埼玉県の私立栄泉高校に入学した 大和圭介
は、水泳部に所属した矢先、飛び込みの部員の1年生
二ノ宮亜美
から「人殺し」と告げられる。
2人の実家はともに和菓子屋で、祖父の代からライバル同士であったが、
二ノ宮の祖父は新製品の開発で無理が祟って身体を壊し、「やまとに殺された」と告げて亡くなったのだ。
イタズラじみた嫌がらせをしてくる亜美に振り回される圭介だったが、
亜美の本当の人柄に少しずつ触れていく。
そんな中、上鷺寮で恒例となっている『1日デートの日』の代表者として選ばれたことから、
圭介と亜美はデートすることになってしまう。
最初は仲が良くない2人だったが、互いに幼馴染であったことが判明し、様々な出来事を経ながら次第に惹かれ合っていく。
亜美に一目ぼれした 関和明
がカナヅチながら水泳部に入部し、圭介は関に泳ぎ方の基本を教えることとなり、
そのことが自らの泳ぎを見直すキッカケとなって、伸び悩んでいたタイムを大きく縮めることに繋がる。
やがて、海で溺れた亜美を自分が助けられなかった事を境にして、亜美が兄のように慕う
自由形100m・200mの日本記録保持者である 仲西弘樹
と、圭介は亜美をかけて戦うことを決意する。
そして、高飛び込みの実力者 小柳かおり
の恋人であり、中学時代の自由形全国1位の 芹沢裕司
に
インターハイで勝利した圭介は、日本選手権で仲西に挑むことになる。
しかし、その直後、仲西が交通事故で選手生命が危ぶまれる負傷をし、日本選手権を辞退することになる。
事故の原因を作ってしまった亜美は、復帰に焦る仲西のリハビリに付き添うようになる。
仲西と亜美の「婚約話」が双方の両親たちの間で進むなか、引退を撤回して選手復帰した仲西は、
日本新記録を更新して奇跡の復活を遂げる。
そして、仲西との勝負のかかった日本選手権で、亜美は圭介に曲のコピーを頼まれていたカセットテープに、
「あなたが好きです」と自らの想いを録音して手渡すのであった。
作品全体で見た場合、全12巻という長さもちょうどいい。
個人的に、あだち充は1本のストーリーを追いかける長編作家ではないと思っている。
重厚長大な物語よりも、洒脱で洗練されたエピソードを得意としている。
本人も自覚があるようで、「連載の途中でも、最終回が描きたくなっちゃうんです。
もともと読み切り漫画を描くのが大好きだから、まとめたがりなんだと思う」(※1)、
「作者としては『H2』(全34巻)は途中でだらけているなって感じがどうしてもしてしまう」(※2)
などと語っている。ならば、短編ばかり描けばいいかといえば、ちょっと違う。
独特の「間」が多いため、読者としてはやや読み応えが薄いのである。
あだち充の適正はやはり中距離。
心に残るショートエピソードを積み重ねていき、登場人物たちを立体的に見せる作家だと考えている。
全12巻はまさに適正距離。
ほぼムダのない構成は、あだち充の頂点といっていい。
1巻が高校1年生の入学から始まり、最終巻が3年生で終わるというパッケージングのよさも評価したい。
「ラフ」の連載が開始されたのは、「タッチ」が社会現象を巻き起こした後の1987年。
大ヒットを飛ばした作家が、以降の作品に恵まれず、忘れ去られていくことは少なくない。
だが、あだち充は「ラフ」を送り出したことにより、その才能にはまだまだ続きがあり、
今後も深化していくことを世間に知らしめた。
もうひとつの代表作である、「H2」が生まれる前夜の話だ。
自分自身を振り返っても、「タッチ」であだち充作品を好きになり、
「ラフ」で沼にハマったという自覚がある。
セリフのセンス、「間」の取り方、表情を含めた画力など、最高峰のあだち充が
すべて詰まった作品だと思った。
大人になってマンガ評論家を名乗るようになった今も、あだち充という作家を研究し続けていられるのは、
「ラフ」に出会ったときの衝撃が変わらず心に残っているからだ。
直接的な意味において、人生を少し変えられてしまったのである。
願わくば、自分と同じように「ラフ」で人生を少し変えられてしまう人が増えてほしい。
案外、悪くないはずである。
小学校6年生~高校3年生まで、7年連続で読書感想文最優秀賞を受賞した女学生が
先日新聞掲載されました。
何と水泳部主将だったそうです。
みんなさん御存知の「エースをねらえ」はTennis青春物語。
どちらも個人種目だけど、主将がもちろんのこと
エースだっている。
ただ共通して言えることは「どっちも『背番号』なんぞ肩書きには
全然拘らず、堂々としていられる。」こと
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