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染井為人 0
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信仰【電子書籍】[ 村田沙耶香 ] 表題作をはじめとする数作所収の短編集。 しかしこの作家の頭の中というのはいったいどういうことになっているんですかね。 それ以上にこの作家の文章力の高さが、私に理解を与える。 理解不能ということにならない魅力がこの作家にはある。 だからと言ってその話に私が傾倒するということもない。 でもその変わった視点が面白い。 その信仰であるが、テーマはカルトだ。 この作品では、催眠商法と、カルト宗教の二つを代表的素材として登場させる。 催眠商法には、私が大学一年の時、高校の同級生から誘われてその現場に行ったことがある。 あの時件の同級生がどれだけの損失を被ったかは、聞いていないからわからない。 けれどもきっと大損したろうなというのが私の推測だ。 で、あの時の私は、この小説におけるヒロインそっくりだったと思う。 つまり、全部客観的にみる事が出来判断できたというわけだ。 決して騙されることものめりこむこともなかった。 けれども、その同級生が少し気の毒になり、だまされたふりしてもいいかなどとも思ったが、結局そんな仏心を彼に具体的にかけることはなかったのだった。 その件のヒロインは、愛する妹がカルトにのめりこんだのを見て、何とか騙されたいと考え、親友の主催する天動説を信奉する宗教に入り込む。 10万円で、最終的には450万円の物品を買わされることになる仕組みだったが、彼女は結局、他の信奉者とともに、ジュウマンエンカエセ、と連呼するのだった。(1/9記)
2024.03.31
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コンビニ人間【電子書籍】[ 村田沙耶香 ] まこと先入観念を持たないことはとても重要なことで、作者が大芥川賞作家だったなどということも知らず、更に本作がその受賞作だったということも私は知らなかったのだ! しかし何という素晴らしい作品なんだ、と私は感動した。 読了間際には、薄っすらと涙も出ていた。 ヒロインは、コンビニでだけ生きていける人。 人からどう思われようが構わない。 彼女は小学生の頃から、指示には完璧に向かう。 余計な感情は持たない。 彼女は長じて、コンビニこそ自分の居場所だということを発見し、18年もの長きにわたり店員としての仕事をまっとうする。 このあたりはあーた、道元禅師の典座教訓でっせ。 それはともかくその彼女に、白羽などというわけのわからん同居人ができる。 その結果周りはやっと恵子(彼女の名前)も結婚した、やっとまともな人になったと大騒ぎして喜ぶわけだ。 私は、この小説の素晴らしいところは、最初から最後まで恵子の生き様がぶれないところにあると思う。 また白羽の主張も、一貫していた。 ただ最終盤ね、白羽が自分の主張に反してきたね。 恵子がコンビニを辞めることになったものね。 まあいずれにしろ、白羽の主張する縄文時代から変わらぬムラ社会と、現代のコンビニ人間を輩出する社会の違いというものを、この作品で十分考えさせられたのだった。 私は、さっそくカテゴライズしましたぜ。 これから末永く付き合う作家になりそうだ。(12/29記)
2024.03.19
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