MATRIX7

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2009.02.28
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カテゴリ: 現代社会
 世界最大の金融グループと呼ばれたシティバンクも終焉の時期が近づいている。アメリカ政府は普通株式への転換を行い、国営化に進む決断を行ったらしい。これまでは、金融部門のトップも銀行国営化に否定的だった。自由主義の旗を掲げながら、国営銀行を設立したのでは矛盾する。金は出すが口は出さない米国政府の方針が揺らいだのは、シティの資産内容の悪さだろう。貸し出した資金の多くが焦げ付く可能性が高い。それを察知して、シティの株価は1ドル程度まで下がってしまった。シティの株を買った投資機関はどこも大損をしている。
 シティグループを政府管理下におく意味合いは重い。赤字額が大きすぎて、単なる政府融資では支えきれない。世界各地に配置された銀行網を考えると、シティを倒産させるわけにもいかない。あまりにマイナスの影響が大きすぎるし、米国金融資本の海外撤退につながる危険がある。政府そのものがシティを運営すれば、さまざまな信用のマイナスを取り返すことができる。シティバンクから逃げ出した預金を取り戻さないと、収支のバランスが取れない。預金者は逃げ出し、貸出先も夜逃げするという最悪の場面にシティは立たされている。これを変化させるには、信用力を強化するしかない。株価1ドルでは、信用力がゼロに等しい。
 シティは利益優先の思想のもとに、あらゆる金融手段を使って預金を獲得してきた。他の銀行と同じサービスでは、シティに預金する客はいない。そこで、非合法すれすれの獲得術が使われることになった。日本支店で富裕層部門の閉鎖が金融当局によって行われたことは知られている。金持ちに有利な情報を流し、それによって多額の預金を獲得するという手法は日本だけでなく、世界各地でも行われていたはずである。普通の市民がシティを利用するのは海外旅行のときくらいだろう。シティは対象を富裕層に絞ることで、収益を向上させてきた。日本の銀行が庶民を相手にしているのとは対照的な姿勢になる。
 シティが高収益を上げてきたのは、投資銀行部門といわれている。しかし、正しい投資を行って収益を高め、金利として預金者に配分するのは、途方もないエネルギーが必要になる。投資はリスクが高く、常に収益を得られる保証がない。工場を建設して製品を販売し、そこから利益を得るようになるには、長い期間が必要になる。確かに効率が悪い。そこで、シティグループは即座に利益を得られる不動産部門と高利貸部門に資金を集中させていく。両方を重ねたのがサブ・プライムローンだろう。貧しい人々に10%~30%の高金利で住宅ローンを貸せばどうなるかは、金融専門家ならば見えていた。それでも、シティグループは見かけ上の数字を高めるために、リスクに突き進むしかなかった。
 シティの規模と資金力があれば、普通に運営していても利益を上げられる。シティの経営陣は普通の数字を並べることは許されなかった。たちまち、更迭されてしまう。日本の銀行の収益性の低さを笑っていたほどである。しかし、企業に対する融資や途上国に対する資金供給で利益を上げることは難しい。優良企業や貿易収支が黒字の国々は、シティの高金利の金を借りたりしない。シティの高金利融資を受け入れるのは、怪しげな企業と最貧国の政府くらいしかない。つまり、莫大な預金を集めても、投資する対象が限定されていた。世界金融戦争に勝ち抜き、有数の金融グループになったシティが破綻に直面したことは、いろいろと考えさせてくれる。いずれにしても、融資した貸出先が逃げ出している現状では、資金の回収は難しいだろう。シティの赤字を知って、多くの預金者は口座を解約してしまう。次の局面でも、茨の道が待ち受けていることは間違いない。





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Last updated  2009.02.28 18:24:32
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