すい工房 -ブログー

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2017年01月03日
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 目が覚めた時が一日の始まりであり、同時に空腹を感じた証しでもある。

 目覚めてしばらくは、寝起きの霞がかった意識が鮮明さを持つまでぼんやりと状況に任せ時を過ごし。

 次第にクリアになる意識をやがて自身のものと確立し。

 はっきりと目覚めた眼と思考をもって周囲を見渡し、状況を把握する。

 周囲はいまだ薄闇に包まれている。

 時を知らせるデジタル式の目覚まし時計は5:23を示し、それを枕元に置く家主は、健やかな寝息をたてている。

 山川 葵(やまかわ あおい)。二十二歳。独身女性。

 睡眠を満喫する、すこぶる気持ちよさそうな寝顔だ。



 口元も目元も緩やかな弧を描き、頬はほんわりと紅に染まっている。

 「ふふ……」とわずかながら笑い声も漏らしていた。

 幸福な夢なら、途中で目覚めるのはもったいない。

 いい夢を見ているのなら、起こすのは忍びない。

 常人なら自然と胸に湧き出る感情だったが、あいにく彼は普通の人ではなかった。

 空腹。

 生存にかかわる欲と、生存に何ら影響のない思考。

 どちらに重きがあるか、思慮するまでもなかった。

 彼は迷うことなく、彼女の顔に手を置いた。

 声をかけつつ、起きるよう、てしてしと何度か手を置く。

「う……ん……」



 自分に背を向ける家主に、彼はあきらめることなく、寝がえりをうったさきに回り込んで、今度は顔もとに体を滑り込ませた。

 彼女の顔のそばで、目を覚ますよう声をかけ続ける。

 閉じた瞼に力を込めてギュッと目をつぶったり、「ん~~~~……」と声を上げたりと、反応はある。

 もうひと押し。

 これまでの経験から彼は彼女の鼻先をなめたり、自身の体を顔に寄り添わせたりして、目覚めを促しつづけた。



 寝ぼけ眼の意識の中、彼を認識すると、ふにゃりと情けない笑みを浮かべた。

「……おはよう。……リク……」

   ピピ、ピピ、ピピ……。

 くしくも目覚まし時計の電子音が鳴り始めたのは、家主が目覚めたすぐあとのことだった。







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最終更新日  2017年01月03日 11時45分12秒 コメントを書く


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