2019年02月28日
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Photo:©Shevaibra, courtesy of ANCORA

ANCORA第6回公演 ファンタジック・ホラー ホフマン2029

作曲       Jacques Offenbach    
原作       E.T.A Hoffmann
台本       Jules Barbier・Michel Carre

構成・台本・演出 三浦安浩        
音楽監督     村上尊志
美術       松生紘子
照明       矢口雅敏

ヘアメイク    濱野由美子
舞台監督 岡本泰宏
ピアノ      村上尊志・井向結
宣伝美術     根岸幸
稽古ピアノ    大下沙織・横山優司
制作       三浦安浩 斉藤紀子 野村京右 坂部愛
制作協力     九鬼薫
協力       NPO法人 ミラマーレ・オペラ
主催       ANCORA

2019年2月28日(木)18時開演
新宿区角筈区民ホール


ホフマン   
青栁素晴 
ニクラウス・ミューズ
成田伊美 
リンドルフ・コッペリウス・ミラクル博士・ダッペルトゥット

アンドレス・コシュニーユ・フランツ・ピティキナッチョ
神谷真士
オランピア
和田奈美 
アントニア          
吉田恭子 
ジュリエッタ 
池端歩
ステッラ  
加藤美菜 
アントニアの母 
大井祥子
ナタナエル・スパランツァーニ 
内海康平 
ヘルマン・シュレミル 
竹内利樹 
ルーテル・クレスペル 
大島嘉仁

チケット 5000円(全自由席)

※キャスト替わりの4回公演の二日目を鑑賞。
3月17日(日)にも同所で昼夜二回公演があります。

***

ANCORAホフマンすばらしかった!

演者の熱を感じた。

この感じは久しぶり。

そもそもファンタジーなホフマン物語

アンコウさんが演出したらもう!

近未来SF!

ブレードランナー2049の

まじ世界だったわ。

おもしろい!

何重もの構造になっていて、

まるで映画みたい。

タイトルロールの青柳さんがすごかった!
最高にすばらしかった。ドラマティコに近い重い声だが、声が美しい!歌いっぱなしの役だが最初からフルスロットルで声を出していた。

彼の分身を演じた野村京右が俳優にしか見えないぐらいイケメン。

演技もすごい。

彼はこの公演の最終公演の主役に抜擢されました。

悪役4役の大塚博章さん
この役はやっぱワグネリアンバスバリトンでしょ!
超低音なのに
ディアマンのアリアでは超高音G♯?
完璧に立派に出して伸ばす。
まさに驚きのパフォーマンス。
さすがの貫禄でした。

ニクラウス/ミューズの成田伊美さんも立派!
大変すばらしかった!落ち着きのある声のメゾ。

バリトンの飯田裕之さんが悪役のコッポラを演じて存在感抜群。
この役はアンコウ台本によるオリジナルの役です。

ルーテル/クレスペルの大島嘉仁さんも歌唱もすばらしく演技も入魂。

ジュリエッタ池端歩さん、 貫禄のディーヴァぶり発揮。圧倒的パワー!高い声のメゾ。
成田さんとのバルカローレがたまりません!鳥肌ものでした。

オランピア和田奈美さんも神歌唱

アントニアの吉田恭子さんもリリックな美声!絶品でした。

今回逸材発見はシュレーミルの竹内利樹さん。大変な美声と盤石の表現力でした。今後注目したいと思います。

アンコウさんの作品の中でも今回ますますオリジナリティが高まっており傑作ではないでしょうか。
台本もご自分で書かれたとのこと。
完全にオペラの換骨奪胎がなされてました。
これこそが真の芸術ではないでしょうか?
おめでとうございます!

***

まだ公演がありますが、アンコウさんがネタばれOKとのことですので、遠慮なく書かせていただきます(笑)本当にありがたいです。

ホフマン物語はETAホフマンが書いた小説が原作である。
開演前の演出家の説明で語られるのは
ETAのAとはアマデウスの頭文字。
そうあのヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトからとったというのである。
本当か嘘か、演出家の創造なのか?
それは不明だが
確かにニクラウスの最初の歌唱でドンジョヴァンニの冒頭部分を歌ってホフマンが不快になる、というシーンがあります。
ノッティジョルノファッティカー
そう。これはモーツァルトへのオマージュ、リスペクトなのです。

アンコウさんのオリジナル演出オペラは実は字幕がないんです!
そのためにものすごく工夫がなされているんです。
今回はそれを感じました。
なんとすごいアイディア。
役を増やして歌手以外にその分身を作り、
日本語の台詞で展開しているのです。
さすがのアイディアです。
そのために物語が3倍ぐらい複雑になっています。
こういうの超大好き!
実は大好きなステファン・ヘアハイムの演出のホフマンで予習して来ました。
これもすごいんですけど
アンコウさんも相当すごいです!
楽しい鑑賞でした。
歌手も本役以外にその本役を別の日にやる歌手が日本語パート担当のために投入されているので
何倍もおいしいです!

