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質問 冷え性の原因は何でしょうか。甲田 冷え性の一番の原因は、貧血ですわ。血液量が減るから寒さに対する抵抗力が弱まる。野菜では、モロヘイヤを食べて鉄分を補うとええ。 二番目の原因は、宿便の停滞による血管運動神経の障害。宿便がたまると脳の血管が膨張し、脳が圧迫されて神経中枢の働きが低下する。寒かったら縮み、温かくなったら膨らむという血管の運動神経の調節がうまくいかなくなるから冷える。こういう理屈ですわ。 宿便と脳の血管の関係は、昭和12(1937)年に慶応義塾大学で解剖学の教授らが実験で確かめた。1026人の死体を解剖しまして、脳にどれくらいの出血があるか調べたら、97・7%に出血があった。その中で死ぬ前に脳に出血があると分かっとった人は4.7%。つまり、残り93%の人は自分の脳に出血があることを知らずに死んでおられる。脳に出血がなかった2.3%は10歳以下の子供です。せやから、大人は多少とも出血していると考えられる。 原因を調べるために、次にウサギの大腸を取り出し、それを紐でくくって、わざと腸閉塞を起こさせたんですが、ウサギは知らん顔で食べる。食べるけれども、食べたものをみな吐き出す。でも、戻しては食べる。 死ぬ前にウサギの脳を調べると、腸を縛った側と同じ側の脳の血管が膨張して小出血があった。縛る場所を変えるとそちら側の脳の血管が膨張して出血していた。つまり、腸閉塞を起こすと脳で出血するわけや。 さらに、薬でウサギの腸の動きを止めて1週間も10日間も便が出ない状態にしたら、やっぱり出血しとる。便の詰まった腸の部分に対応する脳の血管が膨張して出血するんやな。 97・7%もの人の脳に出血があるいうことは、どこかで腸が詰まっとる。これが宿便の停滞やな。日本では脳卒中で年間14万3000人が亡くなっておられる。宿便対策をとったらええのにと思います。麻痺が残っても、宿便を取ったら足が動くようになる例が多いんですわ。 冷えの三番目の原因は、グローミュー(副血行路)の衰えですわ。氷水の中に手を入れたら、冷たいから表面の血管は縮む。すると血液は流れなくなる。しかし、脈は止まってない。血液は毛細血管が縮むと、バイパスが開いてそこを流れる。 これは東京大学の吉利内科で実験しとります。氷水を入れたバケツの中に手を入れる。手の温度は下がりますわね。ところが、しばらくすると手の温度が上がってくる。バイパスが開いて血液が流れたからですわ。 また、京都大学の生理学教室では、京都の鴨川で友禅染をさらして洗っとる職人2人の足の温度を調べた。職人Aは川の中に入る前の温度が14・5℃。川に入って17分後には6℃まで下がった。ところが、27分後には16℃に上がった。最初より高うなっとる。職人Bの足は川に入る前が15℃、15分たったら7℃に下がったが、20分後には28℃に上がった。 冷たい水によく入るんで血管が頻繁に収縮してグローミューが非常に発達する。だから、冷たい水の中でも足はポカポカ温かいんですわ。冷え性いうことはグローミューがダメになっとるんですわ。大食や大甘党、大酒飲み(アルコール)が原因ですわ。しもやけになる人は甘党が多いと思いますわ。 どうすればグローミューを鍛られるか。西式の温冷浴ですわ。温冷浴やりはったら、水の中に入りますから、いや応なしにグローミューが開く。湯に入ったらグローミューが縮んで、また水の中に入ったら開く。西式健康法を長くやっとる人は冬でも足が冷えません。 四番目はの原因は、グワニジンですな。血液中にはグワニジンいう成分があります。血液検査で測定できますわ。グアニジンが血液中に多いと、非常に寒がりになります。例えば、温冷浴の水風呂が辛いと感じる人はグアニジンが多い思うて間違いないですわ。 血液中のグワニジンが減ってきたら、温冷浴が平気になります。さらに、水風呂がとても気持ちええ思えるようになったら、グアニジンが平均値より相当減ったと言えますな。100ccの血液に0.1~0.2mgが当時の平均値です。ところが西先生が測ったら0・008mgやった。西先生は相当な健康体やった。真冬に水風呂に入っても平気ですわ。 グアニジンを少なくするには朝食抜きの1日2食ですわ。宿便も減りますな。それから水をよく飲む。水を飲むと、グアニジンがアンモニアと尿素に分解されます。水を飲まない人たちの顔色はどす黒いことが多い。水を飲まないとグアニジンが増え、寒がりになる。また、水を飲まないと便が出ませんから、宿便がたまって余計に冷える。 冷えの五番目の原因は、糖尿病ですわ。糖尿病の人は動脈硬化もありますから、血管が狭くなって血液の流れが悪うなっとる。せやから足が冷える。歩くと痛いからしまいには歩けなくなる。さらにひどくなると、ちょっとした傷から壊疽が始まって足を切断することになる。 糖尿病で詰まってきた血管をどう正常に戻すか。断食が効果的ですわ。例えば、血管の中の脂肪の塊があって血液が流れにくい。断食すると何も食べへんから、我々の体は餌を探さなあかん。そこでこの脂肪の塊を溶かして体のエネルギーにする。せやから断食が効果的なんやな。これを「マイナス栄養学」と名付けました。 今は、何々を食べると体にいいというプラスの栄養学ばかりですが、食べないことで体の不調を取り除き、病気を治す方法もあるんですわ。 しかし、重い糖尿病の人に断食は危険です。断食は軽症の間にやります。もし重症の糖尿病やったら、毛管運動をしっかりやってグローミューをつくることから始めるのがええですな。 心筋梗塞になると心臓の血管が詰まるんで、手術でバイパスをつくる。でも毛管運動すれば、手術せんでもバイパスを自力で作れる。実際、ある心筋梗塞の患者さんは、毛管運動を何十回もやったら、3ヵ月したらバイパスができとった。 冷え症の六番目の原因は、ビタミンEの欠乏です。ビタミンEは血流を良くします。ビタミンEの多い小麦胚芽や玄米、モロヘイヤなどがええですな。モロヘイヤには鉄やビタミンCも非常に多い。鉄と一緒にビタミンCをとると、鉄の吸収が非常に良くなる。カルシウムやβカロチン、ビタミンB1やB2も多い。モロヘイヤは冷え性に抜群に効きますわ。 甲状腺ホルモンの働きを高める食べ物もお薦めですな。甲状腺ホルモンが少なくなると冷える。甲状腺ホルモンを出すには、ヨウ素を補給するんですわ。つまり、海藻類を食べる。特に、海苔がお薦めですな。10月に入ったら春まで毎日、浅草海苔を6~7切れ(約1枚)くらい食べる。防寒着1枚に匹敵するほど体が温まります。