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フク爺「台風、どうやら無事に通り過ぎたようじゃ」サチ婆「そうじゃな」フク爺「台風っちいうのは不思議じゃ」サチ婆「不思議?」フク爺「雨や風がこれでもかっち暴るんけど過ぎると静かになる」サチ婆「うん、静かになる」フク爺「それもやけに静かになるんや」サチ婆「そうやな」フク爺「あれほど揺れた木も稲も何もかもが落ち着く」サチ婆「落ち着く?」フク爺「みんなホッとしたように落ち着く」サチ婆「そうやな」フク爺「そして、小鳥や蝉たちが鳴き始める」サチ婆「いつもと同じ時間が始まるんや」フク爺「そういうことちゃ」サチ婆「……昨日ん夜、台風が去った後、神社から太鼓の音が聞こえちょった」フク爺「……」サチ婆「フク爺さんは練習しよらんかったかいのう?」フク爺「ああ……蝉が鳴き始めたわい」サチ婆「ああ……盆が近づきよるやな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.08.03
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フク爺「サチ婆さんよ、また台風が近づきよんな」サチ婆「そうやな、稲が大変や」フク爺「大事な時やけんな」サチ婆「これだけはフク爺でもどうにもならんわな」フク爺「ふふふ、台風と赤子にはかなわんわ」サチ婆「爺様が言いよったことがある」フク爺「何ち?」サチ婆「フク爺さんにできんことはねえように思える時があるちな」フク爺「ふふふ」サチ婆「神社の火事ん時がそうじゃった」フク爺「そうじゃな、神社が火事になった時がある」サチ婆「ご神体が大変じゃと、みんなあわてふためいたよな」フク爺「もう火が回っちょったもんな」サチ婆「ところが、フク爺さん、池に浸かると、それから神殿に飛び込んだんちな」フク爺「うん、ワシは考えねえ人間やけんな」サチ婆「爺様は止めることもできんじゃったと、ずっと後悔しちょたわい」フク爺「キイチロウ爺がのう、そりゃ、心配かけたのう」サチ婆「それよりも、フク爺さんがご神体を抱えて出てきた時にゃ驚いたそうじゃ」フク爺「シラシンケンやったもんな」サチ婆「爺様がよく言いよった。あん時のフク爺さんは夜叉か何かが乗り移ったとね」フク爺「そうじゃろな。普通なら、ご神体をワシひとりではとうてい抱えんわい。 火事場のなんとかというもんじゃろう」サチ婆「爺様、感謝しつつ、フク爺さんの無茶には呆れちょった」フク爺「ワシも若かったけんな、今んなら無茶はせんし、もうムリがきかん、ああ」サチ婆「ふふふ、ところでフク爺さん、 あんた、昨日ん晩、神社で太鼓の練習しちょらんかったかいのう」フク爺「……」サチ婆「ああ、蝉が鳴きよる……盆が近づいちょる」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.08.02
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フク爺「サチ婆さんや、キイチロウ爺さんは歌がうまかったよな」サチ婆「そうやな」フク爺「特に口説き歌が最高やった」サチ婆「爺様の声は細かったけんな」フク爺「そう女性よりも艶っぽかったよな」サチ婆「ふふふ」フク爺「あの声で口説かれたらオナゴしはたまらんかったやろうな」サチ婆「ふふふ」フク爺「サチ婆さんも、キイチロウ爺さんのあの口説き歌に欺されたんかいのう」サチ婆「ふふふ」フク爺「最近、こん村にもあの口説き歌を残そうち保存会ができたらしいな」サチ婆「いいことや」フク爺「しかし、キイチロウ爺さんがいない」サチ婆「うんにゃ、歌の上手な人はまた現れるんち」フク爺「そうかいな、そしてサチ婆さんのように欺されるオナゴしもな」サチ婆「ふふふ」フク爺「そうやな、歌でオナゴしを欺すんは結構やな」サチ婆「ふふふ」フク爺「ワシはダミ声やったけんな」サチ婆「ふふふ、フク爺さんには太鼓があったやけんな」フク爺「ふふふ」サチ婆「ところで、昨日の夜ん神社の稽古、フク爺さんは行っちょらんかったかい?」フク爺「……」サチ婆「太鼓を叩きよらんかったかい?」フク爺「ああ、蝉が鳴きよる……もうすぐお盆やな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.08.01
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サチ婆「フク爺さんよ、アンタはなぜ太鼓を叩くんよ」フク爺「なぜっちな……ようわからん」サチ婆「ようわからん?」フク爺「そう、ようわからん、わからんけどな、太鼓を叩いちょるとな」サチ婆「太鼓を叩いちょると?」フク爺「なんか胸がすーっとしちきよるんや」サチ婆「胸がすーっとね」フク爺「そう、怒りや哀しみなどすべてものが消えてすーっとするんや」サチ婆「すべてのものがな」フク爺「そう、キイチロウ爺が言っていたな」サチ婆「爺様が何と?」フク爺「それを『無心』というのじゃとな」サチ婆「無心?」フク爺「そう」サチ婆「爺様がそんなことを言ったんか」フク爺「そうそう、無心になるとな、次には村ん人みんなの幸せを祈るようになる」サチ婆「そうか」フク爺「亡くなった人の冥福や、稲の豊作への願い、災害が起こらないようとの願い、 そして天地の自然んもんに対する感謝の念が生まれてな……」サチ婆「生まれて?」フク爺「感謝の念が生まれて……太鼓の響きに深みが出て来るんじゃとな」サチ婆「爺様がそんなことを……」フク爺「むずかしいこと、ワシにはわんらんかったけど、 無心ちいう言葉、なんとなく好きになって、ワシは太鼓を叩きよったな」サチ婆「ところで、昨日ん夜、神社の太鼓の練習、フク爺さん行かんかったかいのう?」フク爺「……」サチ婆「フフフフ、蝉が鳴きよる」フク爺「うん、蝉が鳴きよる、盆が近づきよる……ああ夏やな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.31
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サチ婆「フク爺さん、昨日ん夜、何をしちょった」フク爺「昨日ん夜っち?」サチ婆「昨日ん夜は家にいたんか」フク爺「……」サチ婆「やっぱりな」フク爺「……」サチ婆「昨日ん夜も、神社で盆踊りん稽古の音が聞こえよった」フク爺「……」サチ婆「太鼓ん音も聞こえた」フク爺「……」サチ婆「昨日ん夜の太鼓の音は良かった」フク爺「……」サチ婆「響きが違っちょった」フク爺「……」サチ婆「フク爺さん、今日のあんたの顔はすっきりしちょるぜ」フク爺「……」サチ婆「いい顔をしちょるぜ」フク爺「……」サチ婆「お盆の夜、楽しみにしちょるぜ」フク爺「……」サチ婆「ああ、今朝も蝉が鳴きよるな」フク爺「うん、蝉が鳴きよるな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.30
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フク爺「サチ婆さんや、お盆が近付いたな」サチ婆「そうやな、またお盆が来る」フク爺「神社では、若い衆が盆踊りの練習しよる」サチ婆「ああ、お囃子の音はいいよな」フク爺「サチ婆さんチのキイチロウ爺さんの盆踊り歌は良かったな」サチ婆「フク爺さんの太鼓も良かったよ」フク爺「キイチロウ爺さんからおまえの太鼓は響き過ぎるっち、いつも叱られたわい」サチ婆「ふふふ、爺様は盆踊りん歌だけは真剣じゃたもんな」フク爺「ふふふ、そうやな怒らん村長と呼ばれるぐらい温厚な人やったもんな」サチ婆「爺様とフク爺さんは仲良かったからな」フク爺「キイチロウ爺さんが声を高くする。ワシも太鼓を強く打つ」サチ婆「盆踊りの爺様とフク爺さんのかけ合いは名物やったもんな」フク爺「キイチロウ爺さんがいなくなっち、ワシは太鼓を辞めた」サチ婆「辞める必要はなかったのに……」フク爺「ううん、キイチロウ爺さんの歌がねえと、ワシの太鼓も響かん」サチ婆「そうかいのう、フク爺さんが太鼓を打ってくれたら爺様も喜ぶよ」フク爺「……」サチ婆「盆踊りは供養やもんな」フク爺「……」サチ婆「神社の練習はまだ続きよる」フク爺「うん、みんな頑張っちょる」サチ婆「太鼓も聞こえるけど、こん響きじゃ、爺様は唄えん」フク爺「……」サチ婆「やっぱりフク爺さんの太鼓じゃないと爺様は唄えん」フク爺「……」サチ婆「ふーうっ、盆が近付きよんな」フク爺「ああ、盆がまた来る」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.29
