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Apr 5, 2008
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カテゴリ: 伊庭求馬孤影剣
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 三人は求馬を先頭にして頂上から山道を下りはじめた。

 お蘭にとって下りは、登りよりもきつい道中となった。足元が滑るので、

小さな潅木の枝や蔦を握って下りねばならなかった。

 頂上から少し下りた所に平坦な箇所があり、赤い鳥居が祀られていた。

 天神祠と称され、奥に小さな石塔が苔むしていた。求馬が歩みを止めた。

 森閑とした静寂の中で名も知らぬ鳥がさえずっている。

 猪の吉が、すっとお蘭の傍らに寄り眼が鋭くなっている。

「祠の裏に隠れずに出て参れ」  求馬が乾いた声で誰何(すいか)した。

「流石は元公儀隠密の手練者だけはありますね」と、女の声がした。



「猪さん、女のお守りですか。わたしは恋焦がれて探し廻りましたよ」

「お駒、伊庭の旦那に殺されるなよ。引導はおいらが渡してやるから」

「楽しみですねえ、また可愛がってあげますよ」

 お駒の艶っぽい声に挑発され、「畜生」猪の吉が苦い声を洩らした。

「先生方、お願いしますよ」  お駒の声で祠の裏から三人の浪人が姿を

現した、いずれも荒んだ容貌ながら剣気を秘めた凄腕と知れる。

 求馬が振り分け荷物をおろし、うっそりと佇み冴えた声をかけた。

「六紋銭の忍び者はどういたした」  「これは、わたしの計画ですよ」

「笹子峠に鶯のお駒か、洒落にもならぬな」

 求馬の声で三人の浪人が同時に抜刀した。求馬は半眼となり二尺四寸の

村正を抜き放ち左下段の構えとなった。彼の得意技である秘剣逆飛燕流の



 求馬がそれに合わせ躯を移動させた、辺りに壮絶な空気が漂った。

 右手の浪人が上段に構えを移し、一気に求馬を袈裟斬りとすべく猛然と

踏み込み、鋭い一撃をみまってきた。

 半歩、求馬の痩身が左にひらき村正が跳ね上がった、それは躱す暇もない

凄まじい反撃であった。白い光芒が浪人の左脇腹から右首筋に抜け、血潮と



 村正を跳ね飛ばそうした浪人の刃と村正が交差し、紙一重の差で村正が

対手の頭蓋を真っ二つに両断した。清冽な山の中に血の臭いが漂い、血飛沫

をあげ二人の浪人が、崖下に転落していった。

 残りの一人が正眼に構えなおした、初めてみる早業を求馬が披瀝したのだ。

「ぴゆっー」と血糊を素振いて求馬が対手の正面に構えを移した。

 一人残った男は大兵の浪人で、どっしりとした正眼の構えでいる。

 求馬は対手の仕掛けを看破した、突きでくるとみたのだ。剣法では突きの

一手がもっとも攻撃力がある。全ての剣法で突きほど利のある業はない、しか

し、突き損じれば、たちまち攻守転じて不利となるは言を待たない。

 長い膠着状態が続いている、お蘭が顔色を無くし見つめている。

 焦れた対手が、じりっと正眼で前進をはじめた。

「だっー」と声と同時に電光の突きが正眼の切っ先から生まれ、求馬の胸元に

伸びてきた。求馬は躯をひらきながら、片手殴りで相手の浪人の右胴を水平

に薙いだ。浪人の大刀が求馬の肩先を掠め、躯が停止した。

 暫く二人はもつれるような体勢で制止した。  「旦那っー」

 お蘭が悲鳴にちかい声をあげた、それを合図のように浪人の躯が地響きを

あげて転がった。求馬が懐紙で血糊を拭い、村正が鞘に納まる音がした。

「お駒とやら、そちの得意技はなんじゃ」  「畜生」

 切れ長の眸を光らせ妖艶なお駒が無念の形相をしている。

「逃げてみよ、必ず仕留める」  求馬が乾いた声で挑発した。

 お駒がじりっと腰を低め後退している。

「待っておくんなせえ、お駒はあっしが始末しやす。今日のところは見逃して

おくんなせえ」  猪の吉が必死で声を張り上げた。

「お駒、命冥加よな、そちに猪の吉が惚れたようじゃ」

「旦那、それはねえでしよ」 猪の吉が情けなそうにしている。

「お駒、去れ」  求馬の一喝でお駒が素早く峠を下って行った。

「猪さん、お駒さんには甘いねえ」

 お蘭に揶揄われ、猪の吉が顔を赤くした。

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Last updated  Apr 5, 2008 11:18:52 AM コメント(14) | コメントを書く
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