2010/07/17
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『CRONOUS』~眠らない大陸の物語~


『SSD アジト』

ジャルデウと藁人形により連れ帰られた4人のうち
いち早く悲魔が意識を取り戻す
悲魔の口からエビルで何があったのかジャルデウと藁人形が聞かされてる頃
J∀CKの狂とトパーズが意識を取り戻した
元々SSDとも交流があり…かつアルテミスとも仲が良かった2人は
悲魔から聞いた事情を受け止め…忘れる事を快く承諾してくれた

そして日も暮れかけた頃アジトにエースとグロが戻ってくる

「こっちはまったく反応ナシです…さすがに飽きますね」

「煉獄の方は盛り上がったんすか?」

「まぁ…それなりにな」

グロとエースは藁人形の重い反応を聞き顔を見合わせる

「戻ってきたところ申し訳ないが、ちょっと焔のところに行ってくるんで留守番を頼む」

「あ、はい…」

「何かあったんっすぅぅぅう!!!!!」

藁人形の表情からエースはただ事ではない何かがあった事を察知しグロの足を踏みつけて言葉を止めさせる

「悪いな…事情はまた話す」

藁人形はそう言ってグロとエースに頭を下げる



エースは頭を下げて、何も言葉を発していないがさらにグロの足を踏みつける
グロは言葉にならない声を発しその場にうずくまる

「あ…もし留守中に誰か来たら連絡してくれ…それとアルが起きてきたら焔のとこに居る事を伝えてくれ」

藁人形はそう2人に言うとイスから立ち上がり入り口に向かう
ドアに手をかけた時おもむろに振り向くと



「出てきたら?」

「…何とかしろ」

「は、はぁ…」

藁人形の言葉が理解できながったがとりあえずエースは返事をする

「痛っっってぇだろぉ!」

藁人形が出て行き入り口のドアが閉まると同時にグロがそう言ってエースに突っかかる
エースはそんなグロを軽くあしらい寝室に向かう

「そう言えば…開けるな!って言ってたな」

グロはそう言って寝室のドアに耳を当てる

「気になるよな…やっぱり」

エースもそう言ってドアに耳を当てる

「何も聞こえないな…」

「アレだよ、昔の偉い人の格言に…イヤよイヤよも好きのうち!ってあるからよ…開けるなってのは開けていいって事じゃねぇの?」

「どんな格言だよソレは…」

エースはため息をつく
そしてグロはエースの同意も取らずにドアのノブに手をかける

「やっぱやめよう…」

エースはすかさずグロを止める
しかしグロはエースの制止を振りきろうとエースを跳ね除ける
エースも負けじとグロに蹴りを加えてドアから引っぺがす
蹴られたグロは近くにあったイスを持ち上げてエースに投げつける
もはやどうしてこうなったか関係なしに喧嘩へと発展する
しばらく続いた喧嘩はお互いの胸ぐらをつかみ合い睨み合った状態でこう着状態になる
そしてまた喧嘩が始まろうとした瞬間…睨み合った2人の顔の間を矢が突き抜けて寝室のドアに突き刺さる

「う・る・さ・い!!…寝てられないでしょうが!」

矢を放ったのは安眠を妨害されたアルテミスだった
その時…矢が刺さった衝撃で寝室のドアが静かに開く…


『ホテル・ラピス』

「焔、あの2人は?」

悲魔が辺りを見回し焔に聞く

「あぁ…あいつらなら使いに出してる…で、どこから説明すりゃあいいんだ?」

焔はカウンター越しにロビーのソファーに座る悲魔達3人に問いかける

「お前が彼女について知ってる全てだ」

藁人形が焔にそう返す
焔はしばらくロビーの天井を見つめ…タバコに火をつける

「あいつと俺が出会ったのは…俺がここに来る前にいた世界だ…」

焔は静かにそう語り始めた
淡々と自分とアイナがいた世界の話からこの世界に来た理由…ここに来てから今に至るまでの事を隠す事無く3人に話した
3人は黙ってその話を聞いた

