濫読屋雑記

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2006年01月17日
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テーマ: お勧めの本(8110)
カテゴリ: 手に取った本
昨日は、 小野不由美 くらのかみ 』を紹介しましたので、ファンタジー繋がりで、 角野栄子 さんの『 ファンタジーが生まれるとき 』(岩波書店、2004年)を取り上げてみたいと思います。

角野栄子 さんといえば皆さんご存知、 宮崎駿 監督の『 魔女の宅急便 』の原作者です。また角野さんは、顔ともなってしまった『魔女の宅急便』の他にも、様々な絵本・童話を創作されていて(あと、色々翻訳もされています。)、その道では日本を代表する作家の1人でもあります。私と 角野 さんの作品の出会いも、幼稚園の頃に母親から読み聞かせをしてもらった『 ネッシーのおむこさん

そして高校時代に、 角野 さんが文化祭に講演会に招待されて来校された時には、 講演の後に学園長室の前で待ち構えて 私が持っていた『 魔女の宅急便 』にサインをしてもらった思い出があります。スケジュールが詰まっている中、僅かな時間を割いてサインをしてもらったので、 角野 さんとは少ししか会話を交わすことが出来ませんでしたが、今でも心に残る高校時代の良い思い出の1つです。(高校ではかなりやりたい放題、天上天下唯我独尊的行動をしていました。勿論、規則の許す範囲or灰色境界線上ですがね。)ただこの時、『 ネッシーのおむこさん 』を 屋根裏部屋から発掘できずに持って行けなかった事は、今でも非常に後悔しています

さて、ここから本題の『 ファンタジーの生まれるとき 』の中身の紹介をしていきましょう。この本は、副題に『 『魔女の宅急便と』とわたし 』とあるように、 角野 さんがどのようにして作家となったのかというきっかけや、あの「 魔女キキ

私が、この本を読んで驚いた事を幾つか並べますと、まず、 角野さんが結婚後すぐの20代の時、2年間も地球の反対、ブラジルへ移民として滞在していたという凄まじき事です 。デザイナーの旦那さんの「新首都、ブラジリア建設を見てみたい」という気持ちと、珍しいもの見たさにブラジルに渡航されたのが1960年(昭和35年!当時、日本政府は移民を奨励していました。)。今とは違い、国外に出るということは港で一族郎党が総出で水盃を交わして見送り、船で(飛行機なんて、外交官等一部の特権を持った人しか使えない!)出国したという時代です。(さらに、外貨、簡単に言うとドルですが、これに持ち出し制限があった時代です。) 凄まじき事をしたな~、と素直に感嘆してしまいました 。(歴史を勉強していると、時代背景が手に取るようにわかるので、本を読むときは楽です。とくに日本の近現代は専攻していたので…)でも、その時の経験が帰国後の角野先生の処女作『 ルイジンニョ少年―ブラジルをたずねて― 』の誕生に繋がり、ブラジルへの航海の思い出(とその後、世界を旅した思い出。)が『 ズボン船長さんの話 』の創作のもとになって、サンパウロの下町での生活が『 魔女の宅急便 新しい町で暮らす不安と新しい発見が入り混じった不思議な感覚の表現 (ここの表現が恥ずかしながら、上手く出来ません。私、1人暮らしをしたことが無いので…。兎も角、『 魔女の宅急便 』と『 ファンタジーの生まれるとき 』の二つを読んでみて下さい。)へと生かされているのです。( 角野 さんは、ご自身の人生を「 効率の悪い人生 」と言っています。そして、その間に体験した様々な事を「」と仰っています。でも、 その体験が創作のもとになっているのですから、本当に、人生に無駄なことなんてひとつもないんだな 、と考えさせられました。)

他にも、 角野 さんが初めて物語、『 ルイジンニョ少年―ブラジルをたずねて― 』を書いた時、 子どもさんが3歳という手が掛かり目が離せない時期に物語を書くということの大変さ (卒論や会議などで提出するレポート等々、文章を作った経験のある人なら、一部の特殊な感覚を持っている人を除いて、この凄まじさが理解できると思います。)などなど、思わずウワーッとか、へぇーと言うような事がたくさん語られています。私は、 角野 さんの そんな体験の中から不思議な物語の扉が開いて、もしかしたら隣にひょっこり現れそうな魔女が生まれたのだな~ と思いました。この本はそんな、ファンタジーが紡ぎ出されていく道程が、角野先生の心情と作品への思いとともに語られている本なのです。

最後に、この本は『 岩波ジュニア新書 』といって、 未来を考え、これから人生を歩む若人たち、ようするに中高生向きに作られた新書なのですが 大人でも、児童文学やファンタジーに関心のある方、そして文章を書いたり物語を創作される方、そして、子どもさんがいるご両親や教職にある方々にも 是非読んでいただきたいとお勧めする1冊です

という事で、今日は少し思い出を交えて『 ファンタジーの生まれるとき 』を紹介してみましたが、如何だったでしょうか?

ファンタジーが生まれるとき 魔女の宅急便
↑個人的な趣味ですが、このスカートを少しつまんでいるところが中々…。





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最終更新日  2006年01月18日 00時00分00秒 コメント(2) | コメントを書く


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