妻と歩いた足跡とその後の熟年生活

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2004年12月04日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
・手術前のCTなどの精密検査の結果と手術の内容の説明を受ける。「卵巣のほかに肝臓などにも転移が見られる。詳細は開いて見ないと判らないが、腸にも転移している可能性もある。腸を切ると人工肛門となる可能性もある。」とのこと。ただ黙って聞いていた。
・手術の日、病室をベッドに横になって出て行く妻をあるいはこれが最後かと思いながら見送った。手術の間、時計の針の進み具合が気になる。短時間なら、なにもしないで閉じる最悪の事態、長時間なら大手術と推定して、廊下で物音がするたびに、何度も外へ見に行った。  約3時間後、妻は戻ってきた。かすかに息をしているのを見るとほっとした。腫瘍の半分くらいをとったかなという感じがした。
・術後の説明では、「卵巣癌の四期です。卵大の卵巣は摘出したが、残り半分は固く癒着していて取れない。播種はごま粒大のものが肝臓をはじめあちこちにあるが、取りきれない。これは抗がん剤でたたくより方法がない。残りの卵巣は抗がん剤で軟らかくなってから取ることに。大網は大部分残した、リンパ節は触っていない、人工肛門は必要ない」とのこと。ただ黙ってうなずくより方法はなかった。麻酔が切れてからも、苦痛の声は一言も妻の口から出なかったのには感心した。
・約1ヶ月後から抗がん剤の治療が始まる。摘出した細胞による効果実験では、どれも同じような効果で、特にこれといった効き目のある抗がん剤はなかったとのことで、標準的な方法で開始された。
・同部屋の人たちから、髪の毛が抜けることの対策や、健康食品のことなど何かと教えてもらって、それなりに準備はしていたが、最初の抗がん剤の点滴時点ではほとんど抜けることはなかった。また健康食品の採取を医師に打診したが、よろしいとのことで本格的に探すことにした。また、Mワクチンは注射が必要なことから処置してもらえるかどうかを聞いてみるとこれは賛成でなく、注射をしてもらえる処がわかるまで手続きを延期することにした。
・最初の抗がん剤治療は、影響が不明なのでということで、点滴後も血液検査などが続いて、ずっと入院生活が続いた。術後の体調の回復はほぼ順調であったが、嘔吐などの影響は強く、食欲だけは以前に比べてかなり低下していた。抗がん剤による影響は、点滴後2週間ほどがもっとも強く、それからは回復していくこともだんだん判って来た。
・2回目の抗がん剤の点滴が終わってしばらくして、久しぶりに退院の許可が出た。これからは、通院で様子を見ながら抗がん剤の治療を続けることになる。体調さえよければ、旅行なども可能とのことで、すこしずつ外出も始める。
・こんなとき思いがけず、買い物で応募した北海道旅行に当選し、妻と二人で参加した。まだ観光シーズンには少し早くかったが、湖の岸辺に咲く白い、水芭蕉の花が印象的だった。妻とは一度ゆっくりと回る北海道旅行をしようと約束していたが、これが妻との最初で最後の短い北海道旅行となってしまった。
・4週間に1回の抗がん剤治療と週1回の検診というパターンの生活がこれから続くことになる。