「まぁ…そんなところかな」

そして焔の話が終わる
無言で聞いていた3人はその後もしばらくは黙ったままだった
焔が山になった自分の灰皿を片付けはじめた時…悲魔が沈黙を破る

「なるほどね…アイナさんにその事は?」

「ちゃんとは話していない…ただ、探りを入れるつもりで軽くはね…」

焔は悲魔の問いかけに首を振りそう言って苦笑いを浮かべる

「で…お前は最終的にどうしたい?」

「どうって?」

「だから、アイナさんが思い出したり…思い出さないにしても手元に置きたいとか…そういう」

悲魔は口ごもりながらそう質問した
焔はしばらくタバコを吸いながら考える

「今は考えてないなぁ…思い出したらその時はその時…つまりアレだ、あいつしだいってとこかな」

焔の発した答えは悲魔が求めていた答えではなかった
当然その事は焔にもわかっていた

「ちょっと事情があってね…俺のとこに居てもあいつにはメリットが無い…そっちに置けないというなら考えるが…できる事なら今まで通りあいつの事を頼みたい」

焔はそう言って3人に頭を下げる

「藁さんは?…納得できたかな…」

悲魔は今度は藁人形にそう問いかける

「いや…なんていうか…スマン」

藁人形はそう言って焔に頭を下げる

「なんだよ…おもむろに…いつか話そうと思って今日まで放置してた俺が悪いんだしよ…頭上げてくれよ」

焔は慌てて藁人形にそう言う

「じゃあ…藁さんも承諾って事でOKかな?」

「無論」

悲魔はギルド崩壊の危機をまぬがれた事でとりあえず安堵する

「せやけど…わからん事も多いなぁ」

「まぁ…その辺はなぁw俺も憶測で判断してる事もあるし…入れないはずのケタースやラバに入れたのもたぶん…って感じだしな」

「今のカーラで押さえ切れるのか?」

「さすがにそこまではなぁ…わかんねw」

「抑えてもらうしかないっしょ」

「今日の煉獄での戦いを見た限りでは…行ける気がするが」

「ふむ…」

「カーラにも成長してもらい…本人にも育ってもらうしかないよな…で、それと同時に変なとこに迷い込む事がない事を祈る…と」

「最終的には願う…しかないのか」

「たぶんな…」


『SSD アジト』

「ちょっとぉ!!…アレは何なのよアレは!」

アルテミスは寝室のドアを閉めてグロとエースに聞く

「し、知らないッスよ…なぁ?」

「まさか、あんな物がいるなんて…藁さんもちゃんと言ってくれればいいのに…」

「で…藁さんたちは?」

「なんか、焔さんのとこに行くって…」

「もぉ…なんなのよあんな物を残して…」

「そう言えばさ藁さん…『もしも何かが出てきたら何とかしろ』って言ってたよな…」

「確かにそんな事言ってたね」

「何とかしろって…出来るわけないでしょ!」

「ですよねぇ…」

「そうだ!とりあえず出てこないようにしましょ!」

そしてアルテミスたち3人はテーブルや棚などありとあらゆる家具を寝室のドアの前に置きドアが開くのを防ぐバリケードを作り始めた


『ファン城』

「で…どうするか決まったかい?」

ニライは流星にそう質問する

「いや…まだ…」

「もぉ!なんなんだよ煮えきらん奴だな…」

「事がでかすぎるんだよ!」

「俺達についてくりゃいいんだよ!郷に入っては郷に従え…虎穴にいらずんばタイガーニライ!って言うだろ!」

「はぁ…」

流星はため息を大きくつく
その時…城が揺れる

「な、なんだ?」

「地震か?」

流星はすばやく近くのテーブルの下にもぐる

「甘いわ!」

ニライはすかさずスライディングでテーブルの下の流星を蹴り出してテーブルの下を奪い取る

「てめぇ!テーブルは他にもあるだろ!」

蹴り出された流星がニライをテーブルから押し出そうとする
2人がそんな醜い場所取り合戦をしているとドアが勢いよく開きモネが飛び込んでくる

「ニライさん!ここの場所がばれたみたいです!」

「誰に?」

「誰って…とにかく囲まれちゃってるんですよ」

ニライと流星は慌てて窓から外を見る
正面の庭園…城の周囲…いたるところモンスターだらけになっている

「総攻撃か…」

ニライがそうつぶやいた時、また城が大きく揺れる

「見ろ!あいつら正面の扉をぶち破る気だ」

「こりゃぁ持たんな…」

「ニライさんどうしよう…」

「どうしようって言われてもなぁ…さすがにあの数は楽じゃないぞ」

「楽じゃないって…ムリだろ…」

そこにタロとクラッシュが入ってくる

「何度も出入りしてるうちに封印が弱まったみたいだな」

「多勢に無勢…万事休すだな…」

クラッシュは近くにあったイスを蹴飛ばす

「そうだ…この前の空間移動みたいな技で…」

「それだ!」

「残念…タイガーヘブンで飛べるのは俺を含む4.1314人までしか対応してないんだなぁ…」

「なんだよそのご都合主義的な中途半端な数字は!」

「ダメなんだ…」

「!!!…それよりここは拠点の城だろ…脱出口とかないのかよ!」

今度は逆にニライがタロとクラッシュに聞く

「ない事もないが…封印されて使えん」

「そんなもん解きゃいいだろ」

「お前…解ってないな…魔法の封印ってのはな…」

「ことは一刻を争う!いいから案内しろ!…それとも捕まってケツから口まで丸太で貫かれて丸焼きにされたいのか?」

タロとクラッシュは渋々図書館への入り口のある玉座の間に案内する

「イスしか無いじゃんか!」

「だから封印されてるって言ってんだろうに」

「ダメだなこりゃ…」

「諦めるな!その封印されてるのはどの辺なんだよ!」

ニライがクラッシュにそう叫ぶ

「玉座の真後ろの壁なんだけど…無理だって言ってるだろうに…」

「無理と諦めるは凡人のする事!むわぁかせなさい!」

そう言うとニライはハンマーを頭上でグルグルと回し始める

「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶここを開けろと我を呼ぶ!…必殺!タイガーピッキィィィィィイング!」

ニライはそう叫んで壁にハンマーを叩きつける

「だから…そういう事じゃねぇって言ってる…」

クラッシュがそう言いかけた時…叩いた壁がクルっと回転して開く

「フッ…タイガーピッキングに開けられぬ物はナシ!」

ニライはそう言ってポーズを決める!

「そ、そんな…あり得ん…」

「封印なんぞニライ様の前では何の意味も持たん…それだけの事」

いまだに信じられないといった顔をしているクラッシュにニライがそう笑いながら言う

「さて…後は下に向かって降りるだけだが、とりあえず…この入り口だけは閉じておこう…」

タロがもう一度ニライが開けた入り口に封印をかける
そして先に進もうとした時

(「ご苦労様…私まで出してくれて…」)

「うん?なんか言ったか?」

ニライがそう言って立ち止まる

「いや…何も…」

「そうか…気のせいか…なんか聞こえたような…まぁいいか」



…『To Be Continued♪』





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Last updated  2010/07/20 06:25:35 AM
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