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フク爺「サチ婆さん、蝉が鳴きよる」サチ婆「そうやね、鳴きよるね」フク爺「去年も鳴きよった」サチ婆「そう、去年もね」フク爺「その前ん年も、その前の前の年も……」サチ婆「そう、ずっと前からね」フク爺「これからも鳴くんやろうな」サチ婆「鳴くよ」フク爺「ワシらが死んでも……」サチ婆「鳴くよ、鳴いちくれるよ」フク爺「そうやな、お盆が過ぎるとピタッっち鳴きやむもんな」サチ婆「そしてヒグラシや」フク爺「ヒグラシん鳴き声は寂しいのう」サチ婆「せつないせつないっち鳴くんや」フク爺「せつないっち鳴くんか」サチ婆「そうや」フク爺「せつないっちか……ああ」サチ婆「もうすぐお盆や」フク爺「サチ婆さん、生きるっちせつないよな」サチ婆「ふふふ……フク爺さん、頑張って下さいな」フク爺「ドッコラショ、今日も一日、頑張りましょう、じゃな」サチ婆「ハイハイ、フク爺さん、麦藁帽子、忘れちょるよ」フク爺「ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.28
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フク爺「サチ婆さんや、アチィッナ」サチ婆「昨日も同じこと言いよった」フク爺「そうかな、それにしてもアチイッナ」サチ婆「夏やけんな」フク爺「夏やもんな、昔ん夏はどけんしよったんかな」サチ婆「草を取りよったんじゃないんかい」フク爺「そうじゃ、朝早うから草を取りよった」サチ婆「百姓の夏の仕事は草取りだけじゃったな」フク爺「取っても取ってもはえてきよったな」サチ婆「草っちいうヤツは本当にしつこい」フク爺「時々、こん草が食べられればいいんにと思いよったわい」サチ婆「ふふふ、草が食べられれば百姓は金持ちになれるわい」フク爺「しかしな、草んヤツも生きちょるんやけな」サチ婆「ふふふ、フク爺さん、哲学者になりよるな」フク爺「哲学者?そんなもんわからんけど、とってもとっても草ははえてくる」サチ婆「……」フク爺「そんな草を見てると、こいつも頑張っちょんると思えていじらしくなるんや」サチ婆「ほおーっ、それで草をとるのをやめたんか」フク爺「いや、やっぱり、ムシリ取った、稲の敵やけんな」サチ婆「ほほほほ、フク爺さん、アチイッイナ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.27
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フク爺「サチ婆さんよ、アッチイィナ」サチ婆「フク爺さん、そうですよね、暑いですね」フク爺「こげえアチイと何も喰う気がせんよ」サチ婆「ふふふ」フク爺「サチ婆さんは、こげえな日でも喰う気力があるかい」サチ婆「人間、食事を戴かなければ元気になりませんよ」フク爺「そりゃそうだけんど、こげえくそアチイとな」サチ婆「そうですね」フク爺「こんなアチイ日、キイチロウ爺さんは何を喰いよったんかい」サチ婆「そうやのう、爺様は何でも戴いてくれましたよ」フク爺「何でん、その中でん、おいしそうに喰いよったもんは何かえ」サチ婆「そうですね、佐藤さんの豆腐が好きでしたね」フク爺「佐藤豆腐店ん豆腐かい、あの固い田舎豆腐をね」サチ婆「そう井戸水でしっかり冷やしておくんです」フク爺「ふむふむ」サチ婆「夕飯ぎりぎりになって、それを出してガラスの器に盛ります」フク爺「ふむふむ」サチ婆「その上に、研いだばかりのカツオ節をたっぷりかけてね」フク爺「たっぷりとね」サチ婆「細く切ったネギとすりたてのしょうがをかけてね」フク爺「うんうん」サチ婆「我が家の自家製の醤油につけて戴いてましたね。 もちろん冷酒をチヒリチビリと、爺様、それはおいしそうでした」フク爺「ゴクリ」サチ婆「時には、オクラやキムチ、そうそう納豆などもかけてましたね 一度にかけずに、ひとつずつかけてはパクリとね。 そうすると、豆腐も味が変わっておいしいしんやとね」フク爺「サチ婆、俺、帰る……ふふふ……冷や奴か……ふふふ」サチ婆「……フク爺さんや、いつまでも健康でいてや……な」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.26
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フク爺「耶鉄が消えた、今は自転車ん道になっちょる」サチ婆「サイクリングロードっちいうやと」フク爺「細工か大工かわからんけど静かになった」サチ婆「村が静かになった」フク爺「人がおらん、昼なんど誰も歩きよらん」サチ婆「そうやの」フク爺「昔は暑くても、子供は外で遊びよった」サチ婆「そうやの、もう夏休みなんやの」フク爺「夏休みは遊ぶもんと決まっちょった」サチ婆「フク爺さんは休みん終わりにならんと宿題せんやったもんな」フク爺「サチ婆さんには写させちもらってお世話になったよな」サチ婆「ふふふふ」フク爺「今ん子供の夏休みはどうなっちょるんやろうな」サチ婆「そうやな。、ああ蝉が鳴きよる」フク爺「そう、昔、耶鉄が通ると蝉が鳴くのをやめるんや」サチ婆「そうそう、耶鉄が通り過ぎると、また一斉に鳴き始める」フク爺「田におってん、耶鉄が通ると、今んのは何時の耶鉄やと時間がわかった」サチ婆「耶鉄が日常生活になっちょったな」フク爺「ふふふふ、ふーっ」サチ婆「フク爺さん、ため息などついて……ふーっ」フク爺「サチ婆さんもため息ついたっち」サチ婆「時は過ぎていくということじゃ」フク爺「ああ……今年ん夏が過ぎて行きよんな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.25
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フク爺「昔、耶鉄は、毎日、走りよった」サチ婆「そうやね、朝から夜までな」フク爺「正月から大晦日まで一年中な」サチ婆「そうそう、毎日やな」フク爺「田植えん時も、稲を刈るん時もな」サチ婆「そうやな、耶鉄が通ると稲が揺れちょった」フク爺「そうそう、耶鉄が通ると風が吹きよった」サチ婆「耶鉄に乗ちょった高校生の笑い声が聞こえちょった」フク爺「そうやな耶鉄は軽かったものな」サチ婆「カターンカターンやものな」フク爺「ディーゼルになってより軽くなったわな」サチ婆「どうして耶鉄は廃止になったんや」フク爺「中津ん駅を高架するん時に負担金を求められたらしい」サチ婆「耶鉄は採算ギリギリで走りよったもんな」フク爺「負担金を払えん、この際、廃止しようかっちなったんや」サチ婆「駅は立派になるん、耶鉄は消える、寂しいな」フク爺「寂しい」サチ婆「ワシ、時々、耶鉄の響きを聞くことがある、カターンカターンとな」フク爺「うん、耶鉄は風になったんや、耶馬溪を吹き渡る風になったんや」サチ婆「耶鉄は耶馬溪の風になったんか……カターンカターン……ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.24
