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2008.02.14
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カテゴリ: 思い出の甲子園

前回に引き続き、高校野球の思い出を綴りたい。1976年春、第48回選抜高校野球大会は広島の崇徳高校が優勝するが、その崇徳の2回戦、茨城の鉾田一高との試合は、忘れられない試合である。



その日、私はいとこの結婚式のため、熊本市の水前寺公園近くの結婚式場の控え室で、高校野球をテレビ観戦していた。初戦、香川の古豪、高松商との打撃戦を制した崇徳は、2回戦で、こちらも初出場の鉾田一と激突する。もちろん、戦前の予想では、崇徳優位は揺るがない。

一方の鉾田一は、エースで4番の速球投手、戸田のワンマンチームだった。1回戦、新潟の糸魚川商工との試合は、まさに戸田投手1人で勝ったような試合だった。ノーヒットノーランを達成し、自らのタイムリーで決勝の1点を挙げ、1対0で勝利した。まず、簡単にこの試合を振り返ってみる。

プレイボール直後の初球をバックネットへ大暴投して始まったこの試合、初回、戸田は3連続四球を与え、いきなりの無死満塁の大ピンチを迎える。球筋が定まらないと見た、糸魚川商工の各打者は、待ち球作戦に出るが、ここから戸田は三者三振(だったと思う)を奪う。糸魚川商工は絶好の先制機を逃す。まさかそれが、最初で最後の大チャンスとは思いもしなかったことだろう。

そしてその裏、鉾田一はワンチャンスをものにする。2死ながらランナー1人を置いて、4番戸田がタイムリーヒットを放つ。鉾田一のヒットは、これを含めてわずか2本。そして投げては、初回の乱調がウソのように、とうとう無安打に抑え込んだのである。両チームあわせて2安打というのは、破られようのない、最少安打試合の記録である。

1 2 3 4 5 6 7 8 9
糸魚川商工
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
鉾田一
1 0 0 0 0 0 0 0 x 1

そして、運命の2回戦である。初戦、ノーヒットノーランの鉾田一の戸田の真価が問われた試合であったが、戸田の剛速球は冴え、崇徳の大型打線を完全に封じ込んだのである。一方の、崇徳の黒田投手も、負けじと鉾田一打線を完全に押さえ込み、鉾田一はヒットの1本も打つことが出来ず、試合は8回裏まで進んだのである。

0対0のまま、延長戦かとも思われた試合だったが、8回裏、思わぬ形で均衡が破れる。それは、鉾田一を象徴するようなシーンだった。打者は、鉾田一のエースで4番の戸田。黒田の速球を叩いた打球は、ライトスタンド(ラッキーゾーンだったかもしれない)に一直線に吸い込まれていった。初安打が均衡を破るホームランとなったのである。

9回表、崇徳の攻撃は、あっという間に2死となる。初戦2安打で勝利した鉾田一は、この日わずか1安打で、優勝候補筆頭の崇徳を追い詰めたのであった。そして、次の打者の打球は、1塁手正面への平凡なゴロとなった。 万事休すと誰もが思ったその瞬間、信じられないことが起こった。1塁手がトンネルしたのである。勝利を目前に、固まってしまったかのようだった。

それでも既に2死。鉾田一の戸田は、次の打者を二遊間のゴロに討ち取る。ボールの正面に入った遊撃手、今度こそ万事休すと思われた。しかし、あろうことか、これも大きく弾いてしまったのである。この時、鉾田一を応援していた私は、勝利を目前に2つ続いたミスに、心中、穏やかでなかった。

そして迎えた打者は、4番永田。もはや、戸田投手は自分が抑えるしかない、という気持ちで、力みが強くなったのかもしれない。そして、打ち放たれた打球は、非情にも右中間を大きく破り、ボールはフェンスまで転がる3塁打となった。2者が生還し、とうとう崇徳が土壇場で試合をひっくり返したのである。

打線が非力な鉾田一にとっては、これで試合が決した。戸田の緊張の糸も切れてしまったかのようだった。続く打者にタイムリーヒットを打たれ3点目。そして、牽制悪送球、四球。とどめは、高々と上がったピッチャーへの飛球を無造作に片手で捕りにいって、落球。あっという間の4失点。逆転された後の戸田は放心状態で、まさに一人相撲だった。

