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2010/10/10
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『CRONOUS』~眠らない大陸の物語~



『ホテル・ラピス』

「こんばんは…」

アイナはそっと入り口のドアを開けて隙間から様子を窺う

「こんな時間だからなぁ…マルノスケどうしようか…」

「ぴぎゅるるるるぅ」

静まり返ったロビーを見渡すがそこに焔の姿はなかった
諦めたアイナはロビーのソファーに座った


そして早朝…ロビーに出てきた焔がアイナを見つける

「なんでここに居るんだよ…」

焔は頭をかきながらしばらく考えてアイナを抱きかかえて自分の部屋のベットに寝かした


『SSD アジト』

寝付けなかったのか…悲魔はあくびをしながら寝室から出てきた
そしてテーブルの上に置かれた自分宛の手紙を見つける
いっしょに置かれたリボンから手紙の主がアイナで…そして出て行った事はすぐにわかった
悲魔はイスに座って手紙を開く

「そっか…思い出したんだ…」

手紙を懐にしまうとキッチンに入ってコーヒーを淹れた…
いつもと同じ朝…いつもと同じ行動…特に何かが変わったわけではない

コーヒーをカップに注いで居間に戻った
そこに藁人形が起きてくる

「うお…相変わらず早いな…まさか寝てないなんて事は…」

藁人形がそう言うと

「藁さんおはよう…寝たよ…まぁあまり寝つけた感じはしないけどね…」



「今日から独りか…なんか実感がわかんなぁ」

「そうだね…」

「まぁ…初日からここに居たらいつもと同じになりそうなんで…俺は出かけるよ」

「あ…そうだ彼女は事情をまだ知らないから俺宛に手紙を残したけど…」

悲魔はそう言って藁人形にアイナの手紙を見せる

「そうか…思い出したのか…」

藁人形は手紙を読んで悲魔に返した

「こっちに何か動きがあれば必ず連絡するよ…それとギルドの倉庫の鍵…」

そう言って悲魔は鍵を取り出す

「いや…それはまだ持っててくれ…それを受け取っちまうと何もかもが終わっちまう気がしてな…申し訳ない」

藁人形は悲魔から鍵を受け取る事を拒絶した
悲魔はうなずいて返事をした

「それじゃ…出るわ」

藁人形は深呼吸をしてアジトを出て行った
悲魔は藁人形を見送った後しばらく鍵を見つめていた…
始めてこの鍵を手にしてから今に至るまでの事が走馬灯のように思い出される

「陛下…早すぎますよ…」

寝室から出てきたシュウが悲魔を見つけてそうつぶやく

「なぁ…その陛下ってのはやめてくれないかな…あの頃とはもう違うんだからさ」

悲魔はコーヒーを飲みながらシュウにそう言った

「そうですね…陛下が良いのでしたら…今までのように呼ばせて頂きます」

「そうしてくれ…で、状況は?」

「タロとクラッシュはプリズンから脱出して奪われた記憶と魔力を取り戻しています…そこにマドリとケンジャが合流してますね…ただ…」

「ただ?」

「ただ…そこにニライとモネと流星が加わってます…」

「やっぱりな…そっちと絡んでたか…」

「ええ…どんな方法を使ったのかわかりませんが、タロとクラッシュをプリズンから救出したのはニライのようですね…で、その後そこにモネと流星が合流した…とそういう事かと」

シュウからの情報を悲魔は腕組みをした状態で聞き…うなずいて返事をした

「あとは、残念ですがファン城は奴らに落とされてます…それとデンキチはギルドメンバーと一緒にマドに居ます」

「わかった…1人で大変だったろ…今まですまなかったね…」

悲魔はシュウの報告を聞いて頭を下げた

「いえいえ…私は陛下個人の密偵ですから…」

シュウは首を振って笑いながらそう答えた

「今後も俺が直接動き回る事は避けた方がいいと思うんで、申し訳ないがそっちの方は任せるよ…とりあえずタロ達とデンキチには自分が復帰した事を伝えておいて欲しい」

「御意…」

「だからさ…そういうのはやめようよ…」

悲魔は苦笑いを浮かべる
シュウも苦笑いを浮かべてうなずいて返事をした
そしてシュウはもう一度悲魔に頭を下げるとアジトを出て行った
その後…次々と起きてきてそれぞれ自分で考えたのちに今日の行動を決めてアジトを出て行った
最後に凛と白狐だけがアジトに残った

