心も体も健康家族

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2011年10月15日
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天翔ける日本武尊 上

神渡 良平 著
平成19年7月12日 致知出版社 発行

文学はもの言わぬ神の意思に言葉を与えることである。芹沢光治良

主な登場人物
日本武   景行天皇の子
忍代別   大和の三輪王朝の第12代景行天皇
大郎姫   景行天皇の后。日本武の母

倭姫    景行天皇の妹。日本武の叔母。伊勢神宮の斎王
吉備武彦  東征副将軍
久米七掬脛 膳部
大伴武日  東征副将軍
宮簀姫   尾張音彦の娘。武の妃
八坂入姫  忍代別の妃の一人。大郎姫の死後、正皇后のように振る舞う
活目入彦  第十一代垂仁天皇。景行天皇の父。
稚足彦   第十三代成務天皇。武の異母弟。

日代宮
大郎姫が住んでいる日代宮(奈良県桜井市穴師)は,奈良盆地の南東にこんもり盛りあがった三輪山の麓にある。日代宮や,重臣が住んでいる大小20もの建物は,60尺もの高さの城柵で囲まれており,それに沿って人の背丈ほどの深さの濠が掘られ,土塁が築かれている。

大君の憂い

この国は,小国が割拠していて,まだ全国統一が果たされていない。朝鮮半島では馬韓,弁韓,北韓が勢力を伸ばし,朝鮮海峡を越えて筑紫国(九州)に攻め入ろうと,虎視眈々と機会を窺っているというのに,それらの国は安閑とその日を過ごしている。わしは居てもたってもおれん。一刻も早く全国統一を果たし,この国を守らなければならんと思い,出征しておる。

熊襲征伐
南部九州一円を支配している熊襲は大和朝廷に対して,再び反旗を翻し,租税を納めないようになっていた。熊襲の領域は肥後(熊本県)の球磨郡から,薩摩半島,大隅半島全域まで及んでいた。増大する匈奴および熊襲を放っておけば,九州は大和朝廷の力が及ばない独立国になってしまう。
 「我らは祖国統一の悲願成就のため,はるばる大和からやってきました。天下を懸けて,これから戦いに入ります。大和朝廷の運命が開けるか,それとも武運拙く我らがここで討ち死にするか,乾坤一てきの一戦です。願わくばご加護があらんことを」
 戦いが終わったら,その剣を上井城の麓に鎮座する大隅五社の一つ,韓国神社に奉納することにした。


大和を平定し,天照の願いを成就する基を築いた磐余彦は,畝傍山の東南の橿原に新たな宮居を建てた。側には飛鳥川が流れ,小高い耳成山の南には天の香具山が連なっており,吉野の連山が一望できた。
磐余彦は橿原の宮に三種の神器を祀り,即位して,第一代の天皇,神武天皇となった。辛酉の年の元旦,今の太陽暦に直すと,二月十一日のことだった。
功労があった者たちはそれぞれ国造や県主に任命され,国の基は定まった。

弟橘姫の愛
それまで性愛とは愚かしい肉欲に過ぎないと思っていたが,そうではなかった。互いを満たし,高めていくものなのだ。
武は姫と一緒に,再び豊穣の海に浮かんだ。
そこには我と汝の境はなかった。すべてが溶け合って一つだった。

倭姫の諭し
今度の東征はただ単に東国の服わぬ者たちを成敗しに行くのではありませぬ。さまざまな死地を潜り抜けて,そなたの甘えを削ぎ落とし,真にすめら尊の内実を継承するために行くのです。荒ぶる者たちを平定するということは,あくまでも外的な目標に過ぎませぬ!
武は絶句した。それほどの期待がかけられていたとは思いもしなかった。内面の戦い,つまり自分との戦いとはそういうことだったのだ!
「自分は親から受け入れられていないという思いほど,人を委縮させるものはありませぬ。でもね,そうではないのです。大半は自分でそう思い込んでいるだけなのです。気持ちが通じないことから悲劇が起きるのですが,その大半が誤解から生じているだけです。」
「勿論,親だって未熟ですから,子どもが自分の意に沿わなかったら,怒鳴ったり,押さえつけたりします。人の世ではそういうこともあるでしょう。」
「今日ここにやってきて,ようやく目が覚めました。私は自分のことだけにかまけていて,父君が立たされている責務を思いやることができませんでした。もう一度心を入れ替えて,真の継承者になるべく努力いたします」
倭姫から賜った「な,怠りそ」という戒めは,東征の途上,要所要所において深い意味を持つことになる。
母が倭姫の口を借りて,自分の真情を吐露しているようでもある。
「でも,あなたを寂しがらせたのは私の本意ではありませんでした。あなたは自分一人でもどんどんやっていくから手がかからなかった。だからついつい手がかかる大碓に気が向いてしまったのですが,本当はあなたにもっともっと時間を割きたかった・・・・・」
武は自分が蘇っていくのがはっきりわかった。
「ああ,自分を取り戻したような気分だ。やっと自分自身になれ,大地に足がついたような気がする。東征に出発する前,自分自身のことが整理できて,こんなにすっきりした気持ちにならせていただいて,ただただありがたい。今度こそ父,忍代別の名代として出発できます」
晩秋の爽やかな風が火照った頬を冷やしてくれる。風に靡いているススキの穂の上には千万光年の彼方から星が輝いていた。

下巻に続く

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最終更新日  2011年10月15日 21時15分25秒


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