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2014年10月19日
墨の老舗、奈良の古梅園さんへ行ってきました。
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知り合いが書道をしている関係で、墨づくりの超老舗で、近鉄奈良駅から南へ歩いた所にある「古梅園(こばいえん)」さんへ行きました。昨年、この辺りは東大寺や興福寺などをぐるりと写真を撮りに歩いたついでに立ち寄った所でしたが、こんなに歴史有る墨の専門店があるとは全く知りませんでした(この建物は撮っていましたが..)。
店内で、墨を練る体験コースの申込み(有料)をしましたが、その店内もさすが老舗だけあって、なかなか趣がありました。入った時、恐らく書道家の先生達とおぼしき、やや年配の男性2人がいろいろ話をしていましたね。
そして、いよいよ工房へ。説明が達者な女性が最後までエスコートしてくれたおかげで、墨については小学生の頃の書道で墨汁を使ってわざわざ硯で墨をする事の無意味さを感じていた程度のド素人の自分にも、十分墨作りの工程を理解できました(少なくとも現場においてのみ..)
まず、薄暗い事務所と店の間の土間を抜けると、目に付いたのは素敵な和風建築の建物を貫くレール。やはり基本的に工場ですよね。
次の建物であるすぐ左は、いかにも、という建物。ここで、椿油などをお皿に入れて、いろんな大きさの芯に火を灯し、ススを採るための場所で、外にまでススがじんわり見えます。
下の写真の右側に3つ並んでいるのが「燈芯」と呼ばれるものだそうです。大きさによって、採れるススの粒子の細かさが違うとか、いろいろ説明してもらいました。
墨を練るには、膠(にかわ)を入れるそうですが、その膠を作る工場がもう消滅してしまっているそうです。この古梅園さんの先代さんが、数十年前に、こういう(膠が無くなる)事態を見越して、数十年分の膠を買い込んだので、古梅園さんは今でも昔と同じ工程で製造できているのだとか。こちらも、前の職場では技術者が膠(にかわ)を使っていたので、あの独特の色とニオイははっきり覚えているのですが、この膠は本当に綺麗。
後で膠つぼのコーナーへ行ったのですが、ニオイもあまりしないんです。やはり、不純物が少ないとそうなるのだとか。納得です。おまけに、牛だけではなく、鹿や山羊の膠もあり、それらと椿油など油の成分の組み合わせによって、出来上がった墨の色合いも異なるという話で。奥が深い、これは!
写真の膠の近くにある貝殻は、はまぐり。ナンと、このはまぐりの貝殻を使って、できた墨の表面をひたすら磨いて、艶を出すのだそうです。こんなこだわり、いかにも日本人の思考の賜ですよ。このサイズのはまぐりを入手する為に九州まで行かれているとか。
膠つぼ(大きいです)がずらりと並んでいます。
次に、いよいよ体験コーナーへ。実際に、墨を練っている職人さんが居たのはこの建物。
この建物の下のガラス戸から半地下式になっている部屋が見えて、そこで職人さんがひたすら練っていました。
この日は1人でしたが、多く生産する時は3人で練っているそうです。それにしても、ここで1日中練るって、すごい精神力です..。練った墨を手渡され、「しっかり握って下さい。」と言われたので、力の限り握りしめたら、全ての指の隙間から墨がひねり出てしまいました。本当は「適度」に握って、親指の近くから飛び出した部分を親指でちょっと押さえ込んで出来上がり、という簡単な体験だったのに、完全に失敗。おとなしそうな職人さんに笑われてしまいました
次に、墨を乾燥させる建物へ。ここが敷地で一番奥の場所でした。
それぞれの木箱に灰が入っていて、そこへ入れて天然乾燥するのですが、建物の入口に近い所や奥の方など、それぞれ湿度の違う場所をローテーションするとの事で、この建物専門の職人さんも一人常駐しているそうです。ナンという手間...。
この工程のあとは別の建物へ移され、こんな具合に干し柿みたいに吊していました。
墨も10年間呼吸するそうで、人気の墨は数年で取り出されて販売されるらしいのですが、自分達が見た一番手前の墨などは30年位前のものだとか。どんだけ在庫してるんや!! という感じで、現代のコストパフォーマンス最優先の工場では絶対考えられない光景が広がっていました。
墨の形に整形する型を彫る職人さんも、日本最後の生き残りといわれる方のモノで作っているらしいのですが、とにかくこの工場はユネスコの世界遺産に登録してもいいような場所なのでは、と思いましたね
お店にずらりとならんでいた墨も、中にはウン万円するようなモノがありましたが、この工程を見たらじぇんじぇん高いものに思えませんでした。荒い硯で墨をすると僅かですが青色に発色する話だとか、それはもういろいろ丁寧に教えてくれました。それにしても、大河ドラマの黒田勘兵衛が大活躍した時代に産声を上げたというこの古梅園さん、この古からの製法をいつまで続けて頂けるのか、書道も何もしていない自分でも気になってしまいました。ずっと残って欲しいもんです。
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Last updated 2014年10月19日 11時59分25秒
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