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フク爺「最近、耶鉄が走っていた頃が懐かしいんや」サチ婆「懐かしいけれど、あん頃は、みんな元気じゃったな」フク爺「そう元気じゃった、みんな貧乏じゃったけれど元気じゃった」サチ婆「がむしゃらやったわな」フク爺「そうじゃのう、まるで耶鉄のように走りよった」サチ婆「ふふふ、ゆっくりじゃったが力強かった」フク爺「そうじゃ、耶鉄は人間も木材も何でも運びよった」サチ婆「昔は金山の金も運びよったらしい」フク爺「そうじゃった、金山もあった、温泉もあった、観光客も来よった」サチ婆「秋になると全国から観光客が来よった」フク爺「うん、耶鉄が毎日満員やった」サチ婆「凄かったな」フク爺「凄かった、稲刈りをしよったワシも驚いたよ」サチ婆「ふふふ、汽車がエンコラセと走りよった」フク爺「汽車も最後ん方はディーゼルに変わったわな」サチ婆「そうやな、煙が消えたわな」フク爺「耶鉄はやっぱり煙が似合っちょった」サチ婆「煙でもトンネルん時は参ったな」フク爺「ふふふ、そこん不器用んところがいいんじゃ」サチ婆「不器用、田舎らしい、そうじゃな……ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.23
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フク爺「サチ婆さんや、耶鉄の名前を覚えちょるかい」サチ婆「そうそう、耶鉄にはそれぞれ名前がついちょったのう」フク爺「うん、鳥の名前や」サチ婆「それに自然っちいうかな」フク爺「そうそう、山や川に関する名前じゃ」サチ婆「『かじか』っちいう汽車もあった」フク爺「そうそう『ひよどり』も鳥ん名前じゃ」サチ婆「『せきれい』もあった」フク爺「そうやな、よく覚えちょるな」サチ婆「覚えちょるというか、子供たちで言い合いっこしよったな」フク爺「そうじゃのう。それが遊びじゃったもんな」サチ婆「『やまびこ』っちいうのもあった」フク爺「『せせらぎ』っちいう汽車もあった」サチ婆「みんな美しい名前じゃった」フク爺「次ん来る汽車が何っちいうか楽しみやった」サチ婆「ワシはあまり乗らんかったけん、そんな経験はねえ」フク爺「あっ、ゴメン、サチ婆さんやゴメン」サチ婆「別に何も気にしちょらん、しかし、耶鉄は懐かしいな」フク爺「耶鉄、懐かしいな……カターンカターン」サチ婆「本当に懐かしい響きやのう……カターンカターン」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.22
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フク爺「昔はな、中津駅に汽車が入るとな 『なかつー なかつー 耶馬溪線のりかえー」と駅員の声がしたもんや」サチ婆「フク爺さんはよく耶鉄に規ったもんな」フク爺「そうやな、おなごしはあまり用事がなかったしな」サチ婆「とくにワシは出不精だったしな」フク爺「今でんサチ婆さんはどこにも行かん」サチ婆「どこにも行かんでん用事は済む」フク爺「用事は済むかしれんけど旅はいいでん」サチ婆「そりゃわかる」フク爺「そう中津駅で、あん駅員の声を聞いたら耶馬溪に戻ったち思うたわ」サチ婆「旅に出てん、やはり故郷がいいやろう」フク爺「そりゃそうじゃ、戻るところがあるけん、旅はいいんや」サチ婆「耶鉄は、故郷に続いているもんな」フク爺「昔は柿坂までやってな、守実まで行くようになったのは大正ん終わりじゃ」サチ婆「そうかいのう、柿坂から守実までなら、ワシもちょくちょく乗ったもんや」フク爺「温泉があったけんな」サチ婆「ああ、楽しみやったわな、カターンカターン」フク爺「短いけんど、それも旅やわ」サチ婆「そうかい、楽しいのが旅なんかい」フク爺「そうや、人生も旅や、いつも楽しまなくてはな」サチ婆「フク爺さん、いいこと言うな……ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.21
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フク爺「サチ婆さん、耶鉄の煙は凄かったな」サチ婆「凄かったな」フク爺「中津からずーっと坂やもんな。全力をあげていたもんな」サチ婆「トンネルなんか大変やった」フク爺「そうそう、トンネルじゃと近付くと、それーっち窓を閉めたもんや」サチ婆「ふふふ、忘れた人がおると……」フク爺「そりゃ車内に煙がドバーッと入っちきちぃ……」サチ婆「何も見えんなるちいうよりも」フク爺「息ができんかったもんな」サチ婆「トンネルを出ると、みんなススだらけや」フク爺「そうかって夏は窓を開けんと暑かったもんな」サチ婆「そう、昔の夏は暑かったな」フク爺「だけん、耶鉄が鉄橋にかかると、涼しかった」サチ婆「そう、さわやかだった、気持ちが良かったやな」フク爺「しかし、鉄橋があると、不思議にすぐトンネルがあった」サチ婆「フフフ、そうやな」フク爺「そこで、また、それーっち窓を閉める」サチ婆「そう、窓を閉める」フク爺「忘れるヤツがいる、煙がドバーッ」サチ婆「フフフ、懐かしいね、耶鉄……ああ、時が過ぎたんやね」フク爺「そうやな」サチ婆「あん頃が懐かしい、不器用な耶鉄やったけんどな」フク爺「サチ婆や、今年ん夏が過ぎち行くわい、ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.20
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フク爺「サチ婆さんや、最近、耶鉄のことが無性に懐かしくなるんや」サチ婆「耶鉄……ふふふ……懐かしいな」フク爺「朝など、目覚めて蒲団の中にいると、カターンカターンと音が聞こえそうや」サチ婆「ふふふ」フク爺「そうなんや、ゴトンゴトンやねえんや、カターンカターンや」サチ婆「カターンカターン」フク爺「昔は木材を運びよったけんな」サチ婆「ワシは守実温泉までよう行ったわ」フク爺「そうそう、執着ん守実は栄えちょったもんな」サチ婆「しかし、本数は少なかったな」フク爺「そりゃそうや、廃止んになる時は一日に十本以下や」サチ婆「思い出したかのようにカターンカターンと来よったわな」フク爺「ふふふ、カターンカターンや」サチ婆「カターンカターン……ああ懐かしいわな」フク爺「馬力がなかったからな、電車が軽かったんや」サチ婆「そうかい」フク爺「昔は急な坂になると、降りて、みんなで押したちゆう話もあるで」サチ婆「そう、ゆっくりゆっくり走りよったわい」フク爺「ワシなんか飛び降りたり飛び乗ったりしちょうわい」サチ婆「……」フク爺「あれから耶馬溪は変わったよな」サチ婆「そうやな」フク爺「耶鉄のようなゆっくりが懐かしいわい」サチ婆「そうや、ゆっくりゆっくりや、カターンカターン……ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.19
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フク爺「サチ婆さん、おはようさん」サチ婆「フク爺さん、おはようさん」フク爺「サチ婆さん、元気かな?」サチ婆「フク爺さんも、お元気かな?」フク爺「元気も元気、元気だらけじゃ」サチ婆「それは結構じゃな」フク爺「元気が一番、最近、しみじみと思う」サチ婆「しみじみとな……ふふふふ」フク爺「そうなんじゃ、しみじみとな」サチ婆「……」フク爺「朝、起きて、暗い内に草取りに出かける」サチ婆「フク爺さんは早起きだからな」フク爺「草を取っているとな、朝陽がゆっくりと昇っちくる」サチ婆「……」フク爺「朝陽を浴びると、肌寒かった背中がぽかぽかしてくる」サチ婆「……」フク爺「生きちょん、元気やっち感じるンや」サチ婆「なるほどな」フク爺「そしてな、叫びとうなるんや」サチ婆「ふふふ、フク爺さんはすぐに叫ぶんけんな」フク爺「ふふふ、とにかく今日一日は生きるんやとね」サチ婆「そうそう、そして明日も、明後日も、フク爺さんよ、ずっと元気でな」フク爺「そうや、サチ婆さんもな」フク爺、サチ婆「元気が一番や」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.18