・入院生活が一段落したころ、ガン保険の手続きが気になり、保険金の請求用紙をとりよせた。手続きには、医師の証明とともに、給付対象期間は、ガンと確定診断できた時点からであること、請求は2年以内でよいこと、入退院を繰り返すときは、複数の期間記入でよいことなどがわかる。生命共済も似たような書類が必要で、病院に証明してもらうだけでも、少なからず費用が必要なことも判る。
・健康保険は、差額ベッド使用の費用は、給付対象外だが純粋な医療費は高額医療費対象として、ある限度以上は3月後に還付されるしくみがあるが、自身で請求の必要な保険機関もあることなどがわかる。こうした保険のしくみがあるおかげで、長期の入院にもかかわらず、実際に要した費用は、あまり多くなかったので助かった。
・むしろ、より多くの治療効果を期待して購入した健康食品のほうに多くの費用が必要であった。きのこからの免疫力向上剤、キトサンなどの類、ビタミン類、海藻からの抽出物などなど。どれも宣伝文句は立派だが、その効果は素人では判りかねる。また、消化器系統のガンには有効との記事は多いが、卵巣癌に有効との内容は少ない。それでも、少しでも有効とのデータがあるものを選んで、確実に入手できる方法でもって購入していった。同じ物でも、インターネットでの購入が安いことも判って来て、いろんなデータを比較して購入先を選んだ。
・患者同志の連絡会のようなのがあちこちにあることも判るが、ほとんどが東京方面の会で、なぜか地方には少ない。それでも参加できそうな会には2,3加入して、そこでいろんな情報を得ることができるようになった。またそこで同病の方と知り合いになり、お友達もできたようだ。こうした会の存在はありがたいことであった。
・会への参加は、大部分一人で出かけたが、時には二人ででかけることもあった。特に最初の場合は、どちらかというと妻は方向音痴なので二人で行って、目標となる目印などをチェックしたり、所要時間を調べたり、乗り継ぎを調べたりと準備が大変。でもそれが会話の種ともなり、それなりに楽しい時間でもあった。時間があるときは、車で連れていったりしたが、それはそれでうれしいことでもあった。
・お盆に故郷へ帰ったとき、遠縁の叔父さんが肝臓ガンで、東京へ治療に通っているとの情報を得て、聞きに行く。東京では、大学でリンパ球療法をしていて、行ったその日に帰るというやや厳しい日程ながら月に一度くらい行っているとのこと。それをすると自分では元気が出ることがわかるとのこと。また、玉川温泉にも時々出かけるがこれも良いとのことで、利用方法などを教えてもらう。ただ玉川温泉も長期滞在でないと効果もでないと思われるので、現在の抗がん剤治療をしている間はなかなか時間のやりくりができない。
・こんなふうにあちこちから、治療方法についての情報が断片的に入るが、客観的なデータとして揃っているのは殆ど無い。学術的に見ればデータのないことは信用できないとのことで、それはそれとして理解できるが、こちらは今現在で、少しでも効果を出そうとしているので、データを待つ時間が無いのが本音である。現在の確定された抗がん剤の効果を100としたとき、たとえ「1」でも効果があれば、それを積み重ねて10でも20にもしたいのが患者とその家族の気持ではないかと思う。
・そういう気持を汲んで治療をされているのが、S県のO先生であることがわかる。また同様の立場で治療に取り組んでいらっしゃる先生も比較的近くにいらっしゃることなどもだんだんと判ってくる。人間の生きる力を最大限生かして治療にあたるということは素直に考えて本当の道ではないかとも考えられるが、現在は試行錯誤の段階のようにも見える。また、外国での治療のありかたなども、いろいろあるようだが、日本から脱出していくほどの勇気と財力と知識も持ち合わせていないのが残念ながらよくわかる・
・6クールの治療の結果、アミラーゼもマーカーのCA125も500~600であったのがそれぞれ100程度と一桁に下がり、抗がん剤が効いているのが判り、少し安心できた。あるいは、このまま治ってしまうのではないかと思ってしますような経過であった。
・MRIなどでの検査によると、腫瘍の石灰化と軟化が認められた。またこの時期に、お腹の調子がおかしいとのこともあって診断の結果、縫い合わせ部が一部外れていることが判る。これは再び切開して縫直すより方法がないとのことで、腫瘍を摘出するのと兼ねて再び手術をすることとなった。知人の医師に聞いてみると90%は医師の技術によって起こる症状とのことだが、いかんせん患者は結果が出るまでは内容を知ることはできない。
・再度の手術で、残りの卵巣と子宮を摘出してもらうも、依然として播種細胞は残る。

MRIでの検査では1cm以上の腫瘍は認められないとのことだが、骨盤内リンパ節に軽度の膨張が見られるとのことで、安心はできない状態であることには変わりは無いと思っていた。

























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最終更新日  2004年12月05日 17時43分29秒
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