灯台

灯台

2021年08月23日
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​​​​​​​​​​​






​「 将軍、元気 にしてるかな・・・・・・」​
​「 ・・・・・・ 」​

​夏休みの宿題がわからないから教​ えてください、
​と土下座して一時間後、何を思​ ったのか、
​この動物は言​ いだした―――。

あ、ごめん、気になるよね、 ​ちょんまげ​ してるのかって、
​​ 廃刀令 はどうなのかとか、 草履 を服の中に入​​ れているかって。
​あと、 しゃれこうべ で酒を飲​ んだのかどうかとか・・・・・・」
​「 ・・・・・・・ 」​

わたしは、彼女の眼の前 にある、
夏休みの宿題をシャープペンシルで三回ほど叩 いた。

、、、、、、、、、、、、、、
​そんなことはどうでもいいから―――、​
​​​ まず ――― 宿題をやれ。

​そういうジェスチャー​ だった。​​​

しかし、現実逃避はついに天然街道をひた走 りながら、
あたかもそれが自然なことであるように語り始 めるのだった。

あーちゃんが、それ、人面瘡 とか、
あたしの生霊じゃないかって言いたい気持 ちもわかる。
空想上の友達いわゆる―――、
​イマジナリーフレンド​
じゃないかって・・、

​友達だもん、心配​ するよね・・・・・・」
​「 ・・・・・・ 」​

わたしは、もう一度、彼女の眼の前 にある、
宿題をシャープペンシルで叩 いた。
ここでもし何か喋れば、宿題の時間は更に延 びるだろう。
そう、予想 された。​
そりゃわたしだって、 ​学校の先生とか塾の講師​ ではない、
​彼女に宿題を教えるのが嫌といえば嫌​ だ。
​でも 土下座をしてお願い された以上 は、
応えてやりたいと思 ​​
う。


​わたしが一番心配​ なのは、
​そんなどうでもいいこと​ ではない、
宿題 だ。


​「 お父さん ​・・・・・・ ​​ 」​


わたしは、笑いそうになってしまう自分を恥 じた。
でも、めっちゃシリアスな顔をして、どんなワードセンス!
嵐がこぼれた青インク!



・・・・・・満員電車でおとうさんが、体操の吊り輪 をしてるの。
​​​​​​ 後方かかえこみ二回宙返り懸垂、振動からの力静止技 ・・、
通路はもう駄目だ、お父さんは囁 いた・・、
右からラグビー、左から相撲力士。
それに覆面警官もいる、ちい―――っ!(?)
そこに生まれるのは、離岸流 ・・・・・・。
すべてを呑み込むオクトパス、
いにしえの怪物、リヴァイアサン・・。
お父さん、そこが社会の荒波 なんだね。
そうだよ、娘よ、これが荒波 なのだ。
もう、こんなところにまで――― ​スミが(?)​​ ​​​​​

でも最後降りようとしたら、お父さんが、お父 さん・・・・・・、​
ライブでダイヴした人みたいにサーフィン して、​
流されてゆくの、お父さん、波乗りジョニー じゃないよ、
あと、それ、歌間違 えてるよ・・・・・・・」​
​「 ・・・・・・ 」​

そんなに夏休みの宿題したくないのか、と思 う。
​​ しかし、眼がちょっと怖 い。
伊藤潤ニのホラーの白眼を思い出 す。​​

アイスクリーム与えた方がいいのかな、と思 う。​
というか、体操おまえ詳 しいな。​

​あーちゃん、あたし――― ティックトックって聞​ くと、
​マイケル・ジャクソン​
​ネバーランドへの誘いを受​ けたみたいになるんだ、
どうしても、 ​ボッキトックか、ホットドック​ って、
ヒラメをついカレイって、そんな風に、エヘヘヘ・・、
変換しちゃうんだ・・・・・・で、それで さ―――」​​