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フク爺「サチ婆さん、おはようさん」サチ婆「フク爺さん、おはようさん」フク爺「サチ婆さん、生きちょったんやな、良かった」サチ婆「フク爺さん、何を言うんや」フク爺「ううん、昨日の新潟んで地震あったやろう」サチ婆「そうやな、おおごとやな」フク爺「おおごとや、老人ばかりが死による」サチ婆「お気の毒なことや」フク爺「老人から死による」サチ婆「……」フク爺「台風でん、地震でん、火事でん」サチ婆「……」フク爺「みんな老人から死によん」サチ婆「……」フク爺「老人やけん、動けん、病気持ちが多い、力がねえ」サチ婆「……」フク爺「仕方がねえ、それだけじゃ、すまんもんがあると思う」サチ婆「……」フク爺「思うけんど何もできん、何もできんのが、せちい」サチ婆「……早う復旧して、お年寄りが避難所から家に戻られることじゃ」フク爺「それを祈るしかねえんじゃのう」サチ婆「……そう……」フク爺「そう思ったら、サチ婆さんが元気っちいうことが少し嬉しい」サチ婆「あんがとう、フク爺さんも元気じゃ、ありがたいことじゃ」フク爺「新潟んしも頑張っち欲しいよな」サチ婆「雨が降らんで欲しい、降るな、降っちゃいけんと」フク爺「サチ婆、ワシも祈るっちゃ……」サチ婆、フク爺「……」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.17
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フク爺「サチ婆さん、蛙が鳴きよる」サチ婆「ふふふ、鳴きよりますのう」フク爺「元気にみんなで鳴きよる」サチ婆「そうじゃ、蛙は元気じゃのう」フク爺「蛙が鳴く、田圃の水がキレイということじゃな」サチ婆「フク爺さんは農薬を控えておるからな」フク爺「そうじゃ、蛙やメダカがおらん水はおかしい」サチ婆「フク爺さんが、みんなにそう言っちくれたら、ここん水は安心じゃ」フク爺「サチ婆さんのキイチロウ爺さんが応援しちくれた」サチ婆「ワシん爺様はフク爺さんの考えが良いっち思うたからじゃ」フク爺「ワシだけじゃ無理だった。キイチロウ爺さんのひとことは聞いたな」サチ婆「何ち言うたんや」フク爺「農薬を撒き過ぎる、おまえらはこん村の子供を殺す気かと怒ったわい」サチ婆「そうかえ、そんなことをな」フク爺「そうじゃ、四十年前ん村の集まりじゃった」サチ婆「爺様がのう、爺様が怒ったかいのう」フク爺「あん優しいキイチロウ爺さんが本当に怒ったわい」サチ婆「……」フク爺「ああ、蛙が鳴きよる、ああ、いいな」サチ婆「そうじゃのう、蛙が鳴きよるのう」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.16
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フク爺「サチ婆さんや、さわやかな朝やな」サチ婆「台風も無事に過ぎて行ったわい」フク爺「台風一過ということや」サチ婆「そうやな」フク爺「しかし、雨はよう降ったなあ」サチ婆「うん、降った」フク爺「風もよう吹いたなあ」サチ婆「うん、吹いた」フク爺「昼間の台風やけん良かった」サチ婆「そうやな、夜は音だけでおじいもんや」フク爺「そうや、夜ん台風は台風というより怪物んように思ゆるわい」サチ婆「フク爺さんでもそうかいのう」フク爺「そうじゃ、おじいわい、酒でん呑まんと眠れん」サチ婆「昨日ん昼台風は、どうしちょったん」フク爺「息子や孫達と酒を呑んじょった」サチ婆「夜でん昼でん、フク爺さんは同じちっいうことやな」フク爺「ふふふふ」サチ婆「ほれ、フク爺さん、青空に赤とんぼが飛び出したよ」フク爺「ああ、赤とんぼじゃ」サチ婆「今年の秋は早いかもしれんのう……ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.15
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フク爺「サチ婆さんや、台風がとうとう来よるぜ」サチ婆「フク爺さん、今朝は電話かえ」フク爺「うん、雨も降りよるし、風も出てきちょるけんな」サチ婆「昔んフク爺さんやったら、これくらい平気やったろう」フク爺「うん、ワシは平気なんやけど、孫ん嫁が危ないけん出るなっち言うんや」サチ婆「ふふふふ、フク爺さんはお孫さんのお嫁さんには弱いからのう」フク爺「……」サチ婆「息子さん夫婦には何ち言われてん聞かんのにな」フク爺「……」サチ婆「お孫さんは可愛いもんじゃ」フク爺「……」サチ婆「フク爺さん、家に静かにおるんで」フク爺「サチ婆さん、ワシ、今、酒を呑みよん」サチ婆「酒を」フク爺「孫が一緒に呑もうち来たんや」サチ婆「フフフフ、そりゃいいわ」フク爺「息子夫婦と孫夫婦と子ども達でにぎやかじゃわ」サチ婆「フク爺の家は頑丈だからのう、避難には最高ん場所じゃ」フク爺「フフフフ……ワシが造ったけんな」サチ婆「それに周囲には、フク爺さんの植えた大きん木があるけんな」フク爺「木が家を守っちくるん」サチ婆「フフフフ、それじゃ、みなさんでお楽しみを」フク爺「台風が無事に過ぎますようにな」サチ婆「ああ、そうじゃな……ナンマイダ、ナンマイダ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.14
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フク爺「サチ婆さん、台風が近づきよん」サチ婆「うん、そうみたいや」フク爺「こん月に台風が来るんち珍しいな」サチ婆「うん、珍しい」フク爺「大きいらしいな」サチ婆「そうらしい」フク爺「来なけりゃいいな」サチ婆「来なけりゃいい」フク爺「台風はどうして来るじゃろう」サチ婆「人……」フク爺「何ち言うたんかい?」サチ婆「人が生まれる前から台風はあった」フク爺「何っち?」サチ婆「自然は人の前にありきじゃ」フク爺「お~えっ」サチ婆「……」フク爺「サチ婆さんは、時々、わからんこち言う」サチ婆「キイチロウ爺様が言いよったことじゃ」フク爺「キイチロウさんは偉かったもんな」サチ婆「自然の前では、人は祈るだけじゃ」フク爺「そういうもんかいのう」サチ婆「無事、通り過ぎていくことを祈るしかねえ」フク爺「そうにゃのう……ナンマイダ、ナンマイダ」サチ婆「……キイチロウさんよ……寂しい」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.13
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フク爺「サチ婆さん、燕が飛びよる」サチ婆「そうやな、元気やな」フク爺「ワシとこにいた燕やろうかな」サチ婆「家主ならそれぐらいわかるやろう」フク爺「うむ……わからん」サチ婆「ふふふふふ」フク爺「それにしても燕は元気や」サチ婆「元気も元気、ああやって害虫を食べてくれる」フク爺「そうなんだよな」サチ婆「燕が元気、人も喜ぶ」フク爺「それが一番なんよな」サチ婆「みんなが喜ぶ、それが一番」フク爺「ああ、おらびとうなったわ」サチ婆「なんておらびとうなったんや」フク爺「ワシも元気だとな」サチ婆「ふふふ、おらべる、元気な証拠じゃ」フク爺「サチ婆さんもおらべ」サチ婆「恥ずかしい、女はいつでもおしとやかにしとかんとな」フク爺「……」サチ婆「そうなんじゃ、女はいくら歳をとつても恥ずかしさは忘れん」フク爺「……」サチ婆「フク爺さん、早くおらべば」フク爺「サチ婆さんに驚いて忘れたわ……ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.12