昆布だと、とり過ぎの心配がありますが、浅草海苔なら安心して食べられますわ。質問 一般には肉を食べると温まると言われていますが。甲田 食事誘発性体熱産生(DIT反応)という作用によるんですわ。しかし、肉は腹の中で腐りやすいから、できるだけ食べないほうがええな。肉を食べ過ぎると、腸内でアミン類が出ますが、このアミン類が腸内細菌叢を乱すんですわ。つまり、ウェルシュ菌なんかの悪玉菌が増えるんですな。腸内細菌叢が乱れると、いろんな病気になります。アトピー性皮膚炎もそうですな。また、肉の脂肪を分解するのに胆汁酸が出ます。その胆汁酸が大腸に行くと、発ガン物質に変わるわけです。肉食が多いとガンになりやすいというのは、そういうことなんですわ。質問 鍋料理なんかは体が温まりますね。 甲田 そうですな。鍋料理はいいんですが、こんどは野菜ばかりの鍋ですと、肉の食事誘発性体熱産生を期待できないので温まりにくく、アルカリに偏ってしまいます。酸とアルカリのバランスが大切ですわ。 糖尿病やからと、健康にいい玄米と野菜を食べ始めた人がおる。確かに血糖値は下がった。ところがガンになった。なぜかというと、その人は玄米は炊いて、野菜は煮野菜ばかり食べておられた。野菜は炊けば炊くほどアルカリ性になる。偏った食事ではガンを防げないんですわ。 炊いた野菜はアルカリ性食品でも、生野菜は中性ですな。生きているものは全部、中性ですわ。せやから、玄米を食べるときでも、炊かずに粉にして生で食べるのが一番よろしい。難しいけどな。野菜も、なるべくなら生がよろしい。 炊いたご飯や煮野菜ばかり食べる人は、小魚、チリメンジャコとかの酸性食品も一緒に食べるとよろしい。 西式では、ガンになる人はアルカリ体質やと教えています。目を見て簡単に判別する方法があります。黒目が外側へ寄ってたらアルカリ体質、内側に寄っていたら酸性ですな。酸性体質の人は脳卒中とか糖尿病を、アルカリ体質の人は喘息や胃潰瘍、ガンに気いつけたいですな。質問 冷え性を根本から治すには。甲田 やっぱり、生菜食療法ですな。生野菜を食べて最初の6ヵ月は非常に冷えますな。しかし、これを続けていけば冷え性は治る。体を冷やす物を食べると、体の中で反発して、冷えに対する抵抗力が出てくるんですわ。 東洋医学の「生野菜は体を冷やす」という常識は、最初の6ヵ月間のことを言っとるんです。これは確かに正しい。けれども、すべてやない。生菜食をしばらくやったら、ほんま元気になります。そりゃもう金輪際、冷えないですわ。 質問 なぜ生菜食で冷え性が治るのですか。甲田 一つは宿便が出てしまうこと。二つ目はグローミューがしっかりできること。グローミューを作るには、コラーゲンやカルシウム、ビタミンCもいる。甘い物をたくさん食べると体温が上がって汗をかき、ビタミンCが欠乏し、カルシウムも奪われ、グローミューがつぶれてしまうと西式では教えとります。 生菜食いうても、毎朝、生野菜ジュースを飲めばええんです。ただ、食事量を減らさないと効果は少ないんですわ。
2007.09.19
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質問 温冷浴とは、どういうものですか。甲田 温冷浴は西式健康法の中でも特に人気が高いですな。水風呂とお湯の風呂を交互に入るもので、まず水の風呂に1分、次にお湯の風呂に1分と交互に繰り返し、最後に水風呂1分で締めくくる。水と湯を合計7回程度、つまり7分余りの短時間で済みます。 ただ、水風呂がないとできません。ビニール製で折りたたみ式の水風呂も売られていますが、やっぱり家に風呂を二つ作って、井戸も掘って、井戸水で水風呂できたら最高ですわ。水道水は夏はぬるくてもの足りない、冬は冷え過ぎてしんどい。井戸やったら年中18℃ほど。孫の代まで喜ばれますって、ほんまに。 シャワーでやる人もありますが、やっぱり水風呂ですな。気持ち良さが全然違います。質問 温冷浴にはどのような効果がありますか。甲田 第一に、高血圧の予防になります。温冷浴をやってない人がいきなり水に入ると、血圧がぐっと上がります。「高血圧や心臓の悪い人が水の中に入るのは危ない」と言われるのはこのためですわ。しかし、いつも温冷浴をやってると、水に入っても血圧が上がりません。 第二は、入浴後に湯冷めしない、発汗もしないこと。体温が上がらないからビタミンCも壊れへんちゅうことですわ。温冷浴は、温まってから最後に水風呂で冷やすんで、毛細血管がグーッと縮んで体温を放散しないんですな。しかし、虚弱体質の人がいきなり温冷浴やると、震えが止まらん人がおる。そんな人は水、湯、水…とやった最後のお湯を2~3分に伸ばし、最後の水を10秒に短くする。これなら震えがきません。 皆さんは、風呂に長く入ったら疲れが取れると思うとりますが、かえって疲れるんですわ。風呂に30分とか40分入ると、汗とともに塩分が出ていく。そうすると肝臓でブドウ糖を作る能力が低下するから、疲れるんですわ。だから、必ず甘いもんかビールが欲しくなる。その点、温冷浴は汗かきません。 40℃のぬるま湯でも長いこと(30~40分)入っていると、体温が2℃以上も上昇し、血液中の血小板が凝固しやすくなる。だから入浴で体温を上昇させない工夫をする必要があるわけです。 また、風呂に入って体温が上がるとビタミンCが壊れます。熱い風呂にいつまでもつかっていると汗をかいてビタミンCを失うから、歯がもろうなる。サウナで汗かいたらしっかりビタミンCをとらへんと総入れ歯になります。歯周病の一番の原因はグローミュー(毛細血管のバイパス)だと思うとります。グローミューとは、血液が毛細血管を通らないで、直接小動脈から小静脈へと抜けてしまう血管ということで、動静脈吻合枝と言いますわ。この血管は1707年にフランス人のレアリ・レアリーズが発見したもので、そのフランス人に敬意を表して西式健康法ではフランス語のグローミューという言い方をしてますが、バイパスとか副血行路、短絡路などいろいろな呼び名があります。わかりやすく説明すると、心臓から押し出された血液は、動脈を通って全身の各部へ流れていき、今度は静脈を通って心臓へ戻ってくる。心臓から出た血液は、大動脈からだんだんと細い動脈へ分かれて流れていき、ついには毛細血管という、顕微鏡で見なければわからないような細い血管の中を流れるようになります。この毛細血管を流れている間に、血液は、組織との間に酸素を放出して炭酸ガスを取り入れるというガス交換などを行って、今度は細小静脈のほうへ流れていき、細小静脈からまただんだんと太い静脈へ、さらに大静脈から心臓の右心房へと帰ってくるわけですわ。