2022年12月12日
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日本ワーグナー協会第421回 例会「お話と演奏」 (予約不要)

2022年12月12日(月)19時開演(18時40分受付開始)
森下文化センター2F多目的ホール 江東区森下

お話/演奏:
大沼徹(バリトン)
城谷正博(ピアノ)

演奏曲目:
『タンホイザー』より 第2幕第4場 ヴォルフラム『Blick’ich umher in diesem edlen Kreise』(かくも貴き集いを見渡せば)


参加費:
協会員1000円(ユース会員無料)一般2000円 学生1000円

***

日本ワーグナー協会例会に大沼徹さん登場
指揮者でわの会の主宰城谷さんも交えてトークあり歌ありの夢のような企画!

いつものマジメなイメージのワーグナー協会例会が
すっかり大沼徹さんのおとぼけキャラクターに染まってしまいました。

ワーグナーの話もありましたがけっこう与太話、いやいや興味深いお話満載でとてもここに書けません!

***
(以下はメモを元に概要・抜粋)(文中敬称略)

登壇は司会のアライさん(?)(日本ワーグナー協会)大沼徹氏(バリトン)城谷正博氏(指揮者・ピアノ)



城谷:城谷です おばんでございます(大沼氏の口癖)

司会:コロナでどんな苦労があるか?来年の「タンホイザー」に向けてどんな工夫をしているのか?

城谷:つい最近まで合唱はくっついて歌ってはいけないのでマスゲームのような状況で、歌う時は並んで、終わったら動いてだった。「ジュリオ・チェーザレ」や「ボリス・ゴドゥノフ」から距離の制限が解除されたが、稽古はマスクでやらなくてはいけない。

大沼:稽古は基本的にマスクなんです。長いフレーズを歌うとブレスとる カンニングブレスを。マスクの布の部分が口の中に入ってきちゃって生命の危機になるんですよ。片手でマスクを上げて歌う癖がつく。するとマスクをして歌った時と、しない時と、あごの感じ、口の感じ、―「奥を開ける」と言いますよねー乖離が激しいんですね。
 2021年のヴァイグレ指揮の「タンホイザー」(東京二期会)稽古中マスクで演出はリモートですから。よくわかんない感じでw ゲネラル・プローベになった途端にマスク外していいですよとなった時に感じが違ったんですよね。マエストロにこのあたりの感覚が変わったんだろうと言われました。



大沼:ドイツ語の子音が全然録音機に入ってこないんですよね。子音で飛沫とか飛ぶでございますでしょ、忖度しちゃいますよね。

城谷:こちらも飛沫が飛ぶ単語はやっちゃいけない雰囲気ありますよね。Pech=ペヒ(ピッチ、瀝青のこと。マイスタージンガーのハンス・ザックスとエーファの会話のシーンで出てくる)指揮者も飛ばしますよ。僕はうなってるんでうるさい。

大沼:僕も「わ」の会でご一緒するが、新国立劇場でプロンプターボックスに城谷さんが入っている。表情で次の言葉がわかる。歌手の精神衛生上なくてはならない仕事。

城谷:実際は精神的ケアですね。合図出しも犬を世話するみたいに待て待てって。

大沼:我々も安心してワン!って言えますね

城谷:ペーター・シュナイダーにはプロンプターボックスの中で(歌手を)指揮するかって聞かれて、そうか、じゃあとシュナイダーはオケだけ。職人芸だとそうなる。

<割愛>

演奏披露
『タンホイザー』より 第2幕第4場 ヴォルフラム
『Blick’ich umher in diesem edlen Kreise』(かくも貴き集いを見渡せば)

Blick' ich umher in diesem edlen Kreise

中盤
Da blick' ich auf zu einem nur der Sterne

終盤の始まり

Und nimmer möcht' ich diesen Bronnen trüben,
berühren nicht den Quell mit frevlem Mut:
in Anbetung möcht' ich mich opfernd üben,
vergiessen froh mein letztes Herzensblut.

泉を汚したくありません
そのためには最後の血の一滴まで捧げる覚悟です。

最高音はEs4
wie ich erkenn' der Liebe reinstes Wesen! 

”Liebe”ほかの計2か所

Ihr Edlen mögt in diesen Worten lesen,
wie ich erkenn' der Liebe reinstes Wesen!
最も純粋なる愛の形を私は捉えました

なんともノーブルなお声!

大沼:当時は子供が幼稚園で送り迎え時に雪の日に自転車で転んで足を打撲した。それで演出に、台から飛び降りてください、と言われ…w その時S水勇磨も飛びおりて足をくじいた。ヴォルフラムは二人ともけがしてたんですよね。

大沼:僕はロードバイクに乗るんですよ。女房が服が臭いと盥の中にぬるま湯を入れて…僕はこんな話をするためにきたんじゃない。

<割愛>
《後半》
『夕星の歌』
Wagner: Tannhäuser -Act III
O du, mein holder Abendstern

ヴォルフラム
Wie Todesahnung Dämmrung deckt die Lande

da scheinest du, o lieblichster der Sterne,
dein sanftes Licht entsendest du der Ferne;

O du, mein holder Abendstern

wenn sie entschwebt dem Tal der Erden,
ein sel'ger Engel dort zu werden!

