すい工房 -ブログー

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2008年09月13日
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カテゴリ: 冷えた指 1~



 日差しが、さんさんと注ぐ空の下。

 改札口を出て、駅から足を踏み出して。
 照りつける日差しに、思わず目を細めた。

 まだ、梅雨の只中だけれど、時々のぞく晴れ間は、夏の気配を色濃く見せていた。

 額に手を当てて影をつくりながら、空を見上げて。

「あつ……」

 と、自分でも気付かないうちにつぶやいていた。

 その声とかぶって「志穂さん」と私を呼ぶ声が聞こえた。

 声の方を見ると、駅近くの駐車場で、大きく手を振っている女の子の姿が見えた。

 肩まで届くだろう、そんな長さの髪を、ポニーテールに結んで、Tシャツにデニム地のジャケット、そしてデニム地のスカートに、スニーカー。

 昔と変わらず、快活な印象の女の子。

 今にも飛び上がりそうな勢いで、彼女は手を振って。
 そして軽快な足取りで走ってきた。

「志穂さん、お久しぶり!」
「……お久しぶり。理央も、相変わらず元気ね」
「それだけがとりえだから!」

 へへ。と、くったいない笑顔を浮かべて、肩をすくめた。

 そして、私が持っていた荷物の一つを手にとって、車まで運んでくれた。

 雅則君と、実家に伺いたいと話してからしばらくして。

 私は有給を利用して、和之の実家にお邪魔することになった。

 2泊3日の日程は、和之の――本橋の家に、寝泊りすることになっている。

 私はホテルに泊まろうと思っていたのだけれど、残念ながら、近くにそういった施設がなくて。

 結果、本橋家の申し出を受けることとなったのだ。

 ……元彼の家に、滞在するというのは。

 正直、何とも言えない奇妙な心地がするけれど。

 本橋の家の人に。
 おばさんや雅則君、そして理央ちゃんに強く望まれては、断ることなどできなかった。

『……志穂さんが、気まづいのなら……仕方ないけれど……』

 と。
 気落ちした声でおばさんにそういわれたら。

 断るなんてできなかった。

 ……だけど、本心としては。

 気まづいこと、この上ない。






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最終更新日  2008年09月13日 11時49分35秒
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