ところが、細小動脈から毛細血管へ行く手前に、動脈から直接静脈へ抜ける近道の血管がある。それがグローミューなんです。グローミューは、微小であるため、簡単に消滅し、機能不全になってしまいます。白砂糖のとり過ぎや過度な飲食、食べ過ぎなどによって機能不全になってしまいます。糖尿病になって眼底出血が起こるのも、グローミューがないから毛細血管にコブができ、それが破れて出血するんですわ。温冷浴やりはったら、皮膚表面に浮いて見える血管が消えます。グローミューができて毛細血管のコブがなくなるからですな。 第三に、肌が非常にきれいになる。皮膚は水の中に入ると縮み、湯の中では伸びる。皮膚の細かい洗濯をやっているようなもんや。水の中に入って皮膚がぐっと縮んだときに垢が落ちる。温冷浴を毎日やっていると石鹸が要らなくなるんですわ。足のかかとが冬でもツルツルになる。霜焼もできなくなりますな。 皮膚を鍛えるには乾布摩擦や冷水摩擦がええとされますが、良くないですわ。皮膚を傷つけるんですな。アトピーの患者さんには特に良くない。擦らない温冷浴は皮膚を鍛える一番合理的な方法ですわ。温冷浴でアトピーも良くなりますがな。 第四に、肌が健康になると記憶力も良くなる。グローミューは我々の潜在意識と関係があるんですわ。動物性神経(運動・知覚神経)は毛細血管に75%、グローミューに25%ある。一方、植物性神経、いわゆる自律神経は毛細血管に25%、グローミューに75%きている。グローミューがいかれると、潜在意識が全部ダメになる。人間の本当の能力は潜在意識が左右するんですわ。氷山でいえば海上に出ているほんの一角が顕在意識で、海に沈んでる本体が潜在意識。潜在意識が人間の能力を決める。つまり、グローミューを作らなあかん。グローミューが衰えている人は能力が低く、記憶力が悪いんですわ。西先生はいつも、「1回読んだ本は、2回読む必要はない」と仰ってた。本当に記憶力も頭も良くなるんですわ。グローミューがあるかは、水の中で血圧がどれだけ上がるかで分かります。 第五の効用は疲労が取れる。やってみればすぐ分かります。西式健康法の中で温冷浴が特に人気があるのは、疲労回復効果が高いからですな。血液循環が良くなるから疲労回復が早いんですわ。 第六は、体の酸とアルカリが平衡すること。水の中では交感神経が、湯の中では副交感神経が緊張する。これを交互にやると、交感神経と副交感神経のバランスがとれる。だから自律神経失調症が治る。特に、喘息のような自律神経のアンバランスで起こる症状にいい。また、温冷浴をするとおしっこがよく出るんですわ。それだけ腎臓の働きが良くなるからでしょうな。第七は風邪をひかなくなる。冬でも薄着でやっていける体になる。冷え性だからといって体を温めても、冷えないけども冷え性は治らへん。逆に、温冷浴で水に入ったら、冷えるかも分からんけれど冷え性は治るんですわ。
2007.08.24
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質問 先生は診察時に、足の故障も診ているとお聞きしましたが。甲田 足が本当に健全な人はめったにおらんです。100人おったら95人は足の故障があると思ってええほどですわ。 足の故障には、足先のモルトン氏病、足首のソーレル氏病などがあります。これらの故障が、膝の関節炎や便秘、腎臓病など、万病の元になっとると、西式では考えます。 モルトン氏病とソーレル氏病はどちらも慢性の炎症で、微熱を持っとる。だから疲れやすく、すぐにバテてしまうんですわ。それから、寝て1時間くらいすると体温が上がる。人によったら1~1.5℃くらい上がる。すると夜中に汗をかく。 いっぺん、一晩に自分がどれくらい体重が減るか調べたらええんですわ。寝る前に体重を測る。朝起きておしっこに行く前にまた体重を測る。体重が減った分だけ汗かいたわけや。50~100gくらいやったら上出来やけど、だいたい300~500gの汗をかいてるやろな。 体温が上がって汗をかくいうことは、それだけ体内でビタミンCが壊れるんですわ。昼間に野菜や果物を食べてとったビタミンCも、夜中にどんどん壊れていきます。朝起きて歯を磨いたら歯茎から出血する、リンゴを噛んだら血がつくとか、そういう人は皆、夜中にビタミンCを壊しているわけや。 ビタミンCをなんぼとったらええかいうのは、その人によって皆違う。足に故障がある人はいくらとってもダメですわ。だから、「足の故障が万病の元」と言われるわけですな。 風邪なんかでもそうです。足に故障のない人は、ウイルスが入っても風邪をひかないんですわ。足に故障のある人が真っ先に風邪をひきます。足に炎症があると、感染にも弱いんです。 だから、足に故障のある人がジョギングしたり、山登りすると、炎症がひどくなって、必ず扁桃腺を腫らすんですわ。一般には運動したほうがええと言われますけど、足に故障のある人が運動したら、ますます体を悪くする。腎機能なんかが低下するからやな。せやから、足の故障を治してから運動せなあかんわけです。質問 足に故障があると、なぜ腎機能が低下するのですか。甲田 それにはツルーエタ博士の有名な著書「腎臓の血液循環の研究」がいい参考になります。 第二次世界大戦中の1941年に、ロンドンはドイツ空軍によって猛爆撃を受けたんですが、それによって多くのビルが破壊され、その壊れたビルの石材やレンガなどの下に、長い時間、足を挟まれていた人の多くが、不思議と腎臓に故障が起きた。重症者では死亡するというケースもあったそうです。なんでそうなるのか、実験で明らかにしたのがツルーエタ博士。 どんな実験かというと、ウサギの足を止血器で縛って血流を止めたら、それが腎臓の血液循環にどう影響するかを調べる。結果は、腎皮質の血管は痙攣を起こし、極度の貧血に陥っとった。足の故障が腎機能の低下という悪影響を及ぼすことが、これで分かったわけや。 だから、足の故障があるのに、それを放っとくと、全身倦怠とかの体調不良が起こるんですな。 質問 足の故障を自分で見分けるには、どうすればいいですか。甲田 モルトン氏病は右足にある人と左足にある人があります。どちらの足がモルトンかソーレルか見分けるには、仰向けに寝て、足の傾きを見るんですわ。床からつま先が60度に開くのが正しいんやけど、人によって右足が寝て、左足が立つ場合がある。寝た方の足先がモルトン、反対側の足首がソーレルなわけや。ソーレルが起こる側の足が、少しだけ短くなっとるんですな。 これは子供のころからの歩き方とか習慣で決まるんですわ。