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「好きになってしまった人はいつかあたしを嫌いになる。だから嫌い」。
本当の自分でいられるのは、メイド喫茶でアルバイトをしている時と、アニメやゲームキャラに自分を重ね合わせてイラストを描いている時だけ。エッチの相手にも、生身の自分は見せない。杏は、自分の感情をツギハギだらけにして、その場しのぎの"仮の自分"を繋ぎ合わせた日々を送っていた。だが、ある嵐の夕方、サーフボードを抱えた青年・陸と出会った時、杏の感情に変化が訪れる。やがて二人は奇妙な同居生活をはじめるが...。
居場所を探している全ての人に捧げるラブストーリー。
(「BOOK」データベースより)
表紙が印象的。と思ったら「さくらん」で映画監督としてのデビュ-も飾った蜷川実花( にながわみか
)が撮影した作品だった。
いいなあ。この二次元から溢れ出そうな色彩感覚。
作者の著書の多くは彼女が表紙を担当したらしい。よほど共感できる「何か」があるんだろうか。
時代の寵児、的な作家だったのかな。
但しこの「ツギハギ姫と波乗り王子」の主人公はどう考えても20代。お相手の青年リクは27歳だから、20代半ばかなあ。
メイド喫茶のバイトに年齢制限はないだろうけど「ご主人様」の台詞が似合う年齢には限りがあるだろう。
少女漫画で育った世代層が厚くなっている以上、それを髣髴とさせる小説が多くなっているのはむしろ自然かもしれない。
しかし、手法が小説である以上、漫画では描けないプラスアルファが欲しい。・・・・念のため。漫画が一段下だなどとはまったく考えていない。
漫画でなければ表現できない「何か」があるように、小説でなければ表現できない「何か」があるはずだし、あるべきだ、と思っているのだ。
正直この作品を読んでよくできた漫画のようだ、と思った。
ある種の漫画にあるよね、こういう雰囲気。こういう設定、って。
特に若い世代の共感を呼びそうな。
でもそれ以上の「何か」がない。
小説でなければならない理由が見当たらない。
水槽の熱帯魚を見ている感じ。手に伝わる熱や冷たさがない。
それなりに切ないのに。
その切なさは目の前の水槽に立つ波か泡のようだ。
これまでの作品を調べてみたら、ずいぶんと数が多いし、内容も時代を映した衝撃的な題材が多い。『14(fourteen)』は、あの酒鬼薔薇聖斗を主人公にした作品?
気になるが品切れで重版の予定がないのはどういう事?
ますます気になるではないか。
で、この表紙はやっぱり蜷川実花なんだろうな。
になみか
の作品は鮮烈でビ-トが効いてるけど、根を張った存在感がある。
名前負けならぬ表紙負けじゃなかろうかと、これ1冊を読む限りでは思うのだけど。
「しゃばけ」シリーズ第13弾 「すえずえ」 2014.09.16