために行っています。日本に住んでいればごはんを目にしない日は無いでしょう。遺族がごはんを目にするたびに苦しむようにしているのです。この話は構成が上手でした。警官隊と読者は事前の資料で高橋のことを知っていました。ですが実際に会った高橋はおびえ切った卑屈な男で、とてもそんな犯行をするようには見えませんでした。それがひとたび標的と認識すると……高橋の卑屈さと残虐性のコントラストが印象深いです。彼の過去も社会の縮図を表しているようで、全体に胸くその悪い展開に仕上がっています。「膣幼女」川口美晴男性を誘惑し、寝た相手を殺す殺人鬼です。彼女は幼い時から魅力があり、あらゆる男たちが彼女を求めました。どんな言葉を持ち出したところで、人の考えることもやることも変わらない。そのうち「ルールなんてものは最初から存在しない」「ルールとは都合よく使われるもの」と考えるようになります。まあそうなるよねと思いながら読み進めると「本当に強いものはルールなど必要としない」「だって無駄じゃん。弱い者も生かしておくなんて」。……あれ? 雲行きが怪しくなって来ます。やがて彼女は別れ話がこじれて危害を加えられそうになった時「そうか。男は捨てる前に殺しとくのが楽ってもんだわ」という結論に達します。そうかじゃない(笑)。体験に因らない、ナチュラルにヤバい思考回路はさすがサイコパスですね。「真面目ハンド」山本克己傭兵をしていたこともある、筋骨隆々な中年男性です。素手による絞殺にこだわっており、恐怖のあまり自殺を図った被害者をわざわざ救命処置をしてから絞殺したこともありました。そんな彼についた二つ名は真面目ハンド。彼にとってはルールを守ることが何よりも優先することになっており、その徹底ぶりから不気味さが漂っています。美晴がルールなんて初めから存在しないと言っていたこととの対比が面白いですね。「人形解体屋」霧島朔也今回の脱獄事件の首謀者であり「人類の天敵」「人類滅亡の一つのサンプルケース」と言われています。彼いわく「自分ほど人間を愛していた者はいない」とのこと。愛していて興味があるからこそ、彼は多くの人を解体し、人間を理解しようとしました。そして彼は「飽きて」しまいました。子どもがおもちゃに飽きて急に興味が無くなってしまったように、霧島は人間に対する興味を失ってしまいました。以降彼は何にも興味を持てなくなってしまいました。脱獄はしてみたものの、それも彼の心を震わせることはできませんでした。全体を包む物憂げな虚無感がラスボスにふさわしいですね。「真紅の妖精」園田ユカ本作のヒロインです。自分を暴行しようとした変質者13人を皆殺しにした過去を持ちます。虫は殺してもいいけど人間はダメ。こうした「普通の」人間が持っている感覚を、彼女は持ち合わせてはいません。それでもユカは人間と生きて行きたいと願いました。常習的に動物を殺していたのも、普通の感覚を理解しようとしていたが故というのが切ないですね。高宮との交流を通して新しい感情に目覚めた彼女はどのような未来を歩むのでしょうか?「殺さない才能」高宮晴樹新米警察官であり、普通の人間代表です。命に頓着しないユカの言動を不気味に思いながらも、普通に生きられない彼女の苦しみに同情しました。ユカも高宮に対して、自分を気味悪く感じる理由をちゃんと話してくれた人は初めてだと驚いていました。言下にサイコパスを拒絶するのではなく、ユカを1人の人間として理解しようとする姿勢が印象的でした。また異常犯罪者だから殺してしまえという結論は出さず、あくまで殺さずに逮捕しようとするところが、サイコパスたちとの対比で面白かったです。本作はただのグロ小説ではなく、サイコパスたちの過去や思考についても細かく描写されていたのが良かったです。恵まれない環境やきっかけとなる体験についても描かれていますが、何よりもサイコパスたちの独特な思考回路まで描いているのがすばらしいです。「あれ? これって、こうした環境に生まれなくてもいずれ人を殺してたんじゃ……」みたいなヤバさが味わい深いです。とはいえ基本的に臓物がまろび出る小説なので、苦手な方は注意して読んでください。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2024.03.24
閲覧総数 1107