たとえば食卓の周りを回るとき、右回りに回る人と左回りに回る人がある。内側になった足にソーレル氏病が出る。だから、意識的に反対に回る練習をせなあかんのですわ。 ほかにも、ズボンを脱ぎ着するときにどちらの足から履くかとか、あぐらをかくときの足の重ね方なんかから、どっちの足が短いか、すぐ分かりますな。質問 足に故障があると、全身にどのような影響がありますか。甲田 足の故障は上へ上へとジグザグに連鎖するんですわ。西式健康法の本を初めて読んだとき、これは本当にびっくりしました。その本に書いてあったことが、全部自分の症状に当てはまったんやから。だから「こういうことを言い当てる西勝造っていう人は、天才やな」と思ったわけです。 西先生は土木工学の出身ですよって、人間の体や健康についても力学的に見ようとしたわけですな。例えば橋にストレスがかかると、力はジグザグに伝わっていくんです。これを「キングポットの法則」いうんですわ。 この橋を縦に起こして人間の体に例えれば、足にストレスがかかると、それがジグザグに上がってくるという理屈です。右足先にモルトン氏病があると反対側の足首にソーレル氏病があって、右膝に故障がある。左側の下腹部に炎症が起こる。すると、右の肝臓、さらに左の肋間神経痛、右側の結核、左肩が五十肩、右の扁桃腺、それから左に片頭痛、という具合ですわ。実際、患者さんを診とったら、こんなふうになっとる人が多いんです。 私は子供のとき、自分では真っすぐ歩いてるつもりやのに、「男の子やのに内股で歩いてる」って言われたんです。横になったら左足の向きが60度ではなく、立ってしまっとる。こういう場合は、大腿骨が股関節にちゃんとはまっとらんのですな。少し後ろへずれて、内側にねじれとる。せやから左の脚が短い。すると骨盤も傾くから、体が水平にならん。そうすると具合が悪いから、途中で背骨が曲がって、今度は右肩が下がりますわ。 質問 どのようにすれば治りますか。甲田 これらを解消するには、骨盤の中の股関節に入ってる大腿骨のねじれを治さんとあかん。それには何がええかいうと合掌合蹠運動です。これをやったら、大腿骨が骨盤の正しい位置にはまるんですわ。 骨盤の狂いを治す理学療法もあります。整体とか。でも効果は一時的。西式では合掌合蹠で根本的に治すわけや。私が矯正するのに7年かかりました。毎日一生懸命、板の間の上でやると、足がやけどするくらい熱うなってくる。7年たったら、板が掘れとった(笑)。 足の骨が完全にできあがるのは、女性で19歳、男性で21歳といいます。つまり、それまでは足を酷使したらいかんのですわ。子供のうちからバレエや水泳なんかを猛練習したら、足首をダメにしてしまいます。 一番大事なのは、赤ん坊をあまり早く歩かせないことです。できるだけ長くはわせる。それを、早よう歩かそう思うて「はえば立て、立てば歩め」としよる。あんなんが、あかんのですわ。 それから足首に炎症を起こすようなものを食べさせないことが大切。甘いもの、アルコール、大飯食らい、この三つが足首を悪うする。糖分を過剰にとって血液中の糖分が高くなると、炎症が起きやすいんですわ。だから、足首が悪いっちゅうことは、すなわち糖分の過剰いうことになるんです。どうしても欲しがるときは、ミネラルなどが豊富な、蜂蜜や黒砂糖がええですな。質問 合掌合蹠運動とは、どんな運動ですか。甲田 平床に仰向けに寝て、両手、両足の裏を合わせ、手足を前後方向に縮めたり伸ばしたりする運動ですわ。この運動の一番の効果は、左右の骨盤の狂いを調整されるということやね。そして同時に、腰や下肢の左右にある筋肉、血管、神経の働きが整います。骨盤の狂いは、そこから上の脊椎の狂いをもたらしますわ。ですから、脊椎を正常に保つための運動になるんですな。質問 足の故障を起こさないために注意することは。甲田 足腰の筋肉を左右同じように鍛えることが大事です。 それから靴の問題がありますわな。かかとの高い靴をはく人は、必ず喉をやられるんですわ。かかとを上げるっちゅうことは重心が前に行くことですわね。この体勢は、足首に故障を起こしやすいんですわ。 せやから素足が一番ええ。少なくとも1日に1時間は素足で歩くのがええんです。それも砂の上がええ。砂の上を歩くと、足の裏の筋肉が微妙に動くんですわ。質問 足がむくむのも、足の故障と関係がありますか。甲田 むくみが起こるのは腎臓が十分に働いてないということ。一番効果的なのは朝食を抜くことですな。 なぜかっちゅうと、朝食を食べた人と朝食を抜いた人とでは、おしっこの量が違う。これは朝食を食べると血液が胃袋に集まって、腎臓の方が手薄になるんです。だから尿を濾せなくてむくむ。朝食を抜くと腎臓に血液が集まってきますから、腎臓の働きが良くなって、むくみも取れるわけですわ。 それに朝食を抜くと、足首の故障も治ります。これもおしっこがよく出るせいです。むくみが取れれば、自然と足の血液循環も良くなるいうことですわな。質問 静脈炎なども治りますか。甲田 静脈に炎症を起こしとる人も多いですな。ふくらはぎの後ろをぐっと押してみると、静脈炎のある人は痛みがあるので分かるんですわ。これは、心臓から足に送られた血液が、完全に戻れずに鬱血して、炎症しとるわけですわ。これを完全に戻すには、毛管運動と脚絆療法、それから温冷浴です。 毛管運動いうのは、血液循環を良くするのに非常に大きな効果があります。足を心臓より高い位置で振るわけやから、足の末端に滞っている血液が、みな心臓に戻るんですな。それで疲労も回復する。 脚絆療法は、1反のサラシを二つに縦に割ったものの片方を、半分に折ってつま先から太ももまでをきつく巻きつける方法です。これで脚を40CMほど高くして2時間ほど横になる。サラシで締め付けることで、皮膚表面の血管の断面積を狭くするんですな。そうすると血液の流れが速くなり、足に滞ってた血液がすっかり心臓に戻るから、静脈の炎症が治るわけですわ。
2007.07.30
