マドリードの戦略は利益の拡大にあることは間違いない。スポンサー資金や多額のTV放映権料を獲得するには、大スターの存在は欠かせない。その辺の事情は選手だって百も承知だから、どうしても甘えが出てくる。監督よりも選手が大切にされてきたことは、この数年間の監督交代劇を見ればわかる。ブラジル代表監督でさえも結果を残せずに去っていくしかなかった。スターのわがままを叱ることのできる鬼軍曹は、レアル・マドリードに存在しなかった。これだけの戦力を保有しているのに、優勝に無縁なのは指揮官の責任であるとされて、毎年のように監督交代劇が続いてきた。
カペッロ監督は自信満々で就任したはずである。ユヴェントスの崩壊があったとはいえ、誰もが敬遠しているマドリードを引き受けるには、それなりの覚悟がないと指揮などとれない。結果が残せなければ、カペッロでさえもあっさりと首になるのがレアル・マドリードの宿命ならば、やりたいように行動してから首を差し出そうと覚悟を決めたのも当然になる。動きの鈍いロナウドはともかく、ベッカムまでも血祭りにするのだから、規律を求める姿勢は徹底している。
小うるさい人間が監督になると、それに調子を合わせる選手と無視する選手が出てくる。時間厳守などという規律を打ち出すカペッロに反感を持つ人間が出てくる。それを露骨に打ち出したのがロナウドとベッカムなのだろう。先発メンバーから外されたベッカムがカペッロの話を素直に聞くわけがなく、内紛の炎が上がるのは止むを得まい。頭を抱えているのが経営陣になる。チームが強くなって欲しいけれど、人気が薄れたり、トラブルを起こすのはご法度だからである。
ユヴェントスのような質実剛健のクラブにするか、それとも華麗な銀河軍団を維持するかは難しい選択になる。カペッロさえもてこずるのだから、多くの監督が途中で挫折してきたのは当然だろう。徹底的に強さを追求するか、どこまでも人気を追及するかの選択は、レアルマドリードの将来を大きく左右する。ロナウドやベッカムを放出するといっても、力の落ちた二人を受け入れられる金持ちクラブは、米国や石油産出国あたりにしかないから、レアル改革の前途は多難である。
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