すい工房 -ブログー

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2008年01月08日
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 黙りこんでしまったユズルの態度に、ためらってしまって。

 いつもと様子の違うユズルに、踏みきれずにいる。

 そうして私がどうしたものかと悩んでいると「ねえ」と声をかけられた。
 低く、かぼそい声だった。

「手、かして」
「……手?」

 何だろうと思いつつ、背を向けたまま、後方のユズルに手を差し出す。
 互いに背を向けて座っているものだから、体の構造上、手首でひねって差し出す形になってしまう。

 それを見たユズルが、思ったのと違うと感じたらしくって、ああしてとかこうしてとか指示を出してくる。

 それにしたがって動かしてみるけど、うまくいかない。

「そうじゃなくて……」
「なんなのよ、もう」

 ユズルが何をしたいのかわからなくて、最後はやけになっていた。
 ダダをこねる子供のように、両腕を体の横に投げだす。

 無理な格好に腕を動かしていたから、肩やら肘やらが二の腕辺りやらが痛い。

 ……何がしたいって言うんだろ。

 疲れてそう考えていた思考は、指先に、手に。
 そこに触れられた感触に、止まってしまった。

 ユズルが……手を、握りしめていた。

 これまで、手をつないだこともあるけど。

 今までとは、ちがっていた。

 これまでは、そっと触れあう程度だったけど。
 今は……指をからめて、しっかりと握りしめている。

 そうしているけど、痛みを覚えるほど強くなくて。
 けど容易にはずれないように、つかんでいる。

 ユズルの、角ばった指とか、体温とか。
 意識してしまって、鼓動が跳ねた。

 息が、詰まってしまう。
 体も硬直してしまった。

 ユズルは、何も言わなかった。
 私も、何も、言えなくて。

 そうしてユズルが「そろそろ帰ろうか」と告げるまで、私たちは指を、手を、絡ませていた。

 ユズルは、するりとすりぬけて絡めた指をはずして、帰宅をうながすときも、そのあとも、送ってくれる車の中でも。

 つないでいた手のことは、何も言わなかった。
 その話題に触れようとしないまま、いつもの調子で話している。

 私も、ユズルにあわせてその話題には触れようとしなかった。
 ユズルがそうしてくれたことに、なぜか少し安堵しつつ。

 手を、つないでいる間。
 トクトクといつもより少し大きな音で鼓動を刻んでいた胸が。
 ぎゅっと苦しくも、なっていた。






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最終更新日  2008年01月08日 22時06分23秒
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