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質問 手相は変えることができるのですか。甲田 普通は手相見てもらって、「自分の運命は一生かえられん」って思うけど、そうやない。悪い手相がなんぼでもええ方向に変わる。45年以上、西式健康法やってきて、手相は変えられると確信もって言えますわ。質問 診察では、患者の手のひらも診ているのですか。甲田 患者さんが診察室に入ってきはったら、声、顔色、目を見ますな。そして手を見たら、ハイ診察終わりって(笑)。 患者さんの手で一番に見るのは、手のひらの色ですわ。ピンク色、これが一番よろしい。ミカンの食べ過ぎは別ですが、黄色い人は肝臓が弱い。肝臓が弱い人は、カボチャやニンジンを食べても手が黄色くなる。そして、悲観的ですな。手が赤い人はスタミナが有り過ぎて心臓がいかれ気味。白い人は貧血。少しチアノーゼがかった紫色の人は心臓、喘息、肺気腫、そういう病気を疑いますな。 宿便が多いかどうかも手のひら見てパッと分かるんやけど、本人には言わへん。「この辺に宿便いっぱいあるがな」言うたら、そればっかり見よる。かえってノイローゼになるから、「あんたちょっと腸が弱いわ」ということにしてますわ。質問 手相と病気は関係があるのですか。甲田 手相は、猿から人間になり、手を使うようになってできたもんやけど、同じ線でも、神経の働きが鈍くなると、消えたり薄くなったりする。脊髄から出ている神経が十分に働いてないからですな。神経は手に来ているだけやなしに、いろんな内臓に行ってます。手相が完全いうことは、関連する臓器も完全に働いてるいうことですわ。 逆に、手の神経が十分に働かないと手相が貧相になる。首が右に曲がっていると右の神経が圧迫され、右の線が薄くなる。リウマチや脳卒中で手が動かなくなる人も手相は非常に悪いですな。 一般に手相は、左が過去を、右が未来を表す言いますな。確かに右の手相は変わりやすく、左は変わりにくい。左の手相は右脳に、右脳は右の宿便に関係すると思うとります。腸の右側に宿便がたまると、右側の血管が膨張する。すると右脳が圧迫され、左の運動神経が麻痺して、左の手相が悪くなる。特に右の宿便、つまり右の上行結腸の宿便は取れにくいんで、左の手相は変わりにくいということですわ。 断食して宿便が出たら、手相はいっぺんに変わりますわ。質問 西式健康法でそれが可能なのですか。甲田 本当に一番いいのは、背腹運動ですわ。首や背中の骨の狂いを取るには、木枕と板の上に寝て、金魚運動をやり、そして背腹運動をやるんですわ。背腹運動をやりはったら、背骨が全部バラバラになるんで、圧迫されてた神経が働いてくる。こうなると、手相がぐっと変わるんですな。 私は肝臓が弱くて手が黄色かった。今は、どんなに緑黄色野菜を食べても黄色くならん。でも、20年掛かりましたな。背腹運動で背骨が鳴るようになってから、手相が面白いほど変わってきました。 背腹運動を20分くらいすると、骨が動いてポキ、ポキ、ポキと鳴るんやな。いま何番の骨が動いとるかすぐ分かる。こうなるには7年かかりますわ。でも、骨が動き始めたら、あまりの気持ちよさに朝晩やるようになりますわ。とてもやめられへん。 指反らしや指回しはええ健康法なんやけど、一番の根本は、脊髄から出ている神経が圧迫されているのを治すこと。これを治さへんかったら、どないなことやっても同じでんがな。 神経の圧迫を取るんが背腹運動やから、これを抜きにして手相は変えられん。やっぱり西先生は一番の根本を言うておられると思う。質問 「手相を変えれば健康になれる」ということですか。甲田 そうです。しかしそれだけやない。手相が変わると人生が変わります、ホンマ。生活習慣だけやなしに、心の持ち方も変わる。今まで悲観的やった人が、非常に明るく楽観的になる。引っ込み思案の人が積極的になる。落ち着きのなかった人が、のんびりどっしりした性格に変わる。気力の足りへん人が、少々のことでは動じず、何くそっと頑張れるようになる。新しい運命を切り開いていけるんですわ。 これは背骨の狂いが治って脊髄神経が皆正しく機能するため、体内のホルモンバランスも変わってくるのでしょうな。 運命を変えるか、手相に描かれた通りの人生を送るか。手相に振り回されたら絶対あかん。手相を悲観することなんか決してないんや。自分の手相は自分で変えることができる。それが、西式健康法なんですわ。
2007.07.14
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お蔭様で脳梗塞になった父は療養のため福岡県久留米市の愛康内科医院に入院することになりました。7/5(木)15時過ぎに到着し、問診や入院の説明を受けた後、早速治療の一つである温冷浴を行いました。冷水と温水を1分ごとに繰り返し入浴するといういたって、簡単な方法ですが、発症から5ヶ月むくみっぱなしだった、父の左手に変化がありました。パンパンに腫れていた左手のむくみがかなり取れ、少し、しわが出ていました。また足も凄く軽くなったようで、その後のズボン、パンツの着用時には初めて左足だけで立って足を通せたと喜んでいました。それまでは床に座って足を通していたようです。この温冷浴と毛管運動で少なくとも浮腫みはだいぶ治まると思います。これから少食、断食と進んで行くと思いますが、また希望が大きく膨らんできました。温冷浴後の動画も少し撮っていますので、またアップしようと思います。次回父と会った時の変化が楽しみです。ありがとうございます。
2007.07.08
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質問 金魚運動とは、どのような運動ですか。甲田 金魚運動は、背骨のゆがみを正す効果があるので、脊髄神経や自律神経の機能が調整され、左右の神経の平衡を保つために役立ちます。便通も促進され、腸の状態も良くなり、腸の癒着がある人なんかは、これをしっかりやっていくと癒着が取れる。 それから、伸びた腸を縮める作用もあります。だから、便所から出てたら金魚運動して、便がたまって伸びていた腸を縮めていくんやな。 効果的に行うコツは、金魚運動を行う前に、まず四肢を自由に放り出して、全身の力を抜き、完全に弛緩した状態にしてから始めるとええです。質問 背腹運動とは、どのような運動ですか。甲田 背骨の狂いを治す一番の決め手やな。平床で寝て前後の狂い、金魚運動で左右の狂いを治す。背腹運動やると、前後も左右も同時に治る。そういう大きなメリットがある。それから腹の運動やるから、腸・内臓の血液循環が非常に良くなる。その次は、交感神経と副交感神経がピタッと揃うことによって、血液が本当の正常になってくる。 これはね、一生懸命に背骨を左右に振っていると、血液は酸性に傾く。つまり、背骨の両側に自律神経のうちの交感神経幹が走っています。ですから、背骨を左右に振っていると、この神経が緊張して、体内が酸性に傾くんですわ。実際、背骨を左右に振ったあとで調べると、尿は酸性に傾いています。 それと、背腹運動は、背骨が真ん中に来たときにお腹を引っ込ませ、背骨が左右に来たときにお腹をふくらせます。つまり、複式呼吸のお腹の動きをしながら行います。これを行うと、副交感神経が緊張して、血液はアルカリ性に傾くんです。 この、背骨を左右に振って交感神経、お腹の出し入れで副交感神経、酸、アルカリ、酸、アルカリを繰り返すことで、交感神経と副交感神経のバランスが整い、中性になるわけです。交感神経と副交感神経がそろうことが最も理想的な健康状態です。この自律神経の二つが平衡状態になったときに自分の想いを強く念じると、潜在意識に働きます。悟りのための早道と言ってもいいやろな。そうなると頭が非常に良くなります。しかも、叡智が生まれてくるんですな。 西式健康法は最初、この背腹運動だけやったんですわ。他の運動は後からできたわけです。一番大事な健康法は背腹運動です。5年間きっちりやったら生まれ変わったみたい健康になり、手相も変わって、運命が変わります。
