Jun 9, 2005
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カテゴリ: 私的創作文
   大人に読む物語~昔、大人は偉かった~


「ねえ、知ってる?」


「何を?」


「あのね、昔、大人は偉かったんだって。」


「へえ、珍しい事もあったもんだね。」


「びっくりでしょ。」


「びっくり。」


「昔の大人は、今と違ってちゃんとしてたんだって。」


「嘘みたいだね。」





「是非とも見てみたかったなあ。僕の知る限りでは、そりゃあひどいもんだよ。絶対にこうはなりたくないってお手本みたいなのばっかり。」


「ロクなもんじゃないねえ。分かる。」


「嘘吐くでしょ、誤らないでしょ。認めないでしょ。そのクセ、人が悪いみたいに言うでしょ。自分の事は言うのに話聞かないでしょ。怒ってるか酔っ払ってるかしかないでしょ。あと、昔話しかしないでしょ。『俺の若い時は・・・』って今の話じゃないじゃん。終わった事ばっかり言って。最悪。」


「最悪だよね。」


「僕、もう少し憧れたかったんだ。本当は。『こんな人みたいになりたい』って。」


「もう少し偉かったらねえ。」


「ねえ。僕は絶対あんな風になりたくない。」


「良いんだよ。真似しなきゃ。むしろ許してやるか、くらいに考えた方が良いんじゃない。」


「そうだね、仕様がないもん。」


「ホント、仕様がない。」


「偉いかどうかなんて、自分が決めるものじゃないのにね。そうであれば良いくらいに考えられないのかな?」





「ねえ、昔の大人ってどんな感じだったの?」


「凄かったらしいよ。とにかく元気で、無邪気で、優しくて、力強くて。罪人にさえ無垢なものがあったって。純粋と言うか、潔いと言うか。」


「素敵だね。今と大違い。今は見てられないものね。歳をとっても学ばない人、多いから。僕らから見ても明らかに矛盾してるものね。何がしたいのかな?」


「何もしたくないんでしょ。今に生きたくないから、昔の話しかしないんじゃない?」


「そうだろうね。どうせ何もしたくないなら、本気で何もしなきゃ良いのにね。」





「何を?」


「いろいろ。だって、最初から付き合ってられないって分かってるから、僕達は僕達のやる事を考えないと。」


「そうだね。悪いお手本からは真面目に学ばないとね。」


「お手本は悪いけど、同じ事しなきゃ良いから、良いお手本かも。」


「そうね。真似しなきゃ良いもんね。むしろ僕達が、偉かった時の大人になればいいんだ。そうすれば、僕達の子供に同じ想いをさせなくて済むね。」


「あっ、それいいね。僕達がお手本になればいいんだ。今ならまだ僕達からやり直せるね。
それいい。凄くいい。」


「いいでしょ。良く見ておかないと。」


「良く見ておかないとね。」


「いろいろね。」


「うん、いろいろ。」


「何とかしようよ。」


「何とかなるよ。」


「何とかなるか。」


「何とかなるよ。そんな時もあったんだから。」


「そうだね。今、大事。」


「うん、今、大事。」







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Last updated  Jun 9, 2005 07:47:48 AM
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