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フク爺「サチ婆さんや、今日も雨や」サチ婆「そう雨や」フク爺「どうして雨ばかり降るんやろう」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「それにしても雨が多いんな」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「今月に入ってずーっとや」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「お日様も見えん」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「お月様も見えん」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「なにかうっとおしいな」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「……」サチ婆「……」フク爺「いつになったらこん雨、あがるんやろうな」サチ婆「いつかはあがる」フク爺「いつかはな……ふ~ん」サチ婆「そしたら、夏や、ふふふ、フク爺さんの好きな夏じゃよ」フク爺「そうか、夏か」サチ婆「梅雨が長ければ長いほど、今年の夏は素晴らしいと思うよ」フク爺「そうか、夏か……ああ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.11
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フク爺「サチ婆さん、ビワを食べるかい」サチ婆「オッ、立派なビワじゃな」フク爺「今年は雨が少なかったからおいしい」サチ婆「フク爺さんのビワはおいしいもんな」フク爺「うちんビワ畑は、南向きん斜面やからな」サチ婆「それだけじゃなかろう」フク爺「ふふふふ、まあな」サチ婆「フク爺さんは、それをみんなに教えるもんな」フク爺「ふふふふ、みんなでつくるとみんなで売れる」サチ婆「そうだよな、うちん爺さんはよう感心しちょった」フク爺「……」サチ婆「県や町ん指導員より、フク爺さんの言うとおりにしたん方が確かやと」フク爺「ふふふふ、頭で考えるより、身体で覚えんとな」サチ婆「ビワにしても袋かけが大変なんじゃろ」フク爺「うんにゃ、経験を積めば誰でんできる」サチ婆「そういうもんかいのう」フク爺「農業ちいうもんはそうじゃ」サチ婆「フク爺さんは村一番のお百姓さんじゃわい」フク爺「サチ婆さん、ビワはまだあるよ、食べるかい」サチ婆「ふふふふ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.10
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フク爺「サチ婆さんや、今日も雨や」サチ婆「そうやな、雨や」フク爺「よう降るな」サチ婆「そう、よう降るな」フク爺「気持ちが変になりそうや」サチ婆「人間だけや」フク爺「人間だけ?」サチ婆「草木や蛙は喜びんよ」フク爺「うん、稲も大きくなるもんな」サチ婆「うん、しかし、もう少し静かに降って欲しいわな」フク爺「そうやわな、こげん土砂降りじゃ、かなわんわ」サチ婆「雨もなんもかんも静かが一番じゃ」フク爺「そうそう、静かが一番じゃ」サチ婆「……」フク爺「どうしたんや」サチ婆「……」フク爺「サチ婆さん、どうしたんや」サチ婆「静かにしとるんや」フク爺「?!……」サチ婆「ああ、雨が降りよん……ナンマイダ、ナンマイダ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.09
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フク爺「サチ婆さんや、おはようさん」サチ婆「フク爺さんや、おはようさん」フク爺「昨日ん夜は雨やった」サチ婆「そう雨やったね」フク爺「七夕、ふたりは会えたんやろうか」サチ婆「ふふふ、どうやろうね」フク爺「うん、昔の子供はふたりのために晴れるように祈っちょったな」サチ婆「そうだね、ふたりのために晴れますようにねと」フク爺「そうそう、天の川をじっと見つめよった」サチ婆「ふたりの逢瀬を、子供が祈っちょったんだわさ」フク爺「ふふふ、昔の子供ん方がおませだったかいのう」サチ婆「ふふふ、純だったから、祈っちょったんかもしれんよ」フク爺「今ん子供は、あんなふたりなんかおらんち思うちょるけんな」サチ婆「おらんと思う前に、いて欲しいと思わんかいのう」フク爺「ふふふ、そうじゃのう、天の川で逢瀬を重ねるふたりがいる」サチ婆「そう思うと、気持ちがゆたかになるわな」フク爺「うん、昨日ん夜は雨じゃった」サチ婆「ふたりは会えんかったちいうことじゃ」フク爺「サチ婆さん、来年は晴れるといいな」サチ婆「ふたりもそれまで長生きせにゃな……ふむふむ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.08
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フク爺「サチ婆さんや、燕の雛達、いなくなったわい」サチ婆「いなくなった」フク爺「今朝、巣を見たら空っぽやった、親も雛達もおらんかった」サチ婆「フク爺さん、巣立ちしたんや、めでたいことなんや」フク爺「巣立ちしたやろうな」サチ婆「そうや、燕の親子達、また南に帰るんやろう」フク爺「理屈ではわかっちょる、わかっちょるけど寂しいわい」サチ婆「……」フク爺「さようならぐらい言って欲しかったわい」サチ婆「燕達はちゃんと言って巣立ちましたよ。フク爺さんが眠っていただけですよ」フク爺「そうかな。わしが眠っちょったのか」サチ婆「そうですよ、フク爺さんが『気をつけて』と送らんといけんかったんよ」フク爺「そうなんか、『さよなら』と言って巣立ちをしていったんか」サチ婆「フク爺さん、急に立ちあがって、何を」フク爺「燕の親子達よ~~頑張っていけよ~~お~~オッ」サチ婆「驚いた、フク爺さんもまだまだお元気ですよ」フク爺「フフフフ、来年まで待つしかないわい」サチ婆「そうですよ。来年まで待つのですよ」フク爺「来年まで、生きんといけんちゅことやな」サチ婆「ふふふふ、燕達も言ってましたよ。『フク爺さん、お元気で』とね」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.07
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フク爺「サチ婆さんや、燕の雛の巣立ちが近づいちょる」サチ婆「そりゃ良かったな」フク爺「どうやら今年の雛は三羽らしい」サチ婆「三羽……燕も少子化かのう」フク爺「父親燕も母親燕もせっせっと餌を運びよん」サチ婆「燕の親は働きもんやけんな」フク爺「そう、餌をやったかと思うと、さーっと飛びよる」サチ婆「そうそう、さーっとな」フク爺「雛んらが巣から落んか心配じゃ」サチ婆「ふふふ、またワラを敷いたんやろう」フク爺「土間にワラを敷いた」サチ婆「フク爺さんはやさしいのう、雛が落ちてん心配ねえな」フク爺「サチ婆さんから褒められた」サチ婆「あんがとうさん、燕の親に代わって礼を言いますよ」フク爺「ワラさえ敷いておりゃ、落ちてん安心やけんな」サチ婆「それだけじゃねえんやろう」フク爺「そう落ちた糞の後始末も楽や、ワラをまとめて田に入れりゃいい」サチ婆「だからフク爺さんの稲はおいしいっち言われる」フク爺「ふふふふふ」サチ婆「フク爺さんと燕のやさしさがこめられたワラが肥料になるんやけのう」フク爺「ああ、燕の雛が巣立ちをしたら夏が来るわい」サチ婆「ああ、今年の夏を迎えることもできたわい」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.06
