2004年03月28日
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昨日今日と、ひさびさに暖かい陽射しが戻ってきましたぁ。
けど。
戻ってきたと言うより、やっと春が来た・・・って感じですねっ!

どちらかというと確かにあったかいんだけれど、この強い日差しのなかには、ネパール南部のインド国境近く、仏陀の生誕地としても知られるルンビニイあたりみたいな、ひっそりと緊張した透明感のある氷のような気配が、背後に隠れてる。

一見、明るく和気あいあいとしていて、シアワセそのもの、みたいに見える家庭。
そのくせ、実はみんなそれぞれに秘密を抱え込んで、ひとりぼっちでバラバラなんだ・・。
が、テーマのこの「空中庭園」は、昨年秋の直木賞候補にもなった作品でした。
最近になって角田光代さんのこの「空中庭園」は、第3回婦人公論文芸賞(主催・中央公論新社)を受賞してます。

ぜんぶで六つの短篇の連作で構成されているーー。


★ラブリー・ホーム
:あたしは、高速道路のインター近くに林立するラブホテルのなかの一軒、「ホテル野猿」で、仕込まれた子どもであるらしい。・・・主人公は15才の娘。

★チョロQ
:あー、逃げてえ、というのが、娘のボーイフレンドの口癖らしいが、それを聞いてからというもの、気がつけばぼくは、あー逃げてえ、とつぶやいている。・・・主人公は中年の父親。

★空中庭園
:もし完全犯罪を思いついたら小説を書こう、なんて思ったのは九歳のときだ。・・・主人公は中年の母親。

★キルト
:死ぬ段になって、自分の送った人生が走馬灯のように見えるっていうけど、あれ、本当だろうか。・・・主人公は祖母。

★鍵つきドア
:9時すぎに乗った電車は停車駅でもないところで突然止まり、動き出す気配はない。・・・主人公は父親の愛人で息子の家庭教師。

★光の、闇の


蓮の咲く池のほとり

☆窓に額をつける。
 ひんやり冷たい。
 空の彼方で、楕円の月が夜を照らす黄色いランプみたいに光ってる。

☆これってへんなものだよな。
 ひとりだったら秘密にならないものが、みんなでいるから隠す必要が出てくる。


虫の音が遠ざかり、田んぼの彼方、水に浮かぶお城みたいに、ネオンで照らされたラブホテルが並んでいる。

現役のバックパッカーで、最近はそこそこの売れっ子作家の角田光代さん、この連作短篇をつなげた長篇小説で新境地を開いたと言われるーー。
若い頃に、バックパッカ‐として気ままに外国を放浪してた、という現役作家はてきとうに居るけれど、職業作家になってからの旅は、編集者やカメラマンが同行し、経費も出版社もち、ってことが大部分だ。

どんなワイルドな旅に見えてもーーいわゆる作家の大名旅行になってしまう。
その点、カクタさんの旅は(方向音痴のくせに)ほんとうにひとりぼっちで、アルゼリアでもミャンマーでもアイルランドでも出かけてしまう。。笑
30代半ば、独身。ーーいいなあ、身軽で。
なにも持たずに出掛けられるってことは、何でも手に入れられるってことだ。
本当の意味で自立してる☆

この【空中庭園】、軽く読み進んでしまうけれども、家族について、自分のじんせいってものについて、けっこうしんどいものを思い知らされるような気分にさせられるかも。






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最終更新日  2004年03月28日 17時24分27秒
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