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開催日:2021.12.8(水) 19:00開演
場所 :坂城町文化センター 大会議室
サントミューゼの上田地域定住自立圏連携事業 岡田奏 ピアノコンサート in 坂城町へ行ってきました。
プログラム
1.モーツァルト:フランスの歌「ああ、お母さんに聞いて」による
12の変奏曲(きらきら星変奏曲)ハ長調 K.265
2.ショパン:ワルツ 第6番「小犬のワルツ」変ニ長調 作品64-1
3.リスト:パガニーニ大練習曲 第3曲「ラ・カンパネラ」嬰ト短調
4.ドビュッシー:プレリュード(前奏曲)集 第1週から「沈める寺」
5.サン=サーンス:かわいいワルツ 変ホ長調 作品104
6.サン=サーンス:6つのエチュード 第5協奏曲のフィナーレによるトッカータ 作品111-6
7.ショパン:バラード 第1番 ト短調 作品23
アンコール
8.ドビュッシー:月の光
レポート
12の変奏曲(きらきら星変奏曲)
岡田氏登場後、まずMCから入りました。今日ここへ来ることをとても楽しみにしていたことや北海道函館市出身ということもあり雪がとても好きだが、今日は降らなくて残念なこと・・・。そして10ヶ月の息子がいるので、毎日このきらきら星を聴かせていることなどを話され、とても親近感を感じることができました。そして演奏は、おなじみのきらきら星ですが、こちらはモーツァルトが作った原版ということで弱奏も強奏もあってとても音楽のバリエーションが広い感じを受けるとともに、岡田氏のダイナミックな演奏にとてもわくわくした感じを受けました。
ワルツ 第6番「小犬のワルツ」変ニ長調
ショパンのワルツではおそらく最もよく演奏されている曲なのかなと思いますが、先日の生で聴くのだめカンタービレの音楽会でも高橋氏がソリストアンコールで演奏した曲でもあったので、その弾き方の違いにも着目しました。
パガニーニ大練習曲 第3曲「ラ・カンパネラ」嬰ト短調
鐘をテーマにした曲でピアノの演奏会ではとてもよく演奏される曲ということで、それだけに演奏者の個性がより良く発揮される曲でもあるのかなと思いました。岡田氏の打音はとても力強くスケールが大きい感じがして、緩急もすごくよく効いており、輪郭がはっきりしていて、どんどん音が体に入り込んでくるような、とても心地よい感じを受けました。余談ながら、昨年のコロナ初期からの全面自粛期間が明けてやっと屋外でのコンサート第1号が開かれた7月に金子三勇士氏のラ・カンパネラを聴いて大いに感動したものですが、岡田氏のラ・カンパネラはそれに負けず劣らずのインパクトの強さを感じた次第です。
プレリュード(前奏曲)集 第1週から「沈める寺」
こちらも鐘をテーマにした楽曲ですが、ラ・カンパネラとは全く違う曲想で、感じとすれば、ラ・カンパネラが小さい鐘をたくさん鳴らす音楽だとすれば、沈める寺は大きな鐘を渾身の力を込めて鳴らす・・・そんな印象がありました。このあたり、岡田氏のダイナミックでとても力強い演奏がとても曲にあっているような気がしました。特に低音の迫力は圧倒されてしまうほどで、おなかに響くかなり深みのある演奏にこれはすごい演奏を聴かせていただいたという想いがありました。
かわいいワルツ 変ホ長調
MC等で話す時に使う脳と音楽を奏でる時に使う脳は違うというお話があり、そのメカニズムはよくわからないものの、共感できるところがありました。かわいいワルツは3分くらいの短い曲で、どこかコミカルなところがある親しみやすい感じがありました。
6つのエチュード 第5協奏曲のフィナーレによるトッカータ
岡田氏曰く超絶技巧が多い難曲で、他の曲なら弾くことで腕が痛くなるようなことは無いのに、この曲はけっこう体にきます・・・とのことでピアニスト泣かせの難曲なのかもしれませんが、負けず嫌いの性格もあいまってか、その演奏は見事なものであり、コロナ渦でなければブラボーが叫ばれていただろうなと思いました。それだけの難曲なので、演奏後はさすがに息が上がってしまったようですが、すぐに落ち着いて質問コーナーが実施されました。いつくかの質問に岡田氏が回答されましたが、改めて演奏者との距離が近いコンサートって素晴らしいと感じた次第です。
バラード 第1番 ト短調
ショパンの初期の代表的作品ですが、こちらの曲は8月20日に行われたショパン・ザ・シリーズVol.1で取り上げられた曲でもあったので、懐かしくも感じました。こちらも岡田氏のダイナミックな演奏の色が出ていて、ある意味「私はこう弾く。」というものが確立されている演奏なのかなと感じました。
月の光
ピアノコンサートのアンコール曲の定番という感がありますが、それだけに聴き手としてもアンコールでは月の光を聴きたいとの希望が少なからずあるのかもしれないと感じました。今年は月の光をけっこうな頻度で聴く機会に恵まれましたが、おそらく今年はこちらの演奏が最後になりそうなので、締めくくりの月の光を大いに楽しませていただきました。
まとめ
上田地域定住自立圏連携事業ということで、上田市に隣接する自治体の会場で行われる地域ふれあいコンサートという位置づけかなと思いました。実際のところ上田市も広いので住んでいる地域によっては、市内より隣町に生活圏があるという場合もあるのかなと思いました。
岡田奏氏については、話したいことがたくさんあります!ということで、ご自身の経歴はもちろん、10ヶ月になる息子さんのこと、ピアニストの内部事情としてまず会場入りしたら、ピアノの特性を知ることから始まり、うまくいかなければピアノが怒っているような音になってしまうなど、とてもわかりやすい表現で話していただけ、いろいろなことを学ぶことが出来ました。