すい工房 -ブログー

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2008年06月01日
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 家に泊まることもしばしば。
 その目当ては小太郎だった。

 私がまだ、幼稚園に入る前だったから。
 タカ兄は、小学校低学年ってところだったかな。

 そんな小太郎の事情だから。
 今回は勘弁してくれないかな。

 そう、含ませての言葉だったけど。

 タカ兄も、わかってくれたけど。

「そう」

 タカ兄はそうつぶやくと、腕時計で時間を確認した。

「だったら送るよ。病院まで」
「…………。
 …………え?」

 タカ兄が何を言ってるのか、わからなかった。

 どうして、そういう話になるの?

 タカ兄は私の反応にまるで気づいていないようで。

「二宮先生のところだろ?」と言ってくる。

 反射的にうなずく私を見て、先に歩き出していた。

 話の展開についていけない私は、中途半端になった話のために、タカ兄のあとについていくことになって。

「お……送っていくって……?」

 どういうこと?

 タカ兄の後に続きながら、まだ社内だから、他の社員の目があるから。

 砕けた言葉になりすぎないように、注意しながら、小声でそう問いかけると。

 タカ兄はこともなげにこう言ってきた。

「帰るついでに、病院まで送るよ」
「そ……そんな!」

 困る。

 いろんな意味で困る。

「いいです!」と、慌てて告げると、タカ兄は私が遠慮していると思ったらしい。

「気にすることないよ。ついでだから。
 家から近いし」

 それは知ってるけど!
 けど、そうじゃなくて!

「ほんっっっとに!!
 結構ですから!!」
「いいっていいって」

 だから!
 こっちはよくないっての!!

 何度も声を張り上げて断ったけれど。
 タカ兄の足は止まることなくて。

 必然的、私も後をついていくことになって。

 ……結局。
 駐車場まで来てしまった。

 話しながらタカ兄のあとを追ってたものだから、息があがってしまって。

 ゼーゼーと荒い呼吸の私に、タカ兄は苦笑していた。

 ……なんで笑うの、そこで。

 少しむっとしていると、私の感情に気づいたのだろう。

「ごめん」と一言、タカ兄は謝った。

「強引なのはわかってる。
 ……どうしても、早いうちに話がしておきたくてね」
「……話?」
「そう。
 病院までの間でいいから。
 時間、もらえないか?」

 ホントは、イヤだったけど。

 けどそこまでいうタカ兄の頼みを、断りきれなくて。

 私は不承不承、うなずくしかなかった。






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