1 2 3 4 5 6 7 8 9
崇徳
0 0 0 0 0 0 0 0 4 4
鉾田一
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1

悪夢の9回表、崇徳の攻撃が終了し、ベンチに戻る戸田投手の目は、すでに涙が一杯に溢れていた。9回裏の鉾田一には、反攻する力はなかった。試合終了後も止まることなく、泣きじゃくっていた戸田投手の姿は、忘れることが出来ない。

この試合で生き返った崇徳は、その後も強さを発揮し、初優勝を果たすのである。

そして、鉾田一は、同じ年の夏、再び、甲子園に戻ってくる。戸田のワンマンチームと呼ばれていた春のチームから脱皮し、打力を強化した逞しいチームとして戻ってきた。しかし、初戦、兵庫の古豪、市神港に延長戦の末、4対7と敗れる。戸田投手に春のリベンジはならなかった。






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Last updated  2008.02.15 00:09:18
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Re:茨城・鉾田一 悪夢の9回、戸田投手の思い出  
たか さん
小6になる春休みだった甲子園で応援してました気持ちはもう明日の準々決勝だった急きょ宿探しするしかないなと周りの人達と父の会話が三十五年たったいまも残っているその後エラーをした選手は想像を絶する嫌がらせにより野球部を去る事になったと聞いています中学時代野球部だった私は鉾一に入学したがあの出来事がトラウマとなり高校時代はサッカー部に入った (2010.01.11 01:18:34)

Re:茨城・鉾田一 悪夢の9回、戸田投手の思い出  
たか さん
戸田さんは現巨人軍原監督に誘われ同じ東海大学に入学したが附属学校独特のいじめで中退してしまった。その後私は戸田さんと知り合いになり戸田さんが監督兼ピッチャーはたしがキャプテンで草野球チームを作りました。戸田さんのカーブは凄かったな。 (2010.01.11 01:29:40)

Re[1]:茨城・鉾田一 悪夢の9回、戸田投手の思い出(02/14)  
junbogart  さん
たかさん
書き込みどうもありがとうございます。

当時を知る方とあって、大変嬉しく思います。それどころか、戸田投手と一緒にプレーされたとは。。。そんな方に見つけて頂いて、嬉しい限りです。

そう言われれば、原監督と戸田投手とは同世代ですね。原さんの最後の夏も記憶に残るところです。

甲子園は、選手を大きくすると共に、敗者に対しては、時として、残酷な一面も見せますね。そういう辛い話を聞くと、とても残念に思いますね。 (2010.01.11 14:37:16)

おかしい・・・  
ktl8233  さん
わたしの記憶間違いなのか?
わたしの記憶では2死後、一番の山崎が死球。すかさず盗塁。二番の樽井?がエラーで出塁。その後、三番小川が四球。四番永田が二塁打だったと思うのだが。
記憶が不確かです (2010.02.05 04:57:46)

Re:おかしい・・・(02/14)  
junbogart  さん
ktl8233さん
書き込みありがとうございます。

さすがに30年以上も前のことなので、記憶も怪しくなりますね。私もご指摘されると、自信が無くなってもきます。どこかにデータベースが置いてあるといいんですけどね。

この9回2死後の勝負の非常さ、そのシーンは、今思い出しても、忘れられない強烈な思い出ですね。 (2010.02.05 13:40:31)

Re:茨城・鉾田一 悪夢の9回、戸田投手の思い出(02/14)  
てつや さん
懐かしい記憶が甦りました
ツーアウトから 一塁手のトンネル
その後 遊撃手がセカンド寄りの平凡な打球をセカンドベース側に弾いてしまったシーンは今でも忘れられません
当時 茨城県の中学生の野球少年の
確かな記憶です (2020.11.25 00:51:07)

Re[1]:茨城・鉾田一 悪夢の9回、戸田投手の思い出(02/14)  
 さん
てつやさんへ
メッセージありがとうございます。 (2022.11.09 17:02:14)

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