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2011.06.05
XML
カテゴリ: 読んだ本
1988年3月 徳間書店より

ラインハルト・フォン。ミューゼルは18歳、階級は准将で10代にして「閣下」と
呼ばれ、彼に随従するキルヒアイスはまだ大尉の身である。この年、歴史は未だ
惰性の淀みにたゆたい、銀河帝国と自由惑星同盟は流血の振子運動を永遠に繰り返すかに
見えた。そんななかでヴァンフリート星域の会戦が勃発した。帝国軍艦隊3万2700隻、
将兵406万8200名、のべ3億人がこの何らの勝ちもない星系に展開することに
なるのである。無能な労将たちに囲まれて、ラインハルトの野望は限りなく燃えさかる。
待望の第3巻!

(表紙裏 紹介文より)


外伝の1は若きラインハルトが幕僚を集めていく話、
2はユリアン視点でのイゼルローンのヤン艦隊に属する人々の紹介といった趣でしたが、
この外伝3の立ち位置がよくわからなかったです。
外伝というより、本編の1部に追加といった感じが強いかなあ。
ラインハルトの動きを中心に、「ヴァンフリート星域の会戦」「第6次イゼルローン攻防戦」
について描いています。


「ヴァンフリート星域の会戦」は18歳でまだ准将のラインハルトが、

この時の帝国軍の総指揮官はミュッケンベルガー元帥でした。
帝国・同盟とも戦略上の意義がなく「戦争のための戦争」ともいうべき無駄な戦いが
だらだらと続いたものでした。

その中に「衛星ヴァンフリート4=2の戦い 」というものもあります。
衛星ヴァンフリート4=2に同盟軍の後方基地があることを知らず、
グリンメルスハウゼン艦隊がそこに待機を命じられ、後方基地を設営しようとしたために
発生した地上戦です。
地上戦を指揮したのはグリンメルスハウゼン艦隊所属の陸戦隊将官リューネブルク准将。
この人は同盟からの亡命者で、元ローゼンリッター連隊長でした。
ラインハルトは同じ准将の身でありながら、この麾下について戦うことに。

同盟側は、基地の司令官はセレブレッゼ中将ですが、この人はどちらかというと事務方。

連隊長はヴァーンシャッフェ大佐でしたが、リューネブルクにより戦死したため、
その後はシェーンコップが連隊長代理として隊を率いて戦います。
前連隊長リューネブルクvsシェーンコップという因縁の対決めいた様子、かな?
ついでにシェーンコップvsキルヒアイスの白兵戦もありました。


第6次イゼルローン攻防戦も毎度繰り返される意味のない戦い。

作戦参謀として、まだ大佐のヤン・ウェンリーが参加してします。
この時は、ラインハルトが任された2000艦程度の小部隊が大活躍で、同盟を翻弄。
ちょっといい気になっていたところ、グリーンヒル大将に命じられたヤンが策を立て、
それで痛い目を見た、というエピソードがあります。
まだ互いの名を知るまでは至らず、「同盟(帝国)にも少しはものを考える奴がいる」と
いった程度の認識です。
これも大した意味のないまま、多くの犠牲だけを出して終わった戦い。


個人同士の関わりがなければ、歴史の動きに関係ないし、あまり面白いとも思えない時期を
描いた感じのする1冊でした。

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これ以降は後の自分のための覚え書きとなり、当然ですが全てネタバレとなります。
ご注意ください。























全編を通じて登場しているのがリューネブルク。
元々はローゼンリッター連隊長であったのが、逆亡命して帝国軍に行った人。
白兵戦の技術はすごく高いです。
シェーンコップと互角に戦うくらい。
第6次イゼルローン攻防は艦隊戦だったんですが、仲間を殺されたローゼンリッターが
リューネブルクと直接対決するために、強襲揚陸艦で帝国の艦に乗り込んで占領しては、
その通信回路を使って「リューネブルク、出てこーい!」とやる。
それが帝国軍の中で知れ渡り、リューネブルクはハルテンベルク伯爵に
「自分の不始末は自分で片付けろ」
と命じられてローゼンリッターと対決することになり、シェーンコップの手により
命を落とします。

