和久井映見 )に重なる。ドラマを各回全部観た訳ではないがパパも当時和久井さんの大ファンだったので、ドラマ「ピュア」での優香の表情と言動を思い出しながら本作を読んだ。その分、純香の行動、言動の理解、深読みにかなり「優香バイアス」が掛ってしまったかも。在ってはならぬことですが。多分、作者の桜木さんはこのドラマが好きだったんだろうと想像している。優香には頼れる沢渡 徹 ( 堤真一 )(最終回では亡くなってしまうが)、優しい母 折原 孝子( 風吹ジュン )がいたが、純香の頼りになる存在の祖母は亡くなり、兄、林原信輝は頼りない。心の底では「純香よ消えてくれ」の嫌な本心が見え隠れする。
当事者になれば信輝の負担は途轍もないので、嫌な本心を信輝が抱くのは誰も非難出来ない。母は同じだが、父が違うという50%しか血の繋がりがないことも信輝の「何で俺がこんなに大変なんだ」という思い所以か。書で芽の出ない、秋津龍生。自分でも才能が足りないことが分かっていながら、書を辞め別の仕事に就く決心も出来ない。家計を妻、伶子の収入に委ねている。信輝と同様に、龍生も身内の世話に日々忙殺されている。龍生は介護すべき母を抱えており、書で芽が出ていないため稼ぎだけでなく母の世話も伶子に頼っている。龍生も伶子も「お母さん(お義母さん)消えてくれ」という気持ちが無いと言えばウソになる。老いた親を介護する日々の、エンドレスの辛苦は当事者でなければ、実感することが出来ない。龍生の気持ちとして「大して書の才能がないのに母に「お前は特別よ」との言い聞かされ、結果「妻の稼ぎに生活を委ねる」ヒモのような社会性のない男に育てられた、逆恨みがある。そんなものは甘えで自分で打開しなければならないこともまた、龍生自身が分かっている。身内の世話、介護への抜本的な方策の無さが本作の底流にある、無常感、暗さ。
ドラマ「ピュア」がSunny Side of Lifeとすれば本作はDark Side of Life(Facts of Life)であり、人間の狡猾さ、他人への依存、渦巻く愛憎が綿々と続く。唐突な純香の悲劇も龍生の「一瞬の栄誉」もそこだけならありがちで陳腐なストーリーだが、信輝vs伶子、龍生vs伶子、信輝vs里奈の会話と心の底の駆け引きを釧路の情景、気候を絡めて冷徹に描く、桜木さんの文章力は凄い。冴えわたっていて読まされてしまう。駄目な大人たちに比べて、未来を切り拓く期待を持てるのは純香であり、「中長期計画」を立て実行している君島沙奈という若い女の子だけ。おばちゃん、おばあさんもロクデナシだが、男はドイツモコイツも「碌でなし」の極み。桜木さんのアイロニーが籠められている。男の優柔不断さ、頼りなさには厳しく、桜木さん男の身勝手な行動で個人的にとても酷い目に遭わされたんでしょうかね?
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18:02 "STEPPIN' ON IT" 平林牧子
18:09 "CHOIR" DAVE HOLLAND
18:15 "YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC" LARS JANSSON TRIO WITH OVE INGEMARSSON
18:21 "SO IN LOVE" MASSIMO FARAO TRIO
18:28 "WE GO ON" PAT METHENY UNITY GROUP
18:36 "INAMORATA (1970.12.18 LIVE AT THE CELLAR DOOR)" MILES DAVIS
18:56 "HONKEY TONK (1970.12.18 LIVE AT THE CELLAR DOOR)" MILES DAVIS
19:04 "KARAGI (LIVE)" 類家心平
19:19 "4 AM (LIVE)" 類家心平
19:27 "NEARNESS OF YOU (STUDIO LIVE PERFORMANCE @ INTERFM)" 類家心平
19:34 "SMILE" NICKI PARROTT
19:39 "HAVE YOU EVER SEEN THE RAIN" KAREN SOUZA
19:44 "PRETEND" BARBRA LICA
19:47 "YOUNG AT HEART" CYRILLE AIMEE
19:51 "HOW INSENSITIVE" STACY KENT
100分de名著 ー 名著116「日蓮の手紙」 2022.03.07
「金子みすゞ詩集」第4回「ことばで響き合… 2022.02.07
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