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カテゴリ: アート

 雷鳴轟かせ、息吹を呼び込むとはまさにこのこと。国宝をはじめとする仏像をモチーフに、インテリアに仏像、という新しいスタイルの提案を続けてきた イSム (最近、TBSの『 マツコの知らない世界 』に取り上げられて、何となく目にしたことがあるという人もあるかもしれない)が、ブランド立ち上げ一周年記念企画を投入し続けている。 

 その一環として、約20センチ前後というサイズを忘れさせるほどの作り込みでコアなファンをも唸らせてやまないTanaCOCORO[掌]シリーズからリリースされた新作が「風神/雷神」である。過去には、贈り物として何体かのイSム仏像を求め、そのクオリティの高さ、考証/検証の確かさには絶大な信頼を置いてきた。 

 昨夏は、当時新作だった「不動明王」を、自分のために購入した。不動明王は、ある種、自分を護り、鍛え、戒める「アメとムチ」ならぬ「盾とムチ」の象徴として、あるいは図像そのものとしても昔から大好きなモチーフなのである。

 ところで、お決まりの“異形好き”の血が騒いでしまい、今回はじめて、TanaCOCORO[掌]シリーズ「風神/雷神」を購入(手軽に購入しやすいよう、それぞれ一体ずつ別売りになっているが、やはり並べて飾りたくなるもので、私は二体一組として購入)したが、まさに“手のひら一杯”分くらいのサイズであるにもかかわらず、像はもとより台座にいたるまで、どこかに手抜きはないものか、と探してやりたくなるほどニクい徹底的な作り込みなのである(実物ではなかなか見られない背面なども、手に取ってじっくり堪能できるのがまた愉しい)。

 こうした造形物は、サイズが小さくなれば精巧さは二の次にされがちであるし、一番大切な像のプロポーションもデフォルメされてしまう。コンパクトなサイズを選ぶなら、捨てなければならないことがあるということを、ユーザーは甘んじて受け入れざるを得ない。

 といって、技術的に不可能な訳ではない。コストが合わなくなってくるということだ。にもかかわらず、二万円を切る価格帯で、スタンダードモデル(大きなサイズのオリジナルライン)と同じだけ、いや、小さい分、さらに緻密な作業工程を、惜しむことなくつぎ込んでいることは目の前の「風神/雷神」を見れば明らかなことで、モノ作りというのは、こだわればこだわるほどハードルが上がるのだろうな、という思いと、クオリティを上げ続けなければならないその宿命を思って、作家にせよ職人にせよ、メーカーにせよ、モノを生み出すという仕事の全てに改めて敬意を表したくなる。

 で、その目の前の「風神/雷神」の話。「風神/雷神」というと、あの「風邪薬」を思い出しそうなのだが、無論そのモデルは俵屋宗達の作品である。俵屋宗達の「風神雷神図」は、「北野天神縁起絵巻」に着想を得たものとされているが、当然宗達が生きた時代の遥か昔、鎌倉時代の作であるこの「風神/雷神」のモデルを知らなかったとは思えない。

 宗達に限らず、造像当時はもとより、それ以降も、あるいは現在においても、自然を象徴させた異教の神々は、我々のさまざまなイマジネーションやインスピレーションの源であり続けている。

 というのも「風神/雷神」は、無駄を削ぎ落した、写実性も高い鎌倉期の作品であるが、この像の魅力は「余白」にあると個人的には思う。アトリビュートや装飾品などがあっても、それらが飾る本体そのものは、シンプルで、サラッとした作りなのである。技術的には、仏教彫刻の技術史の中でも円熟期にあった当時、あえて「余白」を作り込み、表現するというのは、むしろかえって自分たちの技術力の可能性や、新たな表現技法の模索行為そのものであったかも知れない。

 そうして、もしこの想像上の神々である「風神/雷神」の彫刻そのものが一分の隙もなく入念綿密至極に作り込まれていたならば、それは強い固定観念を植え付け、単なるステレオタイプを作り出そうとする強烈なエゴの結果にしかならなかったろう。そこには、宗達はじめ、後の人々の豊かなクリエーションやイマジネーションの入り込む余地はなかったに相違ない。

 重ねて、作り込もうと思えば技倆ならば十分にあったろうに、あえて、シンプル化できるところはシンプルに作り込み、プロポーションやバランスの方を優先し、「余白」という新たな演出を盛り込んだように思えてならない。

 翻って、イSムの「風神/雷神」の魅力は、モデルのディティールへのこだわりや、彩色だけで生き生きとした玉眼までを表現してみせた像の表情といった点(その目の生命力は、神業に近い)だけでなく、あろうことか“「余白」の表現”までもが精確に再現されている点にもある。

 だからこそ、この「風神/雷神」は、どのような場所に置いて楽しもうか、という“飾り手のイマジネーション”を刺激してやまないのだとも思う。(了)

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Last updated  2012/04/13 12:11:54 AM
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