2007.06.18
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質問 西式健康法の、「木枕を使って平床に寝る」とは、どういうことですか。甲田 木枕と平床で寝ると、首や背骨のゆがみが少しずつ治り、万病の予防になるんですわ。 背骨の狂いがいろいろな病気の原因になることは、昔から言われとります。例えば1834年、ロンドンの治療師のグリフィン兄弟が、背骨の狂いと病気の関係を148の症例を挙げて説明しとります。1841年にはマーシャル・ホームという人が、脊髄神経と内臓疾患の働きは密接な関係があるという本を書いています。 1874年にはドクター・スチルが、骨の狂いを治せば、どんな病気も治るというオステオパシ―(整骨療法=オステは骨、パシーは病気を治す学問の意)を発表した。一時はこれが、よう流行った。テレビなんかで十字をバッと切って悪い箇所を治す、あれですわ。 1884年にはパーマーという人が手で脊柱の異常を治して、各種の病気を治せるというた。これがカイロプラクティック(脊柱指圧療法=カイロは手、プラクティックは技・術者の意)ですわ。カイロプラクティックの治療室に行きましたら、背骨を見て、狂うとる所をその場で治すんです。 効果はあるんやけど、長年の間に狂った背骨が、その場で治るわけにはなかなかいきません。骨の周りには筋肉が硬くまとわりついとるんで、いきなり元に戻そうとすると肉離れ起こすことがある。それに、2本足で歩いとる限り、背骨は、また狂うてくる。 治療した時点では確かに元の位置に収まるけど、お金払って玄関出て10歩、20歩歩いたら、もう元の木阿弥。また明日いらっしゃい、てなこともあるわけですわ。 硬い木枕で板の上に寝るのは、お金も手間もかけずに、寝ている間に少しずつ昼間にズレた背骨の狂いを治すものですな。質問 木枕とは、どのようなものですか。甲田 半円柱形の枕です。この木枕(硬枕)をやってますと、首の骨(頚椎骨)のズレ(副脱臼)が治ってきます。重い頭を支える頚椎骨はゆがみやすく、いろんな臓器と関係してますよって、鼻、歯、耳、喉と、いろんな病気に関係するんですわ。 例えば腎臓結石。頚椎の3番と4番は副甲状腺とつながっとる。副甲状腺は血液中のカルシウムを調節しとるんですが、頚椎3番と4番が狂うと、その働きも狂うてきます。血液中にカルシウムが増え、そうなると具合が悪いから尿に逃がす。すると、尿中にカルシウムが増えて、今度はそれが結石になる。そやから、腎臓に石がたまるっちゅうことは3番と4番の頚椎骨に原因があるとも考えられるわけです。 これはまだ現代の専門家は注目してないんですわ。「副甲状腺ホルモンの機能が高まったら腎臓結石になる」いう文献はあるんですが、副甲状腺ホルモンの機能がなぜ狂うのか、それが首の骨が狂っとるからっちゅうことには、まだ気づいとらん。また3番、4番は歯の病気に関係する。ここが悪いと虫歯や歯周病にかかりやすくなるんですな。質問 木の枕では、とても痛そうですが。甲田 木枕を使うと首や頭が痛んでよう眠れへんいうのは、最初のうちだけ。1日10分でも15分でもええし、慣れるまでは木枕に2枚でも3枚でもタオルを巻いて痛くないようにしたらええ。だんだん外していって、最後はタオルなしで寝る。慣れてしもうたら、木枕でないと安眠できんようになりますよって。 木枕を当てるのは2時間半で十分ですな。朝まで木枕のままでなくてもええ。寝ている途中で外しても構わないと、西先生もいつも言うておられましたわ。昼寝をする時だけでもええ。だけども、首の狂いが治れば、何時間でもできるようになります。質問 子供も木枕をさせたほうがいいですか。甲田 子供用の木枕ちゅうのもありますが、小学6年生くらいまでは必要ないですわ。小豆枕を作ってあげるとええ。布で長い円柱形の枕をつくって小豆を詰める。小豆枕は頭を冷やすから、頭寒足熱になって非常にええ。長めに作るのは、子供は寝相が悪いからですわ。質問 平床とは、どのようなものですか。甲田 背骨の狂いを治すのが平床。平らな板の上に寝て、直立歩行で生じた脊柱の彎曲を、水平な一直線になるように矯正するんですわ。 仰向けで寝るんがええんですが、我々は悪いところを上にして寝る癖がある。例えば右のほうに結核があったら右を上にして寝る。しかし、肝臓は例外で、悪いほうを下にして寝る。一方、腎臓が悪い人はうつ伏せが多い。ところが板の上でうつ伏せに寝ると痛いし、第一熟睡ができない。だから板の上に寝ると、自然と仰向けになる。 胸毛の濃い人はすぐに板の上で寝られる。もともと健康に生まれとるからですわ。両手の指紋が巻いている人もそうです。我々の祖先が昔、木の上に住んでたころ、手が滑らんように指紋は巻いとった。それが地上に降りてくると、必要ないからと流れになってきた。指紋が全部巻いている人は体が丈夫な人が多いんや。 というても、板の上に寝ると最初は背骨や腰が痛い。少しずつ慣らすんですわ。布団を2枚敷いていたら1枚にする。慣れてきたら布団の代わりに毛布2枚にする。これにも慣れたら平床に敷布を1枚。最後は板の上に直接、裸で寝る。板は1CMはないと曲がってしもて、効果が十分出ません。薄っぺらいベニヤ板はダメですな。 畳の上に直接寝ると熱を奪われますんで、新聞紙を何枚も敷き、その上にシーツか毛布を広げて寝るとええです。質問 どうしても板の上で仰向けに寝られない人は、どうしたらいいですか。甲田 寝る前に金魚運動をしっかりやる。子供の寝相が悪いのは、寝ながら昼間の背骨の狂いを治しとるわけです。大人も15分ごとに寝相が変わります。ところが、寝る前に金魚運動をしっかりやると、寝相は悪くならないで、朝まで仰向けのまま寝られる。 