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2019.01.06
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カテゴリ: 小説・ノベル
ずうのめ人形を読みました。


◆◆ずうのめ人形 / 澤村伊智/著 / KADOKAWA


【あらすじ】
オカルト雑誌の編集社で働く青年藤間。
彼は在籍しているライターの変死体を発見します。
ライターの部屋には奇妙な小説の原稿が遺されていました。


藤間は興味本位で原稿を読み始めます。
内容は女子中学生里穂の自伝的な怪奇小説です。
自分が正しいと信じて疑わない父親、その場しのぎだけの母親、あてにならない教師、いじめてくるクラスメート。
そんな人々に囲まれうんざりしている里穂。
彼女はホラーものが好きで、図書館で借りた本を読んでは気持ちを紛らわせる日々。

ある日里穂は図書館でゆかりちゃんという女の子と友達になります。
ゆかりちゃんもホラーが好きで、二人で話に花を咲かせていました。

ある時ゆかりちゃんから「ずうのめ人形」という都市伝説を聞きます。
話自体はよくある都市伝説なのですが、里穂はその話が頭から離れないのでした。




周囲とうまくいかない孤独。ホラーやオカルトが好きというだけで変な目で見られる疎外感。
原稿を読み進めるうち、藤間は里穂に共感と同情を覚えるようになります。
しかし藤間に原稿を勧めたアルバイトの青年が、ライター同様変死してしまいます。
さらに藤間にも喪服を着た人形が見えるようになりました。

日を追うごとに近づいてくる人形。
藤間は先輩であるオカルトライター野崎に助けを求めます。
果たして藤間は呪いから逃れることができるのでしょうか。





【おかえり野崎、さらば岩田君】※ネタバレあり。
前作「ぼぎわんが、来る」からオカルトライター野崎と、その恋人で霊媒師の比嘉真琴(ひが まこと)が続投です。

皮肉屋ぶってるけど何だかんだで優しい野崎が好きですね。
また深くものを考えたりしないけど、人情家の真琴と良いコンビだと思います。
各々が苦しみを背負い、肩を寄せ合っている姿はつい応援したくなります。詳しくは前作を読んでみてください。

この二人好きなので再登場は嬉しいのですが、こういうホラーものはあまり何回も出るとそのうち死ぬので、ほどほどにね(笑)。




そして前回から続投の希少本マニア岩田君。
前作では出番こそ少ないものの、割と重要な役割を担っていました。
憎めないキャラだったのですが、残念ながら今回で降板です。
出てこなければ死なずに済んだのに。哀悼。
ひょとしたら幽霊になって続投するかも。





【ホラーとミステリーの挟撃再び】
今作もミステリー要素を含んだ展開が魅せました。

呪いの手がかりを得るために藤間は原稿を読み進めます。
藤間たちの行動と原稿の物語が交互に語られ、真相へと向かって行きます。

特に終盤は藤間、原稿、そして呪いの元凶の三者が細かく入れ替わりながら描かれています。
これだけシーンを短く切っても読みにくくならず、むしろ「こっちも気になるがあっちも気になる」状態で、この見せ方はすごいなあと思いました。





【感想あれこれ】
今回もしてやられました。
原稿を読む限りでは、かわいそうな少女が理不尽に耐えているように見えます。
ですが決して「そうではない」と分かった時のあの戦慄。前作と同じような感覚を覚えました。


「アンタは自分をカワイソウな被害者だと思ってるだろうが、ちがうねッ! こいつはくせえッー! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーっ!」という感じでした。
※相変わらずテンションがおかしいことになっています。第1部のシーンに照らし合わせてお楽しみください。

とはいってみたものの、こうした状況にいたら自分も「こうなってしまうだろうな」と思ってしまうと、一抹のやりきれなさも感じました。




ストレスは成長に必要なもの、といった内容の話をしばしば聞きます。吾輩も賛成です。
ですがそれは「健全な」ストレスに限ると思っています。
成熟した社会や会社においては、ストレスは困難にもめげない心身を育む効果があると思います。

ですが世の中は害にしかならないストレスに溢れています。
木は台風や他の倒木に当たったりしてねじ曲がっても生きています。
しかし曲がってしまった木は曲がったまま伸びていきます。
虐待されて育った子どもは、自分が親になってから虐待をしてしまうことが多いと聞きます。

不健全なストレスからはぜひとも逃げた方がいいなと思いました。
特に子どもは逃げ場が少ないですから、その辺にうまい方法はないものかと思います。
学校に行けなくなってしまった子は、もうスカイプ通学でもいいじゃないか。
世の中にはコミュ力を必要としない仕事だってあるし。

……本題とそれてしまいましたが、そんなことを考えてしまった作品でした。




本作を読む時は、気を逸らさずに読んでください。
最後まで読むと、序章の意味が、第1章の最後に書かれていたメールの意味が分かりますから。
そして「おかげで心おきなく呪いを解ける」この言葉に戦慄してみてください。





【おまけ】
作中では「リング」など、他のホラー作品も取り上げられています。
作者さんと同時期に賞を取った作品「記憶屋」も話題に出ています。こちらも気になりますね。

また「緑色の目の白いネコ」は、吾輩も小学生の時図書館で読んだことがあります。
直球ではなく、まとわりつくような怖さを感じさせる作品だったのを覚えています。






【関連作品】


【店内全品5倍】ぼぎわんが、来る/澤村伊智【3000円以上送料無料】

前作ぼぎわんが、来るです。
ミステリー要素も感じさせる、ホラーエンターテイメントです。

紹介記事はこちら。





ししりばの家/澤村伊智
次の作品、ししりばの家です。
紹介記事はこちら。




などらきの首/澤村伊智
そのまた次の作品、などらきの首です。
シリーズ初の短編集で、今までの作品を読んでいるとなお楽しめます。
紹介記事は​ こちら。






◆◆ずうのめ人形 / 澤村伊智/〔著〕 / KADOKAWA

文庫版です。







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最終更新日  2019.06.09 20:22:27
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