「あのう…もう悲魔さんに相談したらダメですか?」

「うん?いいよ…どうした?」

悲魔は申し訳なさそうに話しかけてきた白狐に笑顔で答えた

「昨日…アイナさんとハイネさんが柊さんって人に出会ったらしいんですが…たぶんその人…僕のお姉ちゃんなんです…」

白狐の話を聞いた悲魔はしばらく考えて

「これから焔のところに行くから、それとなく確認しておくよ」

悲魔はそう言って白狐の頭を撫でる
白狐は飛び跳ねて喜び悲魔に頭を下げた

「あ…それと…これからの事だけど…ちゃんと決まるまでは1人で冒険に出ないように…必要であればPTを探したりとかするからこれからも今まで通り相談してよ」

「ありがとうございます♪」

白狐は満面の笑みで悲魔に頭を下げた
そして悲魔は凛に目をやった
凛は相変わらず狼の前に座りブツブツ言いながらメモとにらめっこを続けている

「ずっと気になってたんだけど…何をしてるのかな?」

そんな悲魔の質問に

「この首輪を外したいのですが…かなり厄介な魔法式で出来てまして…」

「ほぅ…」

悲魔は凛に近づくとメモを覗き込む

(「うは…さっぱりわからない…」)

凛はチラッと悲魔の顔を見てクスクスと笑う

「実はこの魔法式…解けてるんですよ」

「え?」

悲魔は凛の言ってる事が理解できずに不可思議な顔をする

「この部分です…」

凛はそう言ってメモに書かれた複雑な文字列の3分の2辺りを指し示した
とうぜん悲魔には理解できてはいない

「ところが…この解けた魔法式を発動させるには残念ながら私の魔力が足りないんです…そこで少ない魔力でもこの魔法式を発動できないかと模索してるんですが…」

「なるほどね…で、その首輪が外れるとどうなるのかな?事と次第によっては全力で阻止しなきゃいけないんだけど…」

悲魔は苦笑いで凛にそう告げる

「この子が本来の姿に戻るだけよ…ねぇ♪」

凛は笑顔でそう言うと狼に同意を求める
狼は嬉しいのか尻尾を振って大きくうなずいた


『ホテル・ラピス』

「焔さん…お帰りなさい」

起きてきたハイネはカウンターに焔を見つけて嬉しそうに挨拶をした
焔は何も言わず手で挨拶を返した
ハイネは昨日あった事を焔に話した

「なるほどね…」

焔はそう言ってタバコに火をつける

「僕としては…SSDではなくここに戻りたいんですが…ダメでしょうか?」

ハイネが焔にそう言った
焔は何も答えずに立ち上るタバコの煙を見つめている
そしてしばらくしてから

「かまわないが…ここに居てもメリットは無いぞ」

そうハイネに告げた
ハイネは大きくうなずいて返事をする

「俺もこいつと同じだ…ここに置いてくれ」

ハイネの背後から音速丸が現れると焔に頭を下げた

「どうしてこうバカが多いんだろうな…」

焔はそう言うと2人に向かって笑った
ハイネと音速丸も顔を見合わせて笑う

「うんじゃ…とりあえず俺がその辺をうろつくのはまずいんで色々と代わりに動いてもらうか…」

焔がそう言うと2人はうなずいて返事をした


『カイヌゥス 廃墟』

ニライ達は相変わらず建物の中で待機状態を維持していた
その時、不意にドアがノックされる
クラッシュがドアの手前に立つと外を窺いながら全員に数回うなずいて合図を送る
ニライ達は物音を立てないようにそれぞれ武器に手をかける
静けさの中…緊張が走る
しばらくして

「陛下の使いで来た…開けてくれないか?」

そう声がした
それを聞いたクラッシュはニライ達の方を見る
ニライ達はお互いに目で確認しあうとケンジャがクラッシュにうなずいて合図を送る
クラッシュはうなずいて返事を返すとそっとドアを開けた
そこにはシュウが立っていた