背骨の周囲にはいっぱい筋肉が付いとる。木枕と平床で寝ても、そう簡単には狂うた背骨は動きません。そやから寝る前に金魚運動と背腹運動をやって筋肉をほぐし、骨がよく動く状態にしてから木枕と板で寝ると効果が早く出るんですわ。質問 腰痛症の人でも、板の上で仰向けに寝るのがいいですか。甲田 仰向けに寝ると、たいていの人が腰と床の間が浮いて体が彎曲しますな。しかし、本来は真っすぐでないとあかん。腰痛の人ほど腰と床の間に隙間がある。金魚運動をしっかりやったら、だんだん隙間がのうなってきよる。ピタッと一直線になったら、もう腰痛は治っとる。質問 金魚運動と背腹運動で背骨の狂いが治るのですか。甲田 背腹運動が一番のお薦めやな。これを3年もやると、運動を初めて10分もすれば硬くなった筋肉がほぐれてくるのが分かる。ほぐれてきたところで、ようやく骨が動き出す。いま何番目の骨が動いているかが分かるんやね。骨が動いたときの気持ちのええこというたら、何とも言われませんで。 肩や首の凝りも全部吹っ飛びます。まるで日本晴れみたいですわ。背骨の狂いを治すいうんが、こんなに気持ちええもんか分かります。私は朝と夕方、これやらんかったら気持ち悪うて話にならんですわ。 ただ、背腹運動や金魚運動をしっかりやっても、そのあとで歩くとすぐ元に戻ってしまう。だから寝る前にしっかりやって、そのあと板で寝るのがよろしい。質問 やわらかい布団のほうが気持ちよく寝られるのでは。甲田 ところが、慣れてきたら板のほうがずっと気持ちええですわ。3年やったらもうやめられません。私なんか、布団の上ではよう寝ませんで。裸で板の上に寝るほうが疲れがよく取れ、朝のスッキリした目覚めは格別やし、昼間も快適に過ごせるんですわ。質問 裸で板の上に寝たら冷えるのではないですか。甲田 逆ですわ。朝、布団で寝た後と、平床で寝た後の下の畳を触ると、布団で寝たほうの畳が温かい。布団で寝ていると体温を奪われますが、板だと体温の逃げが少ない。体温を奪われるいうことは、それだけ衰弱するということですな。 確かに、冬は板に入ったときにヒヤッとしますが、15分も経てば温まってくるんですわ。 板の上に寝ると、体の表面の静脈が収縮するので血液循環が良うなる。体表面の静脈が縮むいうことは、静脈の血液が心臓に早く帰るということです。それだけ疲れが早く取れるんや。 逆に、暖かい布団や電気毛布、あんかを入れて寝ると、血管が膨らみ、血液が心臓に帰りにくい。だから疲労物質が残る。 布団は気持ちええいうけど、実は疲労物質が取れない。板で寝たほうが血管縮んで、静脈の血液が心臓へ早く帰るから疲労物質が取れる。質問 他に、平床が布団より優れている点は?甲田 絨毯や畳には、ダニがいっぱいおる。絨毯の上に毛布を敷いて寝た場合のダニの数を仮に2万とすると、畳の上で寝はったら2000に減る、板の上やったらダニは繁殖できへんから200に減る。だから、アトピー性皮膚炎や喘息の人は板の上に寝るのがええんですわ。 上掛けは軽くし、裸で板に寝るとええ。冬に暖房を入れずに窓を開けて寝られたら合格。室温が下がるからダニは震えあがって退散します。北海道では無理やろうけど、関西以西ならできますわ。 それと、板は寝汗をかきにくく、体温の逃げも少ない。私の枕と板はちょうど50年経ちます。板は全然どうもない。1ヵ月にいっぺんくらい板を上げますけど、畳は全然どうもない。布団やったら熱と湿気で畳が腐りますが、板だと腐らない。板の上に寝ると汗もかかへんですわ。つまり、水分やビタミンCを失わないんですな。 睡眠時間が短くなるいうのも、板に寝る大きなメリットやな。昔から、お殿様は贅沢なとこで寝てたから、例えば徳川将軍の多くは短命。文化生活を求めたら健康になれない。体はゴリラのように頑健で、頭はお釈迦さんのような叡智を持つのが理想ですわ(笑)。体はゴリラやから、裸で土の上に寝るいうんが一番ええんですわ。 本当のところ、はげを治すには土の上に寝るとええです。土は、特に一酸化炭素などの毒素を吸収するんですな。砂療法いうのもあります。夏に、海岸で砂掘ってその中に頭だけ出して砂かぶせて寝る。水だけ飲んで少なくとも3時間、できれば8時間。これやったら、いっぺんに疲れ取れますわ。便通も良うなります。毒素が外に出ますやろ、だから砂から出たら、そのあとにハエがぎょうさん来ますわ。 いっぺんこの夏やってみなはれ。そらもう疲れが取れまっせ。
2007.06.18
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質問 生菜食は、どんな病気に効果がありますか。子供にもできますか。甲田 アレルギーも慢性肝炎や慢性腎炎、リウマチもきれいに治る。うちの医院にはたくさんの難病患者が来られますが、まじめに生菜食を実行した方は、例外なく効果を得ることができます。 子供の患者さんに生菜食を最初に試したのは、筋ジストロフィーですな。筋肉が萎縮して倒れてしまう病気です。今から20年くらい前、ある筋ジストロフィーの男の子が2年間生菜食やったら、今まで転んでおったのが、転ばなくなった。「筋ジストロフィーは遺伝病や、治らんはず。何で良くなるんや」って、評判になった。だから筋ジストロフィーの患者さんが、それはたくさん来られました。これが子供の生菜食のデビューですわな。 それから、C型肝炎も良くなる。慢性腎炎も軽症なら治せます。悪性リンパ腫の子供も一例ですが生菜食で治ってる。こんな小さい坊ややで。糖尿病なども1ヵ月あればとても良くなる。 ある患者さんが健康診断を受けたところ、尿糖が3+と深刻で、急いで病院で検査したら血糖値が580mg/dlもあった。それで朝晩、インスリンを1ヵ月間打ったんですな。でも、一生インスリン生活かと思ったんで、半年間に、2日断食を4回やったらしい。断食後は、見よう見まねで朝食を青汁1杯だけにしたら、580やった血糖値が朝の空腹時で120、食後で250に下がったんですな。 ところが断食のあと、食事を守れんで食べ過ぎて、また元に戻ってしもうた。そこで私のところにやって来た。それから本式の生菜食を始めました。1日2食、1食当たり青菜250g(ドロ状のジュース)、ニンジン120g(おろし)、大根100g(おろし)、山芋30g(おろし)、豆腐100g。ただし、玄米生菜食の基本メニューのうち、生玄米粉は除きます。 この食事で血糖値が毎日みるみる下がるんですわ。当初の274が、250、199、188、151、133…。7日目には127。たった1週間でみるみる下がる。