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フク爺「最近は外で遊ぶ子供が少のうなったわい」サチ婆「そうじゃのう、こん田舎でん子供をなかなか見んわい」フク爺「子供がいくら少のうなってん、小学校もまだあるけんのう」サチ婆「子供が外で遊ばんでん、何をしちょるやろうな」フク爺「畑ん手伝いをしよらんのだけは確かじゃ」サチ婆「ふふふふ、フク爺さんが働くやものな」フク爺「百姓が畑で働く、それが当たり前やもんな」サチ婆「フク爺さんは偉いよ」フク爺「サチ婆さん、そんなに褒めてくれんでいいちゃ」サチ婆「何も誉めちょらん。本当こと言いよるだけじゃ」フク爺「それにしても子供がおらん」サチ婆「うん、寂しいことやな」フク爺「昔は、川に泳ぎに行ったり、山に木の実を採りに行ったもんや」サチ婆「フク爺さんは、アユ採りの名人やったもんな」フク爺「ふふふふ、アユがワシん回りに寄ってきたもんな」サチ婆「ふふふ、ホラ話が出てきたわい。男ん子はみんな威張りあいよったもんな」フク爺「そうやのう、オジン達は今でんホラ話で威張りあいよんよ」サチ婆「そしたら、今でん、子供んちことや」フク爺「子供んオジンが元気でいっぱいちうことや」サチ婆「ふふふふふふ、やはり田舎はいいな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.05
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フク爺「サチ婆さんや、昨夜は大雨やったな」サチ婆「うん、大雨やった」フク爺「大雨ん時、サチ婆さんはどうするんや」サチ婆「どうもせん」フク爺「どうもせん?」サチ婆「そうじゃ、どうもせん」フク爺「どうもせんのか」サチ婆「そうじゃ、どうもせん」フク爺「ふ~ん、どうもせんのか」サチ婆「そうじゃ、どうもせん」フク爺「へ~ん、どうもせんのか」サチ婆「そうじゃ、どうもせん」フク爺「やっぱり、どうもせんのか」サチ婆「そうじゃ、どうもせん」フク爺「……どうも……せ……んのか」サチ婆「そうじゃ、どうもせん」フク爺「ああ、また雨が降ってきた」サチ婆「どうもせん」フク爺「そうじゃな、どうもせんのが一番やはな」サチ婆「そう、そう、ああ雨か」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.04
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フク爺「サチ婆さんや、ウチん燕の子が大きんなっちょる」サチ婆「そりゃ良かったな」フク爺「日に日に大きくなりよる」サチ婆「燕の子は成長が早いからな」フク爺「毎日、ピーピー鳴きよる」サチ婆「ふふふふ、子は鳴くのが仕事やけんな」フク爺「親がせっせっと餌をやりよる」サチ婆「子を育てる。それが親の役目やけんな」フク爺「最近、人間の世界がおかしゆうなっちょる」サチ婆「親が子を殺して、子が親を殺しよる」フク爺「燕は変わらん、昔から変わらん」サチ婆「親が子を育てて、子は親が恋しとピーピー鳴く」フク爺「そうよな、それが本来の姿よな」サチ婆「本来の姿、うん、あたりまえのことや」フク爺「そのあたりまえのことができん人間、どうなったんやろうな」サチ婆「都会は人の生きる場所じゃねえ」フク爺「そうだよな。田舎が一番じゃ、耶馬溪が一番じゃ」サチ婆「フク爺さんもいるしな」フク爺「サチ婆さんもいる、燕の親子もいるしな」サチ婆「ああ、燕の子の巣立ちもそろそろじゃろう」フク爺「ああ、今日も静かやな、田舎は……」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.03
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フク爺「サチ婆さんや、今朝は雨やな」サチ婆「久し振りの雨や、気持ちがいいわな」フク爺「そうやわな、梅雨やもんな」サチ婆「そう梅雨やもん、雨が降らんと紫陽花や朝顔が可哀想や」フク爺「そうそう、紫陽花がきれいに咲いちょん」サチ婆「花はやはりきれいや」フク爺「きれいや、花はきれいや」サチ婆「きれいなんのは花だけかい?」フク爺「ウヌッ!」サチ婆「きれいなんは花だけかいと聞いているんや」フク爺「……」サチ婆「答えなまし、フク爺さんや」フク爺「うん、サチ婆さんもきれいや」サチ婆「そういうことやないんや」フク爺「……」サチ婆「田舎がきれいや、霧に霞んじょるがきれいや」フク爺「うん、そうやのう」サチ婆「住んでいるところがきれい、嬉しいやねえか」フク爺「ふむふむ」サチ婆「ああ、雨は気持ちがいいのう」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.02
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フク爺「サチ婆さんや、昨夜が本当の満月やった」サチ婆「フク爺さんが、一日、勘違いしたんやな」フク爺「うん、昨夜の満月ははっきり見えてきれいやったな」サチ婆「そうやな、フク爺さんから満月の話を聞いていたんで、ワシも見たんや」フク爺「昨日の満月をブルームーンと言うらしいんや」サチ婆「ブルームーン?」フク爺「そうや、孫が話してくれたんやけんど、満月を二度、見られる月があるらしい」サチ婆「ふーん、そうやな、こん六月は満月が二度も観られたわな」フク爺「最初の満月がファーストムーン、次の満月がブルームーンと言うらしい」サチ婆「ブルームーン、なんか哀しい響きやな」フク爺「うん、哀しい、哀しいから昨日も呑んだ」サチ婆「フク爺さんはお酒が呑めりゃいいんだね」フク爺「ふふふふ、一合をゆっくりとね、」サチ婆「昨夜も満月を見ながら、誰かと語りあったんかい?」フク爺「サチ婆さんの旦那のキイチロウ爺さんとね」サチ婆「……」フク爺「サチ婆さんの話し相手になってくれてありがとうと言われたわい」サチ婆「……」フク爺「サチ婆さんはしっかりもんのように見えるが、淋しいもんなんじゃともね」サチ婆「……」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.07.01
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フク爺「ああ、頭が痛てえな」サチ婆「どうしたんや」フク爺「昨日の晩、呑みすぎたようじゃ」サチ婆「二日酔いなんかい」フク爺「うん、久し振りや、こげえ頭の痛てえんのは」サチ婆「そんなに呑んだんかい」フク爺「うん、いつ寝たかも覚えちょらん」サチ婆「歳やけん、深酒は注意せんとな」フク爺「うん、孫から叱られた」サチ婆「ふふふふふ」フク爺「しかしのう、昨日の月を見よったらせつなくなってのう」サチ婆「せつない」フク爺「満月やった、昔は満月の夜はムラのみんなで呑んだもんじゃ」サチ婆「男んしは何でも呑みよったな」フク爺「うん、みんな死んじまった、ワシひとりだけが残った」サチ婆「……」フク爺「満月、見ちょったら、せつのうなって涙が出た」サチ婆「……」フク爺「みんなに語りかけよったら、いつの間にか酔って寝ちょった」サチ婆「……」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.30
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フク爺「サチ婆さん、先日、交通事故があったち、言うたわな」サチ婆「うん、国道でじゃろう」フク爺「そうそう、それじゃ」サチ婆「警察も、救急車も来なかったちいう事故じゃろう」フク爺「そうそう、それじゃ」サチ婆「それがどうしたっち」フク爺「車とイノシシがぶつかりあったらしい」サチ婆「イノシシの方こそ迷惑じゃったな」フク爺「うん、イノシシは子供のようじゃたらしいな」サチ婆「それじゃなおさらじゃ」フク爺「車の持ち主もバンパーがへこんで修理が大変らしい」サチ婆「車は修理できる、イノシシは生きかえらん」フク爺「……」サチ婆「どうしたんや」フク爺「イノシシ、みんなで鍋にして喰ったらしい」サチ婆「……」フク爺「子供やったけん、肉がやはらかくておいしかったらしい」サチ婆「……」フク爺「ワシは喰わんかったぜ」サチ婆「……」フク爺「ワシ、帰る、また明日な」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.29