ノーブルな声。美しくも甘い声。難アリアでテッシトゥーラが高い

大沼:ドイツに留学していた時、先生が劇場の指揮者だった。90近い人で奥様も演出家だった。自分はFelsensteinの弟子になって。(Walter Felsensteinのこと?)奥様はR.Wagnerが大っ嫌いな人で。(ナチスの)宣伝に使われたためか、僕がWagner(ヴァーグナー)稽古の日は家からいなくなる。友達とお茶に行ってしまう。今日は僕が「オランダ人」「アンフォルタス」お願いしますと言うと奥様はNiemals、聴きたくない、といなくなるんですね。Wagnerとは何か、Endlosだよって奥さんが言った。
 Wagnerは歌い終わっても歌い手は体を休めてはいけない。エリザベートのことを思いながら、自分がチェロになったつもりで舞台上でエリザベートと一緒にいなくてはいけない。それがPensiero--!!!(イタリアオペラ(リゴレット「女心の歌」の歌終わり))と違う。

城谷:イタリアオペラはそれないんですよ。ヴェルゼ Wälse! もやりすぎると著しく興を削ぐ。イタリアオペラのように伸ばせばいいというものではない。
 ホイヘーのHigh C(「神々の黄昏」のSiegfriedの)もHigh Cを誇示するものではない。呼び声に応えるというドラマ的な要求だけで、アトラクション的に見せる必要はない。
 「リエンツィ」は古いものも残っているけどVerdi的アトラクションはないです。

大沼:城谷さんは稽古場でも楽譜を持ってこないんです。持って来るのは鉛筆だけ。全部覚えているんです。なぜですか?

城谷:愛ですね。飯守先生で人生が変わった。飯守さんのシティフィルで「合っているけど違う!」という先生に出会ったんですよ。ソルフェージュ的に合ってればいいという音楽ではないよ。Wagnerは長いし好きになれない部分もある。Das Rheingoldの第3場はつらくなる。ニーベルハイム。歌手が暗譜して演じるってのはすごいことなんですよ。

大沼:若干超人ですよね

城谷:そういう人にうしろめたさがあって努力しようと。

大沼:新国立劇場の「ワルキューレ」で振った時、オケ合わせやってないでしょ。

城谷:練習なし。GP終わりで5分だけ振らしてもらった。オケもわかっているし、歌手の癖もわかっているし。

大沼:あれはセンセーショナルでしたよね

城谷:緊張感があっていい方向に行った。
 グールドは新国立劇場で2010年トリスタン初役だった。私はプロンプターボックスですべての言葉を出せと言われてのどをつぶした。

司会:自分だったらこの役を歌いたいってありますか?

城谷:ミーメです。ジークフリートの。ジークフリートのカンカンも楽譜通りちゃんとやってる歌手はいない。ザックスの靴叩きもキュー出さないと叩かないんですよ。

司会:大沼さんはドイツ語以外の作品もやっているけど発声を意識して変えるとかどうやっている。

大沼:僕の場合はドイツ語もイタリア語も変わらないけどテキストを読んで母音だけ読んだり。イタリア語は何シラブルか、アクセント来る音節を、そこに向かって息を流していこうと。ルチアの時にはルチア、ヴォルフラムの時は母音の位置が違うので朗読して。2020年3月のその時の顔の形の場所が見つかっての繰り返し。言葉の要請するものを感じ取ってどのように息をして飛ばすかにつきると思う。

司会:チャレンジしたい役は?

城谷:ベックメッサー?

大沼:ベックメッサー。

城谷:一番はまり役。ザックスの家に来るとこのパントマイムがすばらしかった。

大沼:ベックメッサーやりたいですね。

城谷:ヴォルフラムの純真さも出せるし、ベックメッサーの滑稽さもいいと思う。

城谷:ワーグナーの上演回数が増えると質も問われるので「わの会」で高めていきたいと。15日もやります。大沼さんの次の世代のWagner歌いを育てている、伊藤達人さんとか。おこがましいが世に出していきたい。

大沼:ヴァーグナーは難しい。ヨーロッパの歌手を聴いていると感じるのは、歌える人は限られるなあと。城谷さんには三顧の礼でオファーいただいたので、入ったのがWagner界隈に入ったきっかけ。

城谷:Wagnerはある程度充実してから出ないと取り組めない。出会いがないと。この人だったらいけるという人を見つけて鍛えて送り込むのを使命としてやっている。そういう人が大きな劇場で花開いていくのが嬉しい。

大沼:「冬の旅」を去年やって今度「水車小屋の娘」2023年5月30日(火)に白寿ホールでやる。万障お繰り合わせの上ご参集をお願いいたします。シューベルト歌います。(しゃべり過ぎて)声出るかな~ハハハ…

演奏:
シューベルト 「学に寄す」
Schubert: An die Musik

了。

参考>>>
2022年12月15日(木)19時開演21時終演(予定)
「わ」の会 コンサート vol.8 
Fragen: 問い
新宿区角筈区民ホール 
https://shinjuku.hall-info.jp/tsunohazu/access.html 
全席自由4500円
『マイスタージンガー』第2幕3場4場
ザックス友清崇
エーファ宮城佐和子
『ワルキューレ』1幕3場より
ジークムント片寄純也
ジークリンデ鈴木麻里子
『ジークフリート』1幕2場
さすらい人大塚博章
ミーメ伊藤達人
『ローエングリン』2幕2場より
エルザ渡邊仁美
オルトルート池田香織
3幕最終場面
ローエングリン伊藤達人
オルトルート池田香織
エルザ渡邊仁美他
ピアノ
三澤志保
木下志寿子
指揮城谷正博
字幕吉田真
チケットteket


2023年5月30日(火) 19時開演
白寿ホール
おと と おと と vol.17 大沼徹 シューベルトの世界「美しき水車小屋の娘」全曲
大沼徹(バリトン)
朴令鈴(ピアノ)





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最終更新日  2022年12月15日 14時21分12秒


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