どう―――答 えろと?​
それでお前、わたしにどう答 えろと?​
というか、お父さん何処行 った。​
あと、宿題はここ だぞ。
てか、何で笑 った?​



あーちゃん、子猫飼 ったらどうする?
やっぱり、空っぽの鍋の中に入れたいよね、
ほら、野球の変化球でさ、ナックルってあるけど、
ナックルのあとに、パームやチェンジアップ投げたら、
実は打者、ナックルって思うんじゃないか、
みたいな、で、それで
さ―――」


そうだね、子猫飼ったら空っぽの鍋の中に入 れようね、
それで、コネコナベって言って、ツイッターで流 そうね・・・。
​あと、野球の話は本当にそうかもしれない​ けど、
​よくわからないことを言​ うのやめようね


​あたし時々着ぐるみに憧れるんだ―――やっぱり、​
​​ ダイコンとか、ナス とかがいいよね、
ぬるぬる してるし」​​

​​「 ・・・・・・・

・・・・・・してないけどね!
​​
もしそうならわたしも、ちょっと野菜を叩いていい野菜 か、
どうか調べなくちゃいけないぞって――― ​コラーッ!​
​​

​​「 将軍がさあ、やっぱりトマトって言 うんだ。
マドンナ、デミ・ムーア、アストン・カッチャー、
ブリトニー・スピアースだってそうだって・・・、 ​​

​​​ あたし、それだったらリンゴの方がいいって言 ったんだ、
昨日、リンゴ・スター見 たからじゃないけど、
ううん、椎名林檎 じゃなかった!」​​​

​「 ・・・・・・・ 」​

​​ じゃあそれでいいじゃないの、ということは躊躇 われた。
そもそも、いまの有名人の下りいるかな、と思 った。​
あと、リンゴ・スターと椎名林檎 は、
​どう見繕っても間違​​
えないからね。​

​​​ しかし 何しろ、彼女の眼が怖 い。

​宿題をしなくちゃいけない気持​ ちと、
​夏休みだから遊びたい気持ちがぶつかりあった末に生​ まれる、​
​​もう、​ 面白いとか何 とかを、
越えてしまっている状態 ​​​
・・・・・・ 。​



​「 そのさ、おやつ にする?」​


そう言った瞬間、ダイコンとかナス とか、​
トマトとかリンゴ言ってた女が蘇生 した。​


​「 スリュスリュスリュ―――ハーイ! 」​
​「 ・・・・・・一つだけ聞いていい? 」​
​​​​ シュークリーム でもいいよ、
​千人目の亡霊目指してライドイン!
レジスタンスのスパイにされても、
あああ あいど いい いん!​

​あ、もちろん師匠が食べたいものならもう何 ​​ でも」



――― いいよ じゃねえ!
​​ というか、誰が師匠 ​​ だ!​​


​​​​

​―――いやそういうのじゃなくて、​
勉強する気 ある?」​
​「 戦場 は―――」​

何か溜めた―――溜 めた・・。​

​「 クレイジーが付き物 ​​です・・ア ジフラ アイ! ​​ 」​
​「 真面目にやらないのなら、宿題教 えないけど」​


そう言うと、突然足 にしがみついてきた。​
しかし一見みじめでぶざまなポーズも、彼女の喜 びなのだろう。

​「 ・・・・・・見捨てないでおくんなまし、
足を舐めろと言うなら、ハァハア(?)」

・・・・・・真顔になるわたし。
・・・・・・ブルドック顔になる彼女。

、、、   、、、 、、、、、、、、、
そして―――お互い、なかったことにした・・。


​「 じゃあ、おやつ食べたら真面目 にやる?」​
​​「 やる―――というか、オス!

、、、、、、、、、、、、
それは空手道場でやってね・・。


​「 破ったら? 」​
​「 将軍のフルネームを教 える、​
あと、お父さんが、市電から地下鉄へ流れていった、
闇のキオスクの顛末を話
す」​

​​​​「 ・・・・・・

どうしてこの子 は、
こんなにネタが細 かいのだろう。
というか、キオスクに謝 れ!
​​​​

​「 それとも着 ぐるみで、​
ダンス大会する模様を実況中継 する?」​









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最終更新日  2021年08月23日 19時46分50秒


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