さ・る・の・あ・な・た

さ・る・の・あ・な・た

2007.08.05
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カテゴリ: 読んだ本いろいろ
いまさら、語るまでもない児童文学の古典、ロングセラーなのですが、

あらためて読んでみました(いろんな出版社から大勢の翻訳者が上梓なさっていますが、
てもとにあるのは岩波文庫版・阿部知二訳)。

その昔、小説の冒頭、ベンボー提督亭に見知らぬ男が現れる場面から出し抜かれた昔の海賊仲間が鞘当をするところまではいかにも怪奇ゴシック調で、ページをめくるのも恐ろしかったのですが(^_^;)、宝島めざして出航するあたりからなぜか怖くなくなり、ユーモア小説(^^;)になっちゃう・・・という印象でしたが、それはいまも変わりませんね。
なんといっても作品の魅力は、海賊ジョン・シルバーくんに多く因るものであることはまちがいないですが、シルバーくんが登場するあたりからゴシックロマン風味があっさりとぬけおちてしまいます。航海~島上陸の過程で、謀反および海賊との闘争で多数の人命が失われるにもかかわらず、からりとした描写。シルバーくんが海賊らしからぬユーモア精神(笑)の持ち主で、因習にも迷信にもとらわれず、近代的合理主義(笑)にのっとった人物であることと無関係ではないでしょう(^v^)。

そもそも、最初にたてた計画からして海賊=強盗というより『詐欺』ですね。
船主のトリロー二氏が用立ててくれた帆船の船員に、昔の海賊仲間をそっくり呼び集め、
船主ご一行に宝捜し~採掘までやっていただいたところで全員海のモクズ(*_*;にして

『最小の努力で最大限の利益をひきだす』すばらしい(^v^)プランニング
だったのですが・・・、なんでうまくいかなかったのかな? (@_@;)

頭脳明晰なシルバーくんにくらべて手下の海賊どものだらしなさかげん、
無知蒙昧にして強欲で疑り深く、しじゅう仲間割れしたあげく、
まだこどものホーキンズ少年にもあっさりとしてやられちゃうんだもの(>_<)。

(まあ、船主がわだって、切れ者は船医のリブジー先生くらいで、
あまりつかえる人材はいないわけですが(^_^;)。)

さらにシルバーくん自身、自己保身のために平気で裏切りや寝返りをくりかえし、
あまりの無節操ゆえに敵にも味方にも信頼されない。
(近代人(むしろ現代人?)のカガミかもしれない(^v^))

海賊どもが一網打尽にされたあと、いっとき海賊一味の捕虜となったホーキンズ少年の

お宝の分け前として金貨一袋ボートに積んで脱走?? というのはいただけないです(^^;)。

シルバーくん、一発大逆転の大幸運を目前にして、なぜみすみす機会をのがす?
乗っている者全員、マストに吊るしたうえで(爆)、
帆船ごとお宝も独占できたはずなのに(*^_^*)。
(・・・このあたり、作者がお話をはやく終わらせるために、書きいそいでいるような感じさえする(^_^;)・・・)

ほんとにこれだけ嫌われれば世話がない(^_^;)。

冒険をはじめるにあたっての壮大なプロジェクトに対して結末のひきあわなさ(^_^;)、
ルパン3世も顔負けといったところか(>_<)。

とはいえ、稀代の悪党でありながらユーモラスで憎めない、
シルバーくんの人物造形が小説の最大の骨子であることは否めません。
その他の登場人物もみなそれぞれ的確に描写されて、理論や理屈でなく
物語を読む楽しさを堪能させてくれます。
(「ハリー・ポッター」もいいけど(^^)、スコットとかバイロンとか、
古きよき時代のロマンティックな作品、もっと復刊させてほしいですね!)

それにしても、これほどの冒険譚なのに、ラストはなにか物悲しいです。


話者のホーキンズ少年自身、宝島での冒険を否定しているというか。
深読みかもしれませんが、結核に苦しんでいたスティーブンソン自身の
厭世観がそこはかとなくにじんでいるような気がします。

「宝島」挿絵の最高峰、N・C・ワイエスの画を集めた 海外サイト を見つけました。
たしか学研から出版されていた翻訳本にも、この挿絵が使用されていましたが、
いまも発行されてるのかな? なつかしいです(^-^)。

・・・原作についての感想をつらつら書いてきましたが、
アニメの『宝島』は原作を凌駕する傑作です。
こちらのシルバーくんはやたらめったらカッコいいうえに(^^)、
ホーキンズ少年がぶつかり乗り越えるカベになる父親的存在としてもすばらしいです。
プロデュースの魔法で、こうまで魅力的なキャラクターが生まれるものかと
感動する、まさにアニメ黄金期の名作。
・・・海外でも放映されているようですが、
原作者の母国・イギリスの人たちに感想を聞いてみたくなりますね(^-^)。

くわしくは、 こちら
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Last updated  2012.08.17 08:46:45
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