3
![]()
しばらく前に発表されたきり沈黙を守っていましたが、発表されました、モンスターハンターのRPG。その名もモンスターハンターストーリーズ。【2016年10月08日発売】 【送料無料】 カプコン モンスターハンター ストーリーズ【3DSゲームソフト】価格:5626円(税込、送料無料)発売前にこれ程ワクワクと心配が混じったソフトは久しぶりです。カプコンさんの仕事だから面白いとは思うのですが、何分新しいシリーズへの進出ですからね。【スタッフの夢?】多分昔から作りたかったんだろうなと思いました。振り返れば2の時にモンスターと協力して戦うモードがあったし、カードゲームでは飼い慣らしたモンスターと一緒に狩りに行くという内容だし。まあリアルの世界でも猟犬を連れて狩りに行ったりするわけですし、リオレウスと一緒に狩りに行ってもアリだよね(笑)。【事前準備はしっかりと】「モンスターに乗る」というのは4から始まりましたし、戦闘システムはゲーセンのモンスターハンターのシステムを踏襲しているようです。さらには発売に合わせてアニメも始まるようですね。新しいシリーズに漕ぎ出すにしても、こうして布石を打ってあるあたりがさすがカプコンさん。夢を追うにも周到な準備が必要なんですね。【今後の情報を待て!】アニメの時間帯とかゲーム画面を見る限り、低年齢層がターゲットなんでしょうか?吾輩のようなオヂサンでも大丈夫でしょうか(笑)?いずれにしてもモンスターハンターファンの非少年もたくさん入ってくるでしょうから、その辺も折込済みのはず(笑)。モンスターと絆を紡ぐ「ライダー」と、モンスターを狩って生活する「ハンター」。相容れない両者が少しずつ理解を深めていく過程なんかが深いストーリーになっているんじゃないかと個人的には期待しております。とにかく本日予約開始ですので、今後の情報が気になりますね。「見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを!」という気分で見守っております。【2016年10月08日発売】 【送料無料】 カプコン モンスターハンター ストーリーズ【3DSゲームソフト】よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2016.06.02
閲覧総数 37
4
![]()
劇場版鬼滅の刃 無限城編第一章 猗窩座再来を観て来ました。前作柱稽古編の記事はこちら。【あらすじ】鬼殺隊本部に現れた鬼舞辻無惨。駆け付けた柱たちと炭治郎は謎の空間に落とされてしまいます。そこは鬼の根城である「無限城」。鬼殺隊と鬼との最終決戦が始まる!【高品質の供給過多】本作公開前にテレビで放映していた過去作を観ても感じていたのですが、鬼滅の刃シリーズは背景や音楽がすごいなあと思います。文字通り無限に広がる無限城や、行灯のぼんやりとした灯りなど、背景だけでも見ごたえがありますね。吾輩は音楽は詳しくないのですが、各場面を盛り上げる音楽や、時に無音になったりと作品に緩急をつけていると思います。そしてとても不思議な感覚なのですが、本作を至って普通に受け止めていました。最終決戦の始まりであり、猗窩座の過去も特に印象深いエピソードのはずでした。それゆえ袖がびしょ濡れになるほど号泣するかと思ったのですが、意外にすんなり受けてしまいました。みんなと一緒に泣けないとか、カナヲか? とか戸惑いました。思うに本作は最初から最後までぶれることなく品質が高いので、それが普通になってしまい感覚が麻痺してしまったのかなあと思いました。視聴者としてはとても贅沢な体験ですね。【石田彰無双】そして何といっても本作の見どころは、猗窩座役の石田彰さんの演技ではないでしょうか。幼い頃から成長するまで、人間から鬼までの様々な喜怒哀楽や人生を演じ切った演技力はさすが大ベテランですね。無限城編は始まったばかりですが、早くも続きへの期待が高まりますね。全巻セット【送料無料】中古 Comic▼鬼滅の刃 全 23 巻 完結 セット レンタル落ち原作の記事はこちら。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2025.07.21
閲覧総数 133
![]()

![]()