そのリューネブルクはラインハルトにも関わっています。
どちらもグリンメルスハウゼン艦隊に所属で、階級も同じ准将。
ラインハルトは武勲を立てて出世して、いつかは王位簒奪という目的があり、
リューネブルクは逆亡命者ということで冷遇されているため出世欲が強い。
互いの力量を理解してはいますが、解り合えない2人です。
リューネブルクの方が立ち回りがうまく、ラインハルトの提案を横取りする形で
ラインハルトを指揮下に置いたりするので、ラインハルトがまあ怒ること。(笑)

リューネブルクは、帝国貴族のハルテンベルク伯爵の妹であるエリザベートを
妻としていますが、妻とは冷たい仲。
結婚前エリザベートは別の婚約者がいて、でも婚約者が麻薬の密売を行ったため、
家名に傷が付く事を恐れたハルテンベルク伯爵の密かな指図により前線に送られ、
戦死してしまったのです。
その後、ハルテンベルク伯爵の勧めによりリューネブルクと結婚。
しかしリューネブルクが戦死する直前、事情を知ったエリザベートにより
ハルテンベルク伯爵は殺害されてしまいます。
「そんなことを知る前に死んでむしろ幸いだった」と、名もなき帝国軍人に
リューネブルクは評されてしまうのでした。

ていうか、そんなリューネブルク家の事情って、私的にはどうでもよかったけど。



グリンメルスハウゼンがちょっと面白かったかなあ。
子爵家の当主で、皇帝フリードリヒ4世とも親しい間柄なので悪し様に言われませんが、
周囲からの評価は、無能な耄碌ジジィといったところ。
ミュッケンベルガー元帥もイライラしつつも持てあまし、ヴァンフリート4=2の戦いも
グリンメルスハウゼンを邪魔にならない場所に追いやっておこうという意図から
ヴァンフリート4=2への待機を命じたことから始まったのです。

誰かがラインハルトの事を「金髪の孺子と呼んであざ笑っている」と言ったところ、
「金髪だからと言って、悪いことはない。若いからといって、当人の責任ではない。
 そういった事を悪口の種にするのは感心せんなあ」
と言ったりもする老人です。
ぼんやりしたいい人なのかなと一瞬思ったんですが、実は侮れない人でした。
ラインハルトの能力を認めて作戦を取り上げてくれたりもしたし、
実は壮大な野望を抱いているだろうことを見抜いてもいた様子。
でも、だからどうってこともないんですが。
このあたり、フリードリヒ4世にちょっと似ている。
フリードリヒ4世は銀河帝国が滅亡への道を進んでいることも、
それを成すのがラインハルトであることも予測しながら、冷めた目で静観していた感じが
するんですよね。
グリンメルスハウゼンもそんな感じ。
だから仲が良いのかも?

グリンメルスハウゼンはケスラーを部下として信頼していたようです。
貴族達の弱点や秘密情報などを集めた『グリンメルスハウゼン文書』というものを
持っているのです。
実はこれを使って、エリザベートに婚約者の死の真相を教えたのがグリンメルスハウゼン
でした。

自分の死期が近づくと、それをケスラーに頼んでラインハルトに持って行かせました。
何だろう?
これを、帝国打倒に役立てなさいってこと?
ラインハルトは受け取らなかったけど。

でも、それのおかげでケスラーとは親しくなりました。
グリンメルスハウゼンの死後は、自分は辺境へ左遷されるであろうと言うケスラーに
「私は3年後には、現在よりもっと大きな力を得ているだろう。
 その時には卿をオーディンに呼び戻し、卿の力量に相応しい地位に着いてもらう。
 だから、それまで待っていてくれぬか」
と言うのです。
敬礼して去っていくケスラーがカッコよかったなあ。





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Last updated  2011.06.07 12:32:53
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