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サチ婆「フク爺さんはよく働いたよな」フク爺「うん、働いた」サチ婆「日が明ける前から日が落ちてもな」フク爺「うん、働いた」サチ婆「雨が降っても、日中の暑いの時もな」フク爺「うん、働いた」サチ婆「どうして働いたんや」フク爺「どうしてだって、働くしかなかったもんな」サチ婆「働くしかなかった?」フク爺「そうや、働くことが生きることやと思っていた」サチ婆「働くことが生きること?」フク爺「そうや」サチ婆「ふ~ん、今は」フク爺「そうやな、サチ婆さんと話すことかな」サチ婆「ふふふふふ」フク爺「今が一番幸せかな」サチ婆「オキヨさんが怒るぜよ」フク爺「うんにゃ、オキヨ婆さんは笑っちょるわい」サチ婆「笑っているかいのう、ふふふふ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.28
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フク爺「サチ婆さんよ、タマゲタワ」サチ婆「何にタマゲタんかいのう」フク爺「国道で車ん事故があったんや」サチ婆「フク爺さん、見たんかい」フク爺「うんにゃ、孫が話をしちょった」サチ婆「それでタマゲタんかいのうフク爺「うん、タマゲタ」サチ婆「ふむふむ、話だけでタマゲルとはな」フク爺「どうしてや」サチ婆「どういう事故かわかるんかいのう」フク爺「うんにゃ、事故があったんちことだけや」サチ婆「救急車は来たんかいのう」フク爺「わからん、サイレンが聞こえんかったから来んかったんやろう」サチ婆「警察んしは来たんかいのう」フク爺「来たっち言わんかったから来んかったんやろう」サチ婆「事故やったんかい」フク爺「……」サチ婆「ちぃっとぶつかったぐらいじゃないかいんのう」フク爺「……」サチ婆「ああ、静かやのう」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.27
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フク爺「サチ婆さん、若葉が美しいいな」サチ婆「うん、紅葉の耶馬溪もいいが、若葉の耶馬溪もいい」フク爺「そうじゃな、若葉を見てるとな……」サチ婆「若葉を見てると……何ですかな」フク爺「若葉を見てると……」サチ婆「ハイハイ、若葉を見てると……」フク爺「若葉を見てると、沢山の元気をもらえる気になるんじゃ」サチ婆「ほう、沢山の元気をな」フク爺「そう、沢山の元気をな」サチ婆「そりゃ良かったのう」フク爺「そしてな」サチ婆「うん、そして……」フク爺「まだ生きてやるんじゃと思う」サチ婆「ふふふふ、フク爺さんはロマンチストじゃのう」フク爺「ロマンチスト?」サチ婆「そう素敵なことを考える人のことじゃ」フク爺「ふふふふ」サチ婆「ふふふふ」フク爺「サチ婆さんも頑張れよ」サチ婆「ハイハイ、フク爺さんもね、ハイハイ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.26
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フク爺「サチ婆さんや、今日は晴れたよ」サチ婆「青空がきれいや」フク爺「風がさわやかだ」サチ婆「生きていることを感じるわな」フク爺「うん、感じる、感じる」サチ婆「それが一番や」フク爺「そうそう、一番や」サチ婆「雨もいいけど、やっぱり晴れがいいわな」フク爺「そうやな、気分がすかーっとするわな」サチ婆「すかーっとするかい」フク爺「するする、なんとなく走りたい気持ちや」サチ婆「フフフフ、フク爺さんは走るのは速かったからのう」フク爺「テヘヘヘ、今はもう駄目じゃ、走る気持ちはあっても身体のう」サチ婆「ホウ、八十を過ぎても走る気持ちがあるのはたいしたもんや」フク爺「うん、時々、走りよん夢は見るんや」サチ婆「ふふふふ、それでいい、夢ん中で、思い切り走ったらいい」フク爺「サチ婆さん、ああ、生きている」サチ婆「そう、生きている」フク爺「うん、サチ婆さん、生きている」サチ婆「そう、もうちょっと生きていこうよな、フク爺さん」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.25
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フク爺「サチ婆さんや、私達の立ち話、一万回も見られたらしいぞ」サチ婆「一万回って何や?」フク爺「ブログっていうものらしい」サチ婆「ブログって何や?」フク爺「ワシもわからん」サチ婆「わからんものを気にしても仕方がないんや」フク爺「うん、仕方がねえ」サチ婆「気にすんな」フク爺「気にはせん」サチ婆「それならいい。カタカナ文字のもんは信用できん」フク爺「そう、恐いもんや」サチ婆「そう、田舎にはカタカナ文字んもんはひとつもねえ」フク爺「ねえ、そうひとつもねえわいな」サチ婆「ひとつもねえかな」フク爺「うん……テレビ、ボタン、アイロン、コンバイン……いっぱいある」サチ婆「ああ、いっぱいある」フク爺「ああ、いつのまにか、いっぱいある」サチ婆「とにかく一万回、気にはせんけど、あんがとうさん」フク爺「そう、あんがとうさん」フク爺、サチ婆「ふたり合わせて、あんがとうさん」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.24
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フク爺「サチ婆さん、何か話しちくれんかのう」サチ婆「何かっていったっち、何も話すことあらへんわ」フク爺「何もあらへんわと言っち何かあるやろう」サチ婆「何もない時もあるんや」フク爺「何もない時があるかいんのう」サチ婆「ある」フク爺「どんな時や」サチ婆「静かに考えたい時や」フク爺「ふ~ん、どんな時や」サチ婆「昔を思い出す時かのう」フク爺「昔か」サチ婆「昔よ」フク爺「……」サチ婆「……」フク爺「……」サチ婆「……」フク爺「昔、すべてが懐かしい」サチ婆「そう、昔の想い出、みんな美しい」フク爺「うん、何も話したくないよな」サチ婆「そうじゃろう……そうそうなんよ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.22
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フク爺「ああ、疲れたわい」サチ婆「疲れた??」フク爺「うん、疲れたんや」サチ婆「どんしたや」フク爺「今日、学校に行った」サチ婆「学校に行ったち?」フク爺「うん、ひ孫の先生に頼まれたんや」サチ婆「何を頼まれたんや?」フク爺「昔ん話をしちくりいと」サチ婆「そりゃ、フク爺さんにはお似合いや、何の話をしたんや」フク爺「小川があって、川に潜ってカエルを取ったり、流れに乗って泳いだり、 喉が渇いたら小川の水を飲んだりしたことを話した」サチ婆「そうよな、男の子はわんぱくやったからな」フク爺「そしたらよ、先生から叱られたわい」サチ婆「……」フク爺「今はそんなことをさせたら親から叱られるんち言うんや」サチ婆「……」フク爺「ひ孫達は何しち遊んじょのやろう」サチ婆「……」フク爺「ワシら、長生きしたんかのう」サチ婆「フク爺さん、お疲れさんじゃたのう」フク爺「ああ、疲れたわいのう」フク爺、サチ婆「フフフフフフ、ご苦労さん」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.22
