サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2017.06.04
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カテゴリ: エレクトーンの日
「ウェストサイドストーリー」

 当時6万人ほどの田舎都市でも映画館は3つ(そのうち1つは成人映画専門)ほどあって、2時間ほど観ていると換気が悪くて頭が痛くなる、フィルムはバリバリで雪が走る、ドアが開くと外から厠のニオイが漂ってくるという始末で、まるっきり昭和オールウェイズの世界ですが、それでもこの神話伝説に彩られた映画の凄味は充分伝わってきました。
 で、その根本は「サウンドオブミュージック」で感知した映像と音楽の融合に加えて、ダンスとドラマの融合ということであったでしょう。この点も神話伝説を作り上げて来た、当時の映画評論家や俳優や歌手の皆さんが、口を揃えて指摘してきたことであったのですが、本編を観るまでは真には理解していなかった、あるいは(偉そうに言えば)彼らの指摘は不十分かつ不正確だったのでしょう。

 この映画の特色は、冒頭の俯瞰映像からあの有名な「 プロローグ 」に到るシーンに、ほとんど集約されていると言っていいのではないか?
 この話は以前にもしたことがありますが、R・ワイズの徹底したリアリズムへのこだわりと、ダンスを振り付けしたJ・ロビンスの厳しい求心性が、ここでは沸騰してぶつかり合い、現実から夢に夢から現実に、映像が自在に転換していくでしょう。そもそも現実に起こっている事象を、どうやって「より現実感あるいは臨調感をともなって伝えるか」というのが、リアリズムの本質であるとするならば、ダンスというのはその対極にある表現と言っていいのです。

 ダンス表現において見られる身体のポーズや動きは、現実世界に起こる事象の動きとはまったく違う。であるにもかかわらず、私たちはその時々の表現に促されて、さまざまな気分や感情の揺らぎを検知するでしょう。この場合の気分とか感情というのは、言葉や日常の映像では表現しきれないもの、コトバが発せられる前、表層に現れた現実の映像より、はるか奥から発せられている気分や感情のことを指します。人というか生き物は面白いもので、私たちは日常そうしたセンサーを、意識せずとも普通に起動させながら生きているのです。
 とはいえ、はなはだ脳化してコトバとビジュアルが蔓延した現代社会では、こうした測りきれない気分や感情は、非日常なシンボライズされた身体表現において、初めて人々の脳裏に意識されるのでしょう。
 予談ですが、先日「サワコの朝」という阿川佐和子さんのインタビュー番組に、森山未來君が出ていてなかなか面白かった。彼は俳優よりダンサーとしての履歴が長いらしく、その定見には共感するところが多い。彼によれば身体表現ならば、「虫」の気分も「ゴミ」の感情も表せてしまうということになる。まあそれはさておき、ダンス表現というものが、日常のはるか以前あるいは奥にある気分や感情を表すため、強い象徴化された姿形と動きとなるのは必然なのです。


 戦闘中の潜水艦乗員たちの切迫した気分を、映像でこれほど表現した映画はあまりない。たとえば艦長の命令をマイクや伝声管ではなく、士官や水兵がリレー式に肉声で伝えていく。実際はどうだったとかいう話ではなくて、艦内に響き渡る声の連鎖が、おのずと切迫した戦闘中の気分を作り出しているのです。「私は死にたくない」のほうでは、ガス室で処刑されていく女囚の姿を、カメラが執拗に追いかけて一歩も引かない。
 いずれも現実の事象をどう切り取って編集すれば、「より現実感あるいは臨調感をともなって伝えられるか」というリアリズムの命題をワイズ式によく表した映画だなと思ったものですが、それらは「ウェストサイドストーリー」や「サウンドオブミュージック」でも、そして後年の「砲艦サンパブロ」などでも、よりリファインされた形で出て来ましたね。





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Last updated  2017.06.05 09:59:19
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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