春宵一刻

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2009.05.21
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カテゴリ: ミニ小説
この国では人間は生まれたら6畳の家を無条件に国から与えられる。

この家は特殊な箱のようなもので転勤や結婚により移動する場合列車で引かれて移動するのだ。各家の玄関にはレールが敷かれていてどこへでも移動できる。

結婚すれば家、つまり二つの箱はドッキングしひとつの箱になり12畳になる。

子供ができれば6畳別の箱が加わり、大家族になるほど家が大きくなる。

そしてその箱は持ち主が死亡した場合、棺おけになるのだ。6畳の棺おけに。

つまり人は家とともに人生を歩み家とともに人生が終わる。

今、一人の男が妻を見送った。

最後に花束を妻の家にそなえ、妻の家は彼の家から離脱していった。

火葬場へと続くレールの上に載って遠くへ離れていく。



列車は汽笛を鳴らしながら視界から消えていった。

春の日差しがこんなに暖かいというのに・・・。






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Last updated  2009.05.21 22:29:54
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