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フク爺「サチ婆さん、燕が飛びよる」サチ婆「ああ、今年もまた来たんやね」フク爺「ワシチの軒先にまた子供をつくったわい」サチ婆「そりゃ良かったのう」フク爺「なにかいいことがありそうじゃ」サチ婆「あるじゃろう。燕が子供をつくったからんじゃものな」フク爺「フフフフ、毎年、燕が来てくれるわい」サチ婆「フク爺の家は幸福のフクじゃものな」フク爺「幸福じゃけどオキヨ婆がおらん」サチ婆「……」フク爺「どうしてオキヨ婆がおらんのじゃ」サチ婆「……」フク爺「毎年、燕を一番待つとんたんが、オキヨ婆じゃった」サチ婆「ほれ燕が飛びよるよ」フク爺「うん、飛びよる、燕が飛びよる」サチ婆「フク爺さんよ、燕も飛ぶ、フク爺さんも生きる、それでいいんじゃ」フク爺「サチ婆さん」サチ婆「そうよ、それなんよ、それなんよ」フク爺「ああ、燕が飛んでいるわい」サチ婆「ああ、そう燕も元気、フク爺もじゃわいな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.21
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フク爺「サチ婆さん、白い犬の話をしようか」サチ婆「白い犬?」フク爺「そうじゃ、白い犬の話じゃ」サチ婆「白い犬の話な」フク爺「そうじゃ、聞きたいか」サチ婆「うん、そうじゃのう」フク爺「聞きたいのか、聞きたくないのか、せちっいのう」サチ婆「慌てなさんな。時間は十分にある」フク爺「うんにゃ、ワシたちにはもう時間はあまりねえぜ」サチ婆「まあ今日ちいう日はとにかくある」フク爺「そうそう、白い犬の話じゃ」サチ婆「そんなら話してみさいな」フク爺「話して下さいっちお願いせんと話さん」サチ婆「それなら聞かんわい」フク爺「ああああ、聞いてくれんかのう」サチ婆「じゃ聞こうかのう」フク爺「ああ、じゃ話すはな」サチ婆「……」フク爺「白い犬の話は面白い」サチ婆「???」フク爺「白い犬は尾も白いから面白い」サチ婆「ああ、時間を損したわいな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.20
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フク爺「サチ婆さん、静かじゃな」サチ婆「静かじゃ」フク爺「こんな日は何をしたらいいんじゃろうかな」サチ婆「何もせんでいい」フク爺「何もせんでいい!!」サチ婆「そう静かだったら静かにしたらいいんじゃ」フク爺「静かにするのは嫌じゃ」サチ婆「嫌じゃったら、その辺を歩けばいいんじゃ」フク爺「歩くと疲れるわい」サチ婆「疲れるんやったら黙っとけや」フク爺「今日のサチ婆さん、なんだか恐ええな」サチ婆「恐えかったら静かにしとけや」フク爺「なぜや」サチ婆「小鳥がさえずりよんのや」フク爺「ああ聞こゆるわい、ああ美しいな」サチ婆「静かだから聞こえるんや」フク爺「……」サチ婆「フク爺さんや」フク爺「……」サチ婆「フク爺さんよ、ああ眠ったかいのう、ああ、静かやのう」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.19
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フク爺「サチ婆さん、今日も雨が降りよる」サチ婆「梅雨じゃけもんな」フク爺「外へ出れんわ」サチ婆「家ん中におればいいんじゃ」フク爺「太陽を浴びたいんじゃ」サチ婆「無理を言ったらいけん」フク爺「年寄りやけん無理を言わせて欲しい」サチ婆「それを我が儘と言うんや」フク爺「我が儘を聞いて欲しいんや」サチ婆「我が儘を言う年寄りは嫌われる」フク爺「嫌われてもいいけん太陽を浴びたい」サチ婆「……」フク爺「どうしたんかい?」サチ婆「もう遊んじゃらん」フク爺「……」サチ婆「ワシに我が儘を言うのはいい」フク爺「……」サチ婆「家で言うと本当に嫌われるぞ」フク爺「家で言えんからサチ婆さんに言っちょる」サチ婆「フフフフフ、それならいいんじゃ……フフフフ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.18
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フク爺「サチ婆さんや、昨日の晩、蛍がきれいに舞いよったわいのう」サチ婆「そうかい、良かったのう」フク爺「良かった、良かった」サチ婆「うん、良かったな」フク爺「きれいに、きれいに、舞いよったわいな」サチ婆「うん、良かったな」フク爺「風がなかったき、静かに舞いよったわい」サチ婆「静かにか、良かったな」フク爺「美しいかったわいな」サチ婆「そうかい、美しかったかいのう、良かったな」フク爺「また婆さんに会えた」サチ婆「そうかい、オキヨさんに会えたかい、良かったな」フク爺「婆さんがきれいに舞いよった」サチ婆「オキヨさんは踊りがうまかったもんな」フク爺「……」サチ婆「フク爺さん」フク爺「……」サチ婆「フク爺さん、どうしたんじゃ」フク爺「どうもせん、嬉しかったんじゃわい」サチ婆「フフフフフ……それでいいんじゃ……フフフフ」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.17
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フク爺「サチ婆さん、雨が降りよる」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「紫陽花の花がきれいや」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「蛙が啼きよる」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「ツバメが飛びよる」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「子供が傘さして歩いちょん」サチ婆「梅雨やけんな」フク爺「……」サチ婆「どうしたんや」フク爺「梅雨やけんなばっかし」サチ婆「いいんじゃ、梅雨じゃもんな」フク爺「……」サチ婆「フク爺さんが元気、それが一番じゃ」フク爺「……」サチ婆「泣くな、フク爺さんよ」フク爺「雨がかかったんじゃ」サチ婆「ふふふふ、梅雨じゃもんな」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.16
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フク爺「サチ婆さん、歳はいくつやったかな?」サチ婆「……」フク爺「サチ婆さん、聞こえちょるんやろ」サチ婆「女性に歳を尋ねるんのは失礼じゃ」フク爺「ゲエッ」サチ婆「ゲエッって、品のないことを」フク爺「プフゥ、サチ婆さんほど歳をとったら歳など気にならんやろう」サチ婆「うんにゃ、気にかかる」フク爺「気にかかる?」サチ婆「そう、女性にとって歳は永遠に気にかかるもんじゃ」フク爺「そうかいのう」サチ婆「気にかかるというか恥らいはいつまでも大切にしたいもんじゃ」フク爺「ふむふむ」サチ婆「それが女性なんじゃよ」フク爺「サチ婆さんよ」サチ婆「何ですかいのう」フク爺「サチ婆さんはいつまでも可愛いのう」サチ婆「……」人気blogランキングへ←ランクアップのために良かったらクリックして下さいな!
2007.06.15
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