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Apr 11, 2008
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カテゴリ: 伊庭求馬孤影剣
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 「闘牙の三十郎が無反りの大刀を、己の腹の前に横たえ、鉄の指輪を

はめた左腕を前に突き出し前進をはじめた。

 緊迫した壮絶な殺気が、鐘衝堂の闇に立ち込めてきた。

「むっ」無言の気合と同時に闘牙の三十郎が大きく跳躍し、同時に求馬の

痩身も宙に躍りあがった。無反りの大刀と村正が白い光芒を放ち交差し火花が

散った。互いの位置が逆転し、そのまま膠着状態に入ったのだ。

 無言のまま二人は隙をうかがい対峙している。

 じりっと二人が前進を始めた。闘牙の三十郎が燃えるような眼差しで接近し、

求馬は氷のような冴え双眸をみせ痩身を進めている。



だ。どちらが仕掛けたというより、二人が同時に刃を振るった。

 二本の大刀が再び交差し、弾かれたように三十郎の躯が跳ね飛ばされた。

 完全に求馬は闘牙の三十郎の業を封じてみせたのだ。これは前回の闘いで

悟ったものであった。  「くそっ」  三十郎の眼が血走った。

 求馬が痩身を左へと移動させ、無言の気合とともに三十郎の意表をついて

右に踏み込み、片手殴りの一閃を三十郎の左首筋に送りつけた。

 片手を離した事で村正の切っ先が、思いもせずに伸び無意識に左手で防い

だ、ざくっと闘牙の三十郎の左手の甲が割られた。

 無反りの大刀を正眼にもどし、小刻みな忍び足をみせ闘牙の三十郎が後方

に退いた。それを見逃さずに求馬が脇差を抜き放ち矢のように放ってみせた。

 意表をつかれ無反りの大刀で払い落とした時、手裏剣が唸りをあげて襲いき



 大きく息をついだ闘牙の三十郎が、大刀を腹の前に水平とし、踏み込みの

瞬間を図っている。それは太刀ゆきの速さで決まる構えであった、どちらの刃

が先に相手を斬り伏せるかの勝負である。

 顕かに闘牙の三十郎は劣勢に立たされた。潮合が定まった。

 無言の懸け声とともに光芒が二人の躯を走りぬけた。それは求馬の勝ち



 闇夜に血の臭いが漂い流れ、闘牙の三十郎の無反りの大刀が力を失い虚し

く宙に流れた。

「無念ー」  三十郎が躯を松の大木にもたせかけている。

「どうやら勝負がついたようじゃな」  求馬が村正を携え乾いた声で告げた。

「しゆっー」と風きり音がして求馬の痩身を飛苦無が襲いきた。

 村正が鋭く反応し、宙で叩き落とした。

「卑怯」  求馬が闇を透かしみた、片膝をついた錏頭巾の忍び者が大刀を

正眼に構えている姿を捉えた。

「鶴吉・・・・止すのじゃ。これ以上の犠牲者が出てはお頭が困る、里に戻れ」

「三十郎っ」  「鶴吉、これは命令じゃ」

 求馬が乾いた双眸で二人のやりとりを見つめている。

「三十郎、さらばじゃ」  浅間の鶴吉が血の叫び声を残し闇に溶け込んだ。

「冥途で待っておる」  闘牙の三十郎が、ふらりと立ち上がった。

「止すことじゃ、お主の体力は尽きた。すでに勝負はついた」

「伊庭求馬、流石じゃ。見事にわしの剣を封じたの」

 口から、ごぼっと血泡を吹いた。 

「三十郎、引導を渡す」  村正が煌き錏頭巾を両断した。

 求馬が踵を廻し鐘衝堂を離れた時、どっと闘牙の三十郎が地面に転がる

音を耳にしたが、ふり向く事もなくそのまま帰路についた。

「旦那っ」  部屋に戻るとお蘭がしがみついてきた。

「冷や酒をくれ」  「これを」  猪の吉が湯飲みを差し出した。

 求馬が一気に空け、荒い息を吐いて腰をおろした。

「何処に行っておられやした?」  

「闘牙の三十郎と勝負をつけて参った」

「あの男と」  猪の吉が驚いて眼を剥いた。

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Last updated  Apr 11, 2008 01:52:30 PM コメント(8) | コメントを書く
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