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2015年10月16日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「もう高座に出られない」ことは分かっていた。

たけ平さんに勧められて出かけた、2012年9月下席の
浅草演芸ホールの高座が、生涯最後の高座になるだろう…
ということも、薄々思っていた。

それでも、今日の昼過ぎに聞いた訃報に、これほどまでに
大きなショックを受けるとは思わなかった。

「ヨイショっと」「うちのセツコ」などなどのフレーズを
織り込んだ爆笑落語で、数々のラジオ番組のDJとして、
そして「メガネクリンビュー」や「エバラ焼肉のたれ」の

亡くなっていたという。

享年81。

なんというか…談志・志ん朝・圓楽・圓蔵という戦後の
東京落語の「四天王」全滅という現実を受け入れるのが
本当に辛い。

8月にここで書いたが、自分の中での「ヒーロー枠」に
入る落語家の最右翼のお一人だったから。

何度も言うが、談志・志ん朝・圓楽・圓蔵という人と
自分の中で同格なのは「ゴジラ」や「ウルトラマン」、
「ドラえもん」とかなんである!

私は、本当に大好きな師匠だった。


圓蔵師匠のおかげといっても過言ではない。

残りの85%は…談志・志ん朝のおかげとしておこう(笑)。

寄席通いを始めた当初、圓蔵師匠が出てるか出てないかで
行く寄席を決めていた節もあったくらいだからね。

圓蔵師匠が高座に出てくる前、あるいは落語を演ってる


よく聴いたネタは、トリじゃないと「道具屋」「猫と金魚」
「反対俥」「不精床」「穴どろ」「心眼」あたり。

トリだと「火焔太鼓」「寝床」「鰻の幇間」あたりか。

個人的にはだけど、やはり大師匠の黒門町のネタが
多かったし、光っていたような気がするな。

今でもありありと思い出す、アバンギャルドなギャグを
ピックアップしてみる。


『バカ野郎!今どき12チャンネルでも歌わねえような
歌ぁ歌いやがって!』」


これは「反対俥」。

初めて聞いたときに、窒息しそうになったのを思い出す。

市馬師匠が「あの『12チャン』ってのは、間違いなく
『なつかしの歌声』のことだよ」って言ってたっけ。

「そんなことだから、小朝に人気で抜かれるんだ!」

これは…「道具屋」だったか?とにかく、このフレーズは
よく使っていた印象がある。ウケるんだ、とにかく。

そういや、高座で何故かいきなり凄いこと言いだすのも、
平井の師匠のトレードマークだったなぁ。

大概が、談志師匠と毒蝮さんの悪口だったけど(笑)。

私が圓蔵師匠をよく見たのは新宿と浅草だったのだが…
覚えているのは新宿のトリのとき。

ヒザが正楽師匠で、賑やかなお囃子が流れていたら、
楽屋の中からデカい声で「あ~!コリャコリャ!!」とか
「どした!どした!」みたいな合いの手が聞こえてきて、
お客が全員「何事だよ…?」と楽屋に視線が集中して、
誰も紙切りを見てなくなったことが印象に残ってる(笑)。

あと、調子のいいときだと、ネタを決めずに高座に上がり、
客席にリクエストを取っていたっけ。

それで「反対俥!」と声がかかると「う~ん、ちょっと
疲れちゃうからなぁ…ゴメン!『猫金』でいい?」なんて
言ってからネタに入る…なんてのも、よく目撃したなぁ。

高座に出てくるときの、お客に向かって満面の笑みで
「いらっしゃい!!」と叫ぶ、もの凄いサービス精神と
江戸っ子特有の、少し照れたような笑顔を思い出す。

あの声を聞くと、無性に嬉しくなったものだ。

楽屋じゃ結構キツイ洒落もあったらしく、めんどくさい
ことも多かったと聞いたことがあるが(笑)、それでも
何となく許されていた(そうでもない?)のは、師匠の
人柄であろう。

私の生涯の誇りのひとつに、談志師匠にマンツーマンで
『談志・円鏡歌謡合戦』をやってもらった、というのが
あるが、そのときに談志師匠は何度も言っていた。

「お前な、タケちゃんは天才なんだぞ!!」 と。

達者な家元、美しい矢来町に対して、爆笑落語で本当に
一世を風靡した圓蔵師匠。今の志らく師匠・喬太郎師匠・
一之輔師匠のやるような「落語のセオリー自体をぶっ壊す
ギャグ」を開発した、圓蔵師匠の功績は物凄い。

今ごろ、あの世で先に逝かれたセツ子夫人や談志家元、
志ん朝師匠や圓楽師匠と再会しているところだろう。

きっと圓蔵師匠も、さほど寂しくないかとは思う。

でも…。

残された我々落語ファンの悲しみは、本当に深い。

あれだけ大爆笑させてもらった分、今日の訃報の悲しさは
底なし沼である。まだ涙ぐんでしまう自分がいる。

今日は『歌謡合戦』の録音を聴きながら、圓蔵師匠を
笑って偲びたい。

圓蔵師匠、長い間、本当にお疲れさまでした。
本当にありがとうございました。

心から、ご冥福をお祈りいたします。





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最終更新日  2015年10月17日 00時30分35秒
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