三浦しをんがライフワークの「まほろ駅前多田便利軒」シリーズの40年後的な世界を描いた、「政と源」。片や「多田と行天」はまほろ高校時代の同級生の縁が「馴れ初め」だが、こちらは戦中、戦後のガキの頃からの幼馴染。「多田と行天」の性格も対照的だが「政と源」もまるで違っている。終戦の折り、疎開していた政と隅田川周辺に居続けた源。久方振りの再会に駆け寄り、自分の事はさておき相手の無事を喜んだ竹馬の友。
真面目派の「政」、国政は「仕事で稼いで稼ぎまくることこそが家族への愛情」と信じて退職まで頑張ったが、妻、娘には全く伝わらず、家に居ない夫、父に愛想をつかす。妻、清子は舅から「息子を産め」と責め苦のように言われ続け辛い旨のサインをずっと出し続けるが、「政」は汲み取ることが出来ない。鈍感なのだ。清子は離婚こそしないが、「政」の家から出ていく。清子は金銭的にも「政」から独立。まほろに拘りにあるしをんさんらしく、「こどもの国」も登場。清子との仲を修復したい「政」には辛い場所になったが。格好良いイラスト通りの「政」なら、清子からも愛想尽かしを食らわないようにも思える。熟年夫婦にはルックスの重要度は下がるものなのかも知れない。「源」のイラストも格好良すぎる。あんな見た目の良い、爺さん達はいないのが現実。
「源」、源二郎は「政」から見ると刃傷沙汰までありの女の出入りの激しい無頼派。空襲で「母、兄弟が目の前で真っ黒な灰になったイメージが拭えない」トラウマを持つ。その喪失感から無頼に見えながら、「家族を心の底から希求する」ロマンチスト。「政」の助太刀で花枝という最高の伴侶を得て、愛に溢れる夫婦生活を送ったが花枝が病を得て、その幸せも突然終息してしまう。切ない。「政」からすると「つまみ簪(かんざし)職人」の弟子、徹平を持つ「源」は羨ましく思えるが花枝を失った「源」の寂しさは埋めようもないもの。その闇の深さは初詣の際の「政」の不用意な言葉で傷つく「源」の怒りで表出。
成り行きは異なるが、結果共に天涯孤独の身になってしまった、「政と源」。お互い不用意な言葉から時に仲たがいするが、基本はお互いを思いやる優しさで支え合う。「幼馴染無線」で繋がっている。三浦しをんさん未だ37歳なのに人生の機微が分かり過ぎ。文章は相変わらず上手い。舞台は墨田区の川のあるY町(墨田区横綱と想像している)。隅田川と荒川にはさまれた三角州の町。(しをんさんのイメージは福岡、柳川らしい。Y町のYは実は仮想の町としての柳川かも。パパも柳川は2度行きました。川下りとうなぎの蒸籠蒸しはSo Good!)隅田川周辺をよく舞台に使った藤沢周平へのオマージュだと思っている。「橋ものがたり」を思い出した。「政と源」、徹平、マミのよく乗る船が藤沢小説でお馴染みの小名木川をワイワイガヤガヤしながら行き来している。こんな想像が本作を味わいを深める。三浦しをん、藤沢周平は同じ人間の人情、機微を描ける作家。読後感はとても良かった。
<< 24th/Jan 2014 (Fri) - '佐藤竹善Friday Musical Voice' Shonan Beach FM>>
23:00 What a Drag/ Sugarbomb
23:08 I Ka Barra/ Habib Koite & Bamada
23:13 Ghost on the Dance Floor/ Blink-182
23:20 Find a Reason/ Jason Champion
23:24 Carry On/ High Red
23:32 You Need a Hero/ 佐藤竹善
23:38 I Dreamed a Dream/ Anne Hathaway
23:45 Time to Say Goodbye/ Sinon
23:50 If You Leave Me Now 愛ある別れ/ Chicago
<< 2014/01/25 Shonan Beach FM - SHONAN JAZZ BY THE SEA >>
19:03 Midnight Special/ Jimmy Smith
19:16 Get Happy/ Rosemary Clooney
19:21 Gig/ Mario Biondi
19:25 Fascinating Rhythm/ Dee Dee Bridgewater
