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2018.01.31
大学が急に増えたわけ
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大学が急に増えたわけ
仲村教授は、その遠因を「戦後体制(レジーム)」にあると考えています。ここでは、多少ヒントを述べておきたいと思うのですが、こういうことです。団塊の世代という言葉をご存知でしょうか。それは、太平洋戦争後の昭和二二年、二三年、二四年に、戦争から復員してきた人たちが、なんとか生活が落ち着いて、妻の元へ帰り、または結婚して、子どもがこの三年間に集中して出来たために、人口構成の中で突出して多いことを指す年齢階級構造です。作家の堺屋太一氏が、同名の本を書いたことから、名づけの親のように言われているのです。
この世代は、後の高度成長を支え、また大学紛争を経験し、左翼の潮流を形成し、この塊が年齢構成の上位に達し、超高齢化社会の団塊として、年金、社会保障、医療の大きな負担を社会経済に強いているわけです。この団塊の世代が大学に大量に入ったのが、昭和四一年から四三年で、大学を卒業して会社に入るのが昭和四五年から四七年です。大学に進学しなかった団塊の世代は、すでに工場や商店などの会社員になっていましたが、五人に一人の大学進学者と、高(中)卒者が日本の人口構成の非常に大きな割合を占めていたのです。
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当時の定年は概ね六〇歳から六三歳位でしたから、一方で定年を延長して、団塊の世代を収容できる枠を大きくすることと、大学の新増設を加速させて、団塊の世代後の出生率の低下後の第二次ベビーブーム(団塊の世代ジュニア)世代を大学に収容して、団塊の世代の雇用を守る必要があったと仲村は考えているようです。
簡単な図式化を行なえば、団塊の世代が生み出す膨大な税収を新規の大学や学科・学部増設に振り向け、若者の新規労働市場への参入を引き伸ばす、そのために見境なく大学定員を増やしたと言うのです。確か、『第三の波』で有名なA・トフラーも、そのようなことを言っていたように思います。
この仮説は、団塊の世代の人口構成比の推移と、大学入学定員の増大の推移をクロスさせれば証明できると言うのです。仲村から言わせれば、目を閉じていてもグラフが目に浮かぶ「一八歳人口と進学率等の推移」に、大学新増設(進学率と収容力の急上昇)がパラレルに進んだことが、そのマクロレベルの証明だと言うのです。つまり、仲村は、基本的に年功序列を基本とした雇用構造を、大学・学部の増設で維持してきた、戦後レジームの構造問題だという訳です。左の資料に最新のデータがあるので、じっと眺めてみてください。仲村の言わんとすることが理解できると思います。
仲村の言わんとすることを理解するために、比喩を用いてみよう。毎年、毎年、中学ないし高校から、そして短期大学や大学から労働市場へ排出される学生を大河の流れにたとえよう。その大河の流れ着く先が海洋で、その労働市場という海洋が、大河の水の流れを十分に収容できるだけの収容力を持っていれば、何ら問題はない。しかしながら団塊の世代という大量の労働力をこの海洋が収容しきれないとすると、大河の中間地点辺りに、一時的に堰を作って滞留させ、労働市場の逼迫や過剰傾向を見極めながら水量の調節をする必要があった――それが大学設置の増加の遠因であったと、仲村は考えているようである。多様な大学院修士課程の設置も含めて考えると、仲村の仮説はあながち的外れとはいえないであろう。
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最終更新日 2018.01.31 11:14:58
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