サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2009.07.17
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テーマ: 古典の日(312)
カテゴリ: 文学
 野暮用が入って、少し休んでしまいました。それにしても祇園祭の時期は、たいてい暑いと分かっていても、ヤッパリ暑いですね。私は暑いのは好きな方ですが、この人いきれの混じった濃密な湿度は何とも言えません。エアコンのない平安時代、都人はどう過ごしていたのでしょう。彼らは何よりも衣装が濡れるのを嫌ったと言われるのですが(衣装の色が身分の証しなので)。

 さて、さしあたって紫の上の内諾を得た光源氏は、ふたたび明石の方に二条の自邸近くに移ることを勧めます。

―  「なほ、かくては、え過ぐさじ。かの、ちかきところに思ひ立ちね」
と、進め給へど、つらきところ、おほくこゝろみはてむも、のこりなき心地すべきを、「いかに言ひてか」などいふやうに、おもひ乱れたり。 ― (山岸徳平校注、岩波文庫)

 (源氏の君は)「やはり、このようなことでは、つつがなくは過ごしていけないでしょう。前にも言ったように、近いところに(移ることに)心を固めなさい」
と、おすすめになるが、君の側近くに移って、(かえって今まで以上に、間遠なお心を)いとまなく見はててしまって、情けない心地しか残らないのなら、「どう言って(我が身をなぐさめることができよう)」などというふうに、思い乱れるのであった。

 光源氏の方は、この明石の方の心組みを、あらかじめ予想していたかのごとくで、つづけて、

―  「さらば、このわかぎみを。かくてのみは、便なきことなり。おもふ心あれば、かたじけなし。たいに、聞きおきて、つねにゆかしがるを、しばし、みならはさせて、「袴着のことなども、人知れぬさまならず、しなさむ」となん、おもふ」
と、まめやかに語らひ給ふ。「さ、おぼすらむ」と、おもひわたることなれば。いとゞ胸つぶれぬ。 ― (山岸徳平校注、岩波文庫)


と、細やかに相談なさる。「(前からたぶん)そのようにも、お考えだったのだろう」と、思いつづけていたこと(であった)。(明石の方は)いっそう胸がつぶれる思いである。

 源氏は明石の方が、ことさらな身分の意識ゆえ側近くに、まみえるのをためらっているのは、先刻承知。だからこそ若姫君の袴着のことを持ち出して、いわば理を取るか、情を取るか迫るのです。ひじょうに「まめやか」とはいえ、相手の出かたをある程度読んで、最大の懸案をさりげなく持ち出す。このあたり光源氏は何度も言いますが、気配りを最大限利かせながらも、当初の目的は外さないのです。

― つづく ―





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Last updated  2009.07.17 10:43:26
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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