19:31 トニーニョ・オルタ/ Desafinado Toninho Horta
19:38 Hit That Jive, Jack!/ John Pizzarelli
19:41 Smoke Gets In Your Eyes/ Clifford Brown with Strings
19:44 You Stepped Out Of A Dream/ Four Freshmen And Five Trombones
19:47 Parisian Thoroughfare パリの舗道/ Karrin Allyson カーリン・アリャ�
19:50 Old Devil Moon/ キャロル山崎
19:56 Emily Sidsel Storm/ シゼル・ストーム
20:01 展覧会の絵/ 寺井尚子
20:07 愛のプレリュード/ 寺井尚子
20:14 Donna Lee/ 寺井尚子
20:16 Early Autumn/ New York Voices
20:22 Hi-Fly/ Mel Torme
20:26 Ruby, My Dear/ Thelonious Monk
20:32 Polka Dots And Moonbeams/ Herb Ellis
20:39 Ha!/ Dianne Reeves
20:42 Come Rain Or Come Shine/ Chet Baker
20:44 Stardust/ New York Trio
20:51 Steps To Heaven/ Take 6 feat. Jon Hendricks , Al Jarreau & Till Bro
20:56 Through The Window/ Yuri Tashiro
<< 2014/01/25 NHK FM 児山紀芳 ▽日本のジャズ~伝説のライヴ"ジョージ川口&ビッグ4">>
「コットン・テイル」 (ビッグ・フォア)(4分44秒)<KING KICJ 2273>
「スワンダフル」 (ビッグ・フォア)(3分16秒)<KING KICJ 2273>
「ハーレム・ノクターン」 (ビッグ・フォア、松本英彦)(3分08秒)<KING KICJ 2273>
「テンダリー」 (ビッグ・フォア、中村八大)(2分56秒)<KING KICJ 2273>
「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」 (ビッグ・フォア)(4分38秒)<KING KICJ 2273>
「バトル・オブ・サックス」 (ビッグ・フォア、宮沢昭)(3分58秒)<KING KICJ 2273>
「ドラム・ブギー」 (ビッグ・フォア)(8分13秒)<KING KICJ 2273>
「ビッグ・フォア・モップ」(ジョージ川口とビッグ・フォア・プラス・ワン)(6分36秒)<VICTOR VICJ-60724>
「キャラヴァン」 (ジョージ川口とビッグ・フォア)(10分03秒)<COLUMBIA COCB-53913~5>
「オン・デイ・ワン」(パット・メセニー・ユニティ・グループ)(15分15秒)<WARNER WPCR-15523>
「アラフォエ」 (ハーブ・ゲラー)(4分03秒)<UNIVERSAL UCCM-9102>
「アフリカン・ソング」 (ユセフ・ラティーフ)(3分50秒)<ATLANTIC WPCR-27480>
「A列車で行こう」 (デューク・エリントン・オーケストラ)(4分35秒)<BMG 09026-63386-2>
「ブルース2013」 (トム・ハレル)(8分59秒)<HIGH NOTE HCD 7254>
「ファンタジー・イン・ラテン」 (トム・ハレル)(6分17秒)<HIGH NOTE HCD 7254>
「トディ・ブルース」 (マーク・キャリー)(8分45秒)<MOTEMA MTM-130>
「レディ・オア・ノット」 (マーク・キャリー)(7分12秒)<MOTEMA MTM-130>
100分de名著 ー 名著116「日蓮の手紙」 2022.03.07
「金子みすゞ詩集」第4回「ことばで響き合… 2022.02.07
詩人になることへの諦めの境地:「金子み… 2022.01.31