私は「ブレードランナー」世代なので
あのリドリー・スコットの描き出す世界がとても斬新で魅せられました。

若き、とはいえすでに中年のハリソン・フォードが主人公
内容はレプリカントとの恋。
抹殺されるべきレプリカントの運命は…?
というダークな近未来SFだったのです。

そして昨年ですか「ブレードランナー2049」が
続編が公開されたのです。
それには目玉、老年に入ったハリソン・フォードが出演していたのです。

このアンコウさんの作品はホフマン2029
なんと今から10年後の世界から始まり、
さかのぼっていくのですが
ホフマン物語そのものが
ホフマンの過去の、悲惨な、失敗した結末の恋愛ばかりを回顧するという内容なので

ダブルの年月のさかのぼりがあるわけです。
「旅人」として登場する作家のエルネスト(ホフマンのファーストネーム)未来の、2029年のホフマンそのもの。その頃は実際のホフマンの時代では想像も出来ないほど世界が変わっていたのです。
「ウォーター・ワールド」「猿の惑星」「ブレードランナー」「ターミネーター」「マトリックス」「ソンビ」「キョンシー」「スター・ウォーズ」

世に送り出された傑作のSF映画の要素をすべて取り込んでいて作家が消化、昇華してこの作品を作り上げているのだなとわかります。

そしてオペラのホフマン物語の世界にさかのぼっていきますが実際のホフマン物語では分断していた3つのエピソードがつながるストーリーを入れ込んでいます。多分1回見ただけではわからなかったのだと思いますが…

あえて書いてみると人類はある薬剤に溺れてしまい、その薬物なしには生きていけなくなる。人類は不老不死になるが実はもう人間ではなくスマホのアプリによってコントロールされるAIになってしまっているのです。

先ほども書きましたが登場人物はボディダブルになっていて
ホフマンの過去を青柳、未来を野村が演じます。
コッポラという悪魔的役は悪役4役の分身のようです。
この存在の前には悪役4役も善人に見えるほどの邪悪さです。
それを今回は飯田裕之というすばらしいバリトンが演じています。
コミカルな役の4役も通常通り一人の歌手が演じますが、あの独特の動き、どう見てもC3PO(爆)

語り部の方の野村京右、すばらしく魅力的です。今回は歌を封印していましたが、歌手だと知らないで見た人は俳優だと思っていたそうです。このSF映画にリアリティを与えていました。とにかく日本語も大量にしゃべらなくてはいけないので脚本を頭に入れるのが大変だったことでしょう。

それはニクラウスも同様で、そもそもミューズがニクラウスに化けているという二役なのですがアンコウさんが語ったようにミューズもホフマンの分身であるわけです。ニクラウスはものすごく歌う量も多いのに日本語も大量にしゃべるので大変だったことでしょう。

それから、アントニアのお父さん、クレスペルは出てきますが
本来声だけのアントニアの母がアントニアの章(幕)だけではなくオランピアの章(幕)にも出てきます。若き頃に恋人のクレスペルとワルツを踊ります。クレスペルはヴァイオリン弾きで彼のヴァイオリンでアントニアの母が楽しそうに踊ります。幼い頃の楽しい思い出。

原作のオペラではアントニアの霊を治療するとこでアントニアは出演しませんがこの演出ではアントニアを治療します。

最初の章(2029)に出てくる「娼婦」はジュリエッタのボディダブル。
「若い女」、そしてもうひとりの女にもアントニアとオランピアが当ててあるのでしょうが
そこまでこの時は認識できませんでした。

ホフマン物語はやはりバートレット・シャーとかヘアハイムとかのダークなおどろおどろしいショービジネスの世界を当てはめたものが秀逸で原作のテイストを生かせると思います。
アンコウ演出は最近ダーク・ホラー路線を突っ走っていて、ジャンニスキッキの世界もダーク・ホラー世界で最高でした。

この作品は既存のオペラと原作小説を中に取り込んでさらに新たな物語を構築して見せたという意味で斬新で興味をそそるものでありました。
すばらしい!
本当に楽しかったです。
お疲れさまでした。
あと2公演ありますので皆様ぜひお運びください。





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最終更新日  2019年03月02日 14時24分42秒


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