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2011.09.20
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カテゴリ: 読んだ本
訳:羽田 詩津子
2008年10月 早川書房より

1988年、アメリカの小さな町の、凍えるような冬の朝。
出勤してきた図書館長のヴィッキーは、本の返却ボックスの中でうずくまる子猫を見付ける。
その赤茶色の子猫は、救い出されるとしもやけの足で健気に立ち上がり、
ヴィッキーの手に頭をすりつけて挨拶をした。
信頼しきった大きな目と、人なつこい表情---。
この子は図書館に必要な存在だと、ヴィッキーは直感する。
こうして、2人の物語は始まったのだ。

来訪者を出迎え、ひざの上で眠る「図書館猫デューイ」に、子供達は笑顔になり、
大人は心を癒された。
やがて人々はデューイに会おうと図書館に集い、語らうようになる。
そしてデューイとヴィッキーは小さな図書館にいながら、町の人を勇気づけ、
アメリカじゅう、さらに海外へとあたたかい物語を伝えていくこととなった。

自身の病気や子育てに苦労しながらも、デューイの世話をし、ともに図書館を盛り立ててきた
図書館長が、町の人々に、そして世界中に愛された1匹の猫の一生を愛情をこめてつづる。

(裏表紙 紹介文より)


アメリカのアイオワ州にあるスペンサーという小さな町が舞台のノンフィクションです。

スペンサーは農業中心、小さな工場がある昔ながらの町。
そこで1988年1月、スペンサー公共図書館の図書返却ボックスに捨てられていた子猫。
保護した図書館長(作者であるヴィッキー・マイロン)は、その猫を図書館で飼うことにします。
やがて猫は町の人々の人気となり、小さな図書館を癒しと安らぎと出会いの場に変え、
観光客の注目を集め、地域全体をひとつにまとめ、メディアに紹介され世界中で有名な猫と

2005年12月に、デューイ・リードモア・ブックスが癌で亡くなるまでを書いた話です。

内容的には、猫が登場する可愛いだけの話というわけではありません。

スペンサーという町は不況や、町の大半を消失した火災などで大きな被害を受けながらも、
住民が協力して町を立て直してきた辛抱強く大地に根を張ったような町という印象。

そして作者であるヴィッキー・マイロンも、その町に少し似ていると感じました。
1966年にハイスクールを卒業。
優秀な成績であったにもかかわらず、その時代・地域は女性が大学へ行かないのは
当たり前の頃。
22歳で結婚しますが、出産時の医師の処置の不手際により体調を崩し、
最終的には子宮摘出の手術により、その後の生涯における健康を失います。
夫はアルコール依存症となり離婚。

娘の希望により娘を離れた土地の大学へやり、孤独を味わいます。
更には乳ガンによる両乳房の切除手術を受けています。

その時々の痛み・孤独の苦しみ・つらさを癒し続け、支え続けたのがデューイでした。

作者はデューイを『特別な猫』と書いています。
人間が大好きで、辛抱強く賢い猫であったようです。

ちなみにウチのみけにゃんは5歳児くらいじゃないかと思う。←親バカ(笑)
読んでいてデューイの賢さは7歳児くらいはありそう。
そして優しくて敏感な猫で、人がつらい時に寄り添える猫であったようです。

ただ作者が言う『特別だった』というのは、知能の点ではないと思います。
多くの飼い主にとって自家の猫が守ってやらなければならない家族であると同時に、
暖かくて柔らかい毛皮や、隙だらけの伸びきった寝姿などで笑いをもたらしてくれる
かけがえのない存在であるという点で、デューイは作者にとって特別だったのでしょう。
有名になり、他の多くの人々にデューイは愛されていたけど、
それらの人々が抱いた可愛い・大好き・利口で素敵な猫♪という感情とは明らかに別で、
作者はママ(=飼い主)としての絆が深かったのだろうと見えました。

※デューイが実際に飼われていたのは図書館で、夜も図書館に住んでおり
 ヴィッキーは毎日図書館に通う身であったのが特殊な点。
 公式には、図書館で飼っている猫であり、作者の飼い猫ではなかった。

デューイの様子が描かれているところはいかにも猫らしい猫で、イタズラも遊びも
あるあるあるという感じで微笑ましかったです。

猫の生涯を書いた話は、最後はたいていつらい。
当たり前ですが、猫の寿命は人間より短いので。
作者の安楽死の決断と喪失の嘆きを見ると、ペットロスというものを
理解できる気がしました。


以下は、作者による後書きからの抜粋です。
この本のテーマはここにあるのだと思います。

居場所を見つける。
 自分の持っているものに満足して幸せを感じる。
 すべての人によくしてあげる。
 いい人生を送る。物資的にではなく、愛のある人生という意味だ。
 ただし愛は決して予想することができない。
 もちろん、そういうことをデューイから教わったのだが、いつものように、
 その答えは単純過ぎるように思えた。
 私が心からデューイを愛し、デューイもまた同じように私を愛してくれたということを除き、
 すべての答えは単純に思える。

   (中略)

 それが人生だ。
 私達は誰もが時々トラクターの刃を通過している。
 誰もがあざをこしらえ、切り傷もできる。ときには刃が深く食い込むこともある。
 幸運な人は、かすり傷とわずかな出血で終わるだろう。
 だが、それですら重要なことではない。
 いちばん大切なのは、あなたを抱き上げ、きつく抱きしめ、大丈夫だと言ってくれる人が
 いることなのだ。
 ずっと、私はそれをデューイのためにしてきたと思っていた。
 それが語るべき話だと思っていた。だから、語ってきた。
 デューイが傷つき、寒さに震え、鳴いていた時、私はそこにいた。
 私はデューイを抱きしめた。万事大丈夫なように、気を配った。

 しかし、それは真実の一部でしかない。
 本当の真実は、あの長い歳月、つらい日も、楽しい日も、人生という本物の本のページを
 埋める記憶にすら残らない日も、デューイは私を抱きしめてくれていたのだ。
 デューイは今もまだ、私を抱きしめている。
 だから、ありがとう、デューイ。
 ありがとう、感謝している。あなたがどこにいようとも。


例えば親が子供を守る。夫が妻を養う。
親や夫は守り庇う立場のみのように見えるけれど、実はその守るべき存在によって
心を守られていると思います。
ヴィッキーの場合はそれが猫でしたが、そういう相手にめぐり会えたら、
それは人生における最大の幸運。
私の人生は幸運に彩られています。(^^)





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Last updated  2011.09.20 17:22:47
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