サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2009.09.26
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テーマ: 古典の日(312)
カテゴリ: 文学
― 「女は、たゞ、心ばせよりこそ、世に用ゐらるゝものに侍りけれ」
など、人のうへ、のたまひ出でて、
 「女御を、「けしうはあらず、何事も、人に劣りては生ひ出でずかし」と、思ひ給へしかど、思はぬ人に、おされぬる宿世になん、「世は、思ひの外なる物」と、思ひ侍りぬる。「この君をだに、いかで、おもふさまに見なし侍らん。東宮の御元服、たゞ今のことになりぬるを」と、人知れず、思ひ給へ心ざしたるを、かう、いま、さいはひ人の腹の后がねこそ、又、追ひすがひぬれ。たちいで給へらんに、まして、きしろふ人ありがたくや」 ― (山岸徳平校注、岩波文庫)

 「女というものは、ただ(ひたすらに)、その心がけによってこそ、世間からも重んじられるものでしょうか」
などと、他の人(明石の方の身の上)にかこつけて、(内大臣は)話し出される。
 「(娘の弘徽殿の)女御を、『(姿かたち)悪くなく、何事にも、人に引けを取ることは無いように生まれ育った』と、思ってまいりましたが、(斎宮の女御という)思わぬ人に、(彼女が)気圧されたという運命を(見るにつけ)、『世間とは、(我が)思いのままにはならぬものよ』と、思い知ったことでございます。『この君(雲井の雁)だけは、どうしても、(私の)望むところと致したい。東宮の御元服も、そろそろ間近になっているのに』と、密かに、思い目論んでいたところが、(今度は)このように、すでに、(例の)運の強い人(明石の方)の産んだ(源氏の君の)后候補が、また、(後から)追いすがろうとしています。(この人が、東宮に)入内なさった場合に、まして、競い合える人などおりましょうか」

 多少、内大臣は自分のグチも聴いてほしかったのかもしれません。その相手として大宮は都合が良かったでしょう。

― 「などか、さしもあらん。「この家に、さる筋の人、出で物し給はで、やむやうあらじ」と、故大臣の思ひ給ひて、女御の御事をも、居立ち急ぎ給ひしものを。おはせましかば、かくもてひがむることも、なからまし」
など、この御事にてぞ、太政おとゞを、恨めしげに思ひ聞こえ給へる。 ― (山岸徳平校注、岩波文庫)


などと(おっしゃって)、(さすがに)この事だけは、太政大臣(源氏)を、恨めしく思っていらっしゃる。

 大宮がじつは普段、実の息子である体育会系の内大臣より、義理の息子のヨン様ならぬ光源氏の方を好いているのを、あるいは内大臣は知っていたのかもしれません。この一件(弘徽殿の女御)にかんして、大宮の気持を確かめたうえで、東宮への入内について源氏との来るべきあつれきに際して、彼女の間接的な支援をもくろんでいたとも考えられるのです。
 彼と光源氏の間柄は、すでに個人的な友誼の関係を離れて、公的には対立関係にある。気軽に合って話するということはできないので、場合によっては大宮に仲介を頼む場面も想定しているのです。もっともそんな話は、以下のくだりで吹っ飛んでしまうのですが。

― つづく ―





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Last updated  2009.09.26 14:10:54
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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