こうなれば、もうしめたもんです。糖尿病も1ヵ月くらいでインスリンから離脱できるんですわ。断食を併用しなくても生菜食だけでいけます。質問 糖尿病になれば、自宅で生菜食をやればいいということですね。甲田 ただし、自宅で生菜食やるときは、あんまり極端なことをやると、腹が減って困るんですな。長続きしない。 だから、さっきのメニューに生の玄米粉を加えるといいですわ。玄米の量は1日100g。玄米を粉にして食べる。体重もあまり減らんし、力も抜けないで元気ですわ。ただし、大の男やったら、もう50gくらい玄米粉を加えたいところですわな。 ただ、玄米を加えた分、血糖値が下がるのに2ヵ月かかります。もし早いこと治すんやったら、玄米はなし。そうすればトントン拍子です。腹持ちを良くするために豆腐を1回200gまで増やしていいが、これも血糖値の下がるテンポは遅くなります。 糖尿病の生菜食では、腹が減ることをどうコントロールするかが大事なんですわ。基本は生野菜を1日1Kg食べる。それに、生のタマネギも1日1個食べる。薄くスライスして昼に半分、晩に半分。これだけで満腹になりますがな。 1ヵ月たったらインスリンが出てくる体になりますよって、以降は少々食べても血糖値が急には上がらんようになるんですよ。生菜食やれば、糖尿病で腎臓をやられても、目をやられても、軽症なら治りますよって。糖尿病だけじゃなく、いろんな病気が治ってきよる。血圧も下がる、慢性肝炎も腎炎も良くなってくる。重症筋無力症も好転します。こういう難病にかかった場合に、生菜食が切り札になるわけですな。質問 なぜ生菜食で病気が治るのですか。甲田 何もかも全部生やと、人間の自然治癒力を高めるんでしょうな。しかし、まだまだ解明できてません。なんで治るのか証明できたら、おそらくノーベル賞もんですわ。 ただし、一番重要なことは、食べ過ぎて腸に帯留している宿便が完全に出てしまうためでしょうな。人間は極端な少食を続けると非常に効率のいい、ロスのない体に変わるんですわ。生のものを食べていると、ロスが一番少ないんですな。質問 食材には、火を加えたほうが消化に良いのでは?甲田 ところが実際は、火を加えたものを食べると、体は迷惑するんですわ。人間とその祖先は3000万年も4000万年も、生のものを食べてきた。それでもって生きられるように体ができあがっている。それを、わざわざ火を加えて食べておるのが現代人ですわ。 火を加えると、蛋白質は変性するわ、脂肪は酸化するわ、ビタミンは壊れるわ、酵素も壊れるわ。そんなもんばかり体に入れるから、体は迷惑しとるんです。変性したり壊れたりしとるから、利用するために元に戻さなあかん。体はそれに相当なエネルギーを使っとる。だから、1日2000Kcalも3000Kcal食べることになる。けれど、生やったらその4分の1のカロリーで済む。質問 実際に、どのくらい少食の方がおられますか。甲田 信じられへんでしょうが、私の患者さんに、1日1杯の青汁だけで生活しとる人がおるんですわ。 その人がこの前、断食を約3ヵ月間した。水だけの断食ですよ。1週間に1回、少しだけ食べるけど、それ以外は何も食べない。80日近くして、電話で体重聞いたら、「先生、ぜんぜん減りませんのや。61Kgです」って言います年。断食に入ったときの体重が61Kgでっせ。「あんた、80日近く水断食して全然減らんのか」言うたら、「先生どないしましょか」って。「あんた、死ぬまで断食やらなあかんわ」って言いましたわ(笑)。 このご婦人は生菜食を始めた14年前は53Kgやった。1日に青汁1杯しか飲まなんでも、体重が少しずつ増えよった。これも驚きやが、ほな水断食したらどうや思うて勧めてみたけど、体重はほんの少ししか減らん。で、体は健康そのもの。これはどういうこっちゃ。現代医学ではまったく説明がつかんですわ。 ほかにもまだおるんですわ。1日500kcal以下しか食べへん人、全部で15人ですが、1日800Kcal以下だと30人に増えますな。ただし、みんな青汁か青ドロ(漉してない青汁)が基本ですわ。質問 なぜ少しの野菜だけで健康でいられるのですか。甲田 パプアニューギニアの人たちは、タロ芋とかヤム芋ばかり食べて、筋肉が隆々としておる。でも、食事中の蛋白質は1日たった19gという報告もある。 現代栄養学や医学では、蛋白質から炭水化物も脂肪も作られますが、炭水化物も脂肪も蛋白質を作れないと考えとります。だから絶対に蛋白質(必須アミノ酸)は食べなきゃいけない。でないと筋肉を作れない。これが現代医学ですわ。 蛋白質は体重1Kg当たり1g必要とされてまして、60Kgの人なら1日60g。パプアニューギニアの人は全然足らん。 どないなっとるかというと、腸に100兆いる腸内細菌が、空気中の窒素から最終的に蛋白質を合成して、それを人間が利用しておるのではと推定されとります。つまり、牛や馬は草ばかり食べていながら、巨大な肉を作っている。これと同じメカニズムなんでしょうね。 でもこれだけじゃあ、解釈がつかないですわ。なぜなら、パプアニューギニアの人たちは、蛋白質は少ないけれど、タロ芋を腹いっぱい食べる。エネルギーは1日約1500~2000Kcalほど。ところが、14年間、1日たった30Kcalや50Kcalの青汁だけで暮らしている人がいて、しかも体重が減らない。腸内細菌の問題だけでは解釈できないですわ。 このように、1日青汁1杯だけで生きてる人のように、蛋白質をほとんどとらずに、筋肉が痩せない人がおる。ご飯ばかり食べてた昔の日本人もそうでしたな。ということは、どこかで筋肉ができとるわけや。西式の理論は、これですわ。炭水化物から蛋白質を合成できると見とるわけです。「裸療法やって、温冷浴やって、生野菜食べとったら、ちゃんと筋肉ができる。炭水化物や脂肪からも、ちゃんと蛋白質ができるんや」と西先生は言うておられました。 「生野菜には窒素がないから蛋白質は作れへん」と世間から言われても、裸療法やっとったら、空気中の窒素が体内に入ってきて、それでもって蛋白質が合成されるって主張していたのが西式理論。ウソかホンマか、今のところ分からへんけどな(笑)。質問 ベジタリアンになれば、健康になれると言えますか。甲田 ベジタリアンにもいろいろあって、牛乳も卵も一切なしの完全なベジタリアンから、牛乳だけはええというもの、卵もええ、魚もええというのもありますな。しかし、生で食べるか、火を加えたものかの区別がより重要ですわ。同じベジタリアンでも、腹いっぱいのベジタリアンか、少食のベジタリアンかでも違う。ベジタリアンでも、腹いっぱい食べて、しかも加