「し、シュウじゃないか…」

そう言って驚いた顔をするニライ達にたいしてシュウは手を上げて挨拶をする

「今、陛下の使いって言ったが…何者だお前…」

クラッシュはそう言ってシュウを睨みつける

「クラッシュにケンジャ…そしてマドリ…こうして話をするのは初めてだな…俺は陛下直属の密偵をしている者さ」

それを聞いたニライとモネと流星は顔を見合わせる

「へぇ…だが、ハイそうですかって簡単には言えないな…」

クラッシュは身構えたままシュウにそう言い放つ

「だろうな…まぁいいさ、とりあえずこっちの状況だけ伝える…昨日、陛下は記憶を取り戻し奴らとの最終決戦に臨む意思を示された…今後どうするかは相談して決めてくれ」

シュウがそう言うとクラッシュ達は顔を見合わせる

「とりあえず俺は同じ事をデンキチに伝えに行かなきゃいけないんでね…これで失礼する」

「デンキチって…ちょっと待てよ!」

クラッシュはそう言ってシュウを引き止めたがシュウは何も言わずその場から消えた

「どういう事だよ…ちくしょう!」

クラッシュはそう叫んでドアを蹴飛ばす

「まさかシュウまでそっち側の人間だったとはなぁ」

ニライがそうつぶやくように言うと
モネと流星もうなずいた

「陛下直属の密偵か…居ても不思議じゃないが…どうする?」

「どうするって言っても…行くしかないでしょ…」

ケンジャの問いかけにマドリがあっさりと答える

「罠って可能性もあるしな…」

クラッシュはドアを閉めると壁にもたれかかって腕を組む

「とりあえず…タロに動いてもらうか…」

ケンジャはそう言いながらチャットを操作し始めた


『マ=ドゥラヴァス』

「よお!」

野営をしているデンキチの所にシュウが現れた
シュウに気がついたデンキチは立ち上がって腕組みをする

「とりあえず…状況の報告に来た」

シュウのそんな言葉にデンキチは無言でうなずく

「陛下は無事に記憶を取り戻してあいつらと戦う意思を示された」

「だから俺にどうしろと?」

シュウの言葉にデンキチはあっさりとそう答えた

「別にどうしろって事じゃないさ…ただ、こっちはそういう方向で行動をするって事を伝えたまでだ」

シュウはそう言って不敵な笑みを浮かべる

「なぁ…俺は悲魔の事は知っている…ただしそれはSSDのギルドマスターってだけだ…俺となんの関係があるんだ?」

デンキチはシュウにそう聞いた

「あんたは…王国の騎士団長ってだけさ」

シュウの言葉を聞いたデンキチのギルドメンバーは驚きの顔を浮かべる

「王国?騎士団長?…俺の記憶にそんなものは無い…そんな俺にどうしろと!」

デンキチはシュウにそう叫ぶ

「だからどうしろとは言ってないだろ?…こっちの状況を伝えたまでさ…覚えてないのならしかたが無いからな」

シュウはそう言うとその場から消えた
デンキチは何も言わずその場に座り込むと頭を抱えこんだ


『SSD アジト』

「悲魔さん戻りました…」

そう言ってシュウがアジトに戻ってきた
悲魔はシュウを手招きしてイスに座らせる

「クラッシュ達はカイヌゥスの廃墟に居ます…とりあえずこちらの状況だけ伝えましたが…彼らは私の存在を知らないですから、すぐに行動するかはわかりません」

「なるほど…で向こうのメンバーは?」

「クラッシュにケンジャ…マドリ、そこにニライとモネと流星の6人ですね…あの場に居なかったタロはおそらくダークフレイムのマスターとして今まで通り行動してると思われます」

「わかった…デンキチの方は?」

「彼は完全に記憶を失ってますね…」

「そうか…彼が居てくれると心強いのだけど…しかたないな」

「はい…」

悲魔はシュウからの報告を受けてしばらく考え込んだ

「とりあえず…焔のところに行って来るよ…留守を任せた」

悲魔はシュウにそう言ってアジトを出て行った



…『To Be Continued♪』





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Last updated  2010/10/11 02:49:47 AM
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