MATRIX7

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2009.06.10
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カテゴリ: 国際経済
 オバマ政権とイタリア・フィアット社との合意によって、クライスラー再建は順調に進むと考えられていた。しかし、破産した企業の資産売却は複雑な過程が必要であり、政府が考えるほど甘くはなかった。オバマ政権は債権者たちへの配分率を切り下げ、株式の多くを政府とフィアットとUAWが保持する案をまとめている。この結果として、クライスラーに投資してきたファンドは打撃を受けることになった。そこで、インディアナ州の年金基金が連邦最高裁に売却の差し止めを求めて提訴した。当初は、最高裁が提訴を却下すると考えられていたので、クライスラー再建に影響はでないと考えられていた。ところが、最高裁判事が判断の先送りを決めてしまい、クライスラー売却が実現するのか、しないのかが不透明になっている。
 企業破産によって、すべての工場を操業停止しているクライスラーの頼みは、フィアットだけになる。世界の自動車メーカーの中で、クライスラー救済に名乗りをあげたのは、フィアット1社しかない。もし、フィアットが心変わりをすると、クライスラーは清算に進むしかなくなる。土地や工場や在庫などの価値のあるものがすべて売り払われて、返済資金に回される。クライスラーは跡形もなく消滅させられてしまう。オバマ政権としては、フィアットとの合意を維持するしかないのに、6月15日までに売却が決まらない場合は、フィアットは再建事業から撤退することができる契約になっているという。
 投資によって損失を出す年金基金が売却差し止めを提訴したのは、ほとんど嫌がらせに近い。これによって、配分率の見直しを求めているのだろう。清算されると二束三文になるクライスラーの資産も、自動車生産が再開されれば価値が上がる。再建を成功させることが投資家にとっても利益になるのに、足を引っ張る行動をとるというのがアメリカ的になる。配分率をアップさせるための「ぎりぎりの交渉」を政府に求めているのだろう。そんなものを認めていては、クライスラーは資金不足になって再建が難しくなる。そういうゴタゴタが敬遠されて、クライスラーは孤立したのに、この段階で水入りになってしまった。
 クライスラーの工場で生産を再開するには、難問が待ち構えている。フィアットの小型車をクライスラーの工場で生産するには、かなりの時間がかかる。設備を取り替える必要があるし、部品も輸入しなくてはならない。小型車生産に慣れていない工場設備の見直しも求められる。その上、小型車は安くて利益率が低い。儲からない小型車で何兆円もの借金が返済できるだろうかと考えると、オバマ政権の再建案は、机上の空論に見えてきた。





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Last updated  2009.06.10 11:26:53
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