深夜魚

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Sep 13, 2004
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カテゴリ: 物語のかけら
見上げた東京の夜空に星は少ない

教えてくれたその人の星もみつからない

だから高いビルに上ってみた。
誰も訪れない屋上の端に立って、
夜風にあおられて少し揺れながら夜空を見上げた。
なのに、そこにあるのは銀色に光る小さなベガとアルタイル。
それらを隔てていた無数の星が流れる川は
すっかり干上がってしまったようだ。

でも、それを許したくない。あなたちの想いのために、
私の想いをつぶされたくない。

無数の星、無数の人々の記憶と思い出、
夜空を煙のようにたなびいて流れていく銀の河。

都市の光は過去の人々の輝きを消して、
新しい人の心に同じ記憶を焼き付けてしまう。

私は最後の列車に乗って山へ向かう。
暗い車窓から見える光のつらなり。
流れるヘッドライトとテールランプ。
あれは流れ星なんかじゃない。

ひとり山頂の社へ向かう道を登る。

それを魂と呼ぶ人もいるけれど、
私が探しているのは蛍が夜空に上がって作る星の明かり。

山頂に上がって見上げる星空。
それは初めて観る私にとって、おそろしいものだった。
夜空にこれほどの星が瞬いているなんて、空全体が光って

かるぐらい、星の輝きの中にかすんでしまっている。
これが皆、人々の魂だなんて、込められた思いだなんて。

無数の星、無数の人々の思い。この星で初めて人が身罷ったその日から
増え続けた星。それはまるで鬼火のように夜空の中に輝いている。
それはまるで、私の目と鼻の先、指させば蜘蛛の巣にかかった露のように
弾いてしまいそうな輝き。ここにあの人を見つけることはできない、
あまりにも多すぎて……。

星が流れる。次々と流れて行く。
空に上がった魂が、再び地上に生を得るため下りてくる。
いくつも、いくつも、魂がシャワーのように降り注ぐ。
もしかしたらあの人も再び地上に戻ったのかも。
私がかつて、そうして星空から落ちてきたように。

夜空が星で埋め尽くされないのは、
いつか魂が流星になって地上に戻るから。
天国が満杯にならないのも同じ理屈。

私は立ち上がると目一杯背伸びして、両腕を広げた。
降り注ぐ魂の輝きを自分で受け止めるかのように。
いつか、きっとその日が来ることを予感しながら。


夜明けの列車に乗って戻るとき、ゆっくりと消えていく星を街の中に見た。
人が夜景に憧れるのは、自分の魂がやってきた星空を模写したものだから。
星空に戻ることを憧れているから。でもそれを地上に作ることばかり精を
出してたから、いつの間にか本当に帰る場所を消してしまった。そんなこ
とするから、生きているときから迷ってしまう。あの山蛍のように。
そんな気がする……。






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Last updated  Sep 14, 2004 02:47:58 AM
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charberry @ おっと yanmoさん、お元気ですか?壁の向こうより…
charberry @ Re:水についてのあれこれ(07/16) 本当にお久しぶりです。一年五ヶ月ぶりだ…
Yanmo @ Re[1]:雲の羽衣(02/15) *みくみく*さん >はじめまして >素…
*みくみく* @ Re:雲の羽衣(02/15) はじめまして 素敵な言葉の世界ですねー…
ゆりママ☆ @ Re[1]:おひさしぶりで~す(06/09) Yanmoさん >精神的ダメージがあると、結…

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