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孫悟空が石から生まれたといったような、「PETRA GENITALIX(ペトラ・ゲニタリクス)」(生殖の石)は多くの神話に現れる主題なんだそうな・・・・・。(ミルチャ・エリアーデが書いているんだそうな・・・・・)
2009年09月23日
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小澤 で、僕が指揮者になって三年か四年して、それから音が変わったんです。『インストリング』というドイツ的な弾き方になりました。弓を深く入れるんです。重い音がします。それまでボストンの音はどうしてもこう、軽めで美しかったんです。フランス音楽を中心にやっていたから。ミュンシュやモントゥーの影響が大きかった。モントゥーは音楽監督じゃないけど、しょっちゅう来てましたから。ラインスドルフもそんなにドイツ的というのではなかったし。村上 で、小澤さんの代になって音を変えた。小澤 僕はどうしてもドイツ音楽がやりたかったんです。ブラームスやベートーヴェン、ブルックナー、マーラー、そういう音楽がどうしてもやりたくて。だから弦楽器をインストリングで弾かせた。それに抵抗していたコンサート・マスターは結局辞めていきました。シルヴァスタイン。彼は副指揮者でもあったんですが、そういう弾き方が嫌いだった。音が汚くなるって。ずいぶんそれについては抵抗が強かったけど、結局僕が指揮者だったから、彼の方が辞めていかざるを得なかった。その後彼は独立して、ユタ交響楽団の音楽監督になりました。(村上春樹さん/小澤征爾さん「小澤征爾さんと、音楽について話をする」P71)
2017年01月18日
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六枚の写真からわかる重要なことは一つだけ、女が死にかけているということだけだった。「これは”少女(フィエット)”ですね」ルイが横から写真をのぞいて言った。「なんだと?どう見ても三十は超えているだろうが」「いえ、女性じゃなくて檻のことです。”少女(フィエット)”というんです」意味がわからずカミーユが首をひねると、ルイが説明を加えた。「立つこともできなければ普通に座ることもできないような檻のことですよ」(ピエール・ルメートル「その女アレックス」P111)というわけで、ピエール・ルメートル「その女アレックス」を読みました。裁かれるべき人間が、裁かれるお話です。そんなに、「びっくり」というほどではないにせよ、最後から前を振り返って、ずんとしみわたるには少し時間がかかり、そのことに驚きました。また、とても映像的な作品だと思います。映画になったらいいのにと思いました。(「BOOK」データベースより)「おまえが死ぬのを見たいー男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが・・・・・しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。」
2014年11月02日
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「真藤順丈作品集 われらの世紀」を買書つんどく。「日本を訪れたドイツ軍人とある“侍”が熾烈な戦いを繰りひろげる「一九三九年の帝国ホテル」。北の大地で使命を負った女性たちの矜持と運命を活写する「レディ・フォックス」。芸に打ちこむあまり加速度的に心身を崩壊させる漫才師を描いた「終末芸人」など、洋の東西を問わず、昭和、平成、令和の百年をつらぬいて生き抜くひとびと=「われら」の人生模様を、『宝島』で直木賞を受賞した真藤順丈が凄まじい熱量で描きだす作品集。」(「BOOK」データベースより)
2021年05月14日
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恒川光太郎さんの『幽民奇聞』を買書つんどく。「文明開化で姿を消した鬼とも妖怪ともいわれる超常の集団「キ」。民俗学者の鴬谷玄也は、各地に伝わるキの痕跡を追ううち、不可思議な物語と数奇な因縁を知ることになる。『鬼婆図探訪』幕末の戦乱で全てを失った少年は、未来視の老女と出会う。『夢狒々考』人語を話す大猿が書いた幻の書「狒々日記」をめぐる回想と証言。『最後のキ』とあるキが激動の半生を語る。争乱と復讐の果てに残ったものは。」(「BOOK」データベースより)
2026年05月13日
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加藤シゲアキさんの「オルタネート」を買書つんどく。「高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった“悲劇”の後遺症に思い悩む蓉。母との軋轢により、“絶対真実の愛”を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津。高校を中退し、“亡霊の街”から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体ー。“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。」(「BOOK」データベースより)
2021年01月09日
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一九五八年、カイアが十歳になった年の冬。このころには、父さんが小屋に帰ってくる回数はますます少なくなっていた。もう何週間ものあいだ、カイアは床に転がるウィスキーのボトルも、マットにひっくり返る父親の姿も見かけておらず、月曜日のお金儲も受け取っていなかった。それでも、いまに紙袋を握った父さんが林の中から現れるはずだという期待は捨てられなかった。父さんを最後に見た後、満月が昇り、それからまた満月の時期が巡ってきた。プラタナスやヒッコリーは鉛色の空に向かって剥き出しの枝を伸ばし、絶えず吹きつけてくる風は、荒涼とした冬景色に太陽が振りまいてくれるはずのよろこびまで奪い去っていた。それは乾きようのない海辺の土地を乾かそうとする、何の役にも立たない風だった。カイアはポーチの階段に坐り、あれこれ考えを巡らせていた。もしかするとポーカーが原因で喧嘩になり、父さんはひどく殴られたのかもしれない。そして、冷たい雨の晩に沼に捨てられたのかもしれない。それとも、たんにふらふらになるほど酒を飲み、そのまま林に入って沼地の淀みにばったりと倒れ込んだんのだろうか。「たぶん、父さんはもう帰ってこないんだ」カイアは表面が白くなるほどきつく唇を噛んだ。それは、母さんが去ったときの痛みとは違っていた――実のところ、努力しなければ父さんの不幸を悲しむこともできなかったのだ。ただ、完全にひとりになったという現実は、どこまでもがらんとした広大な空間に放り込まれたような感覚をもたらした。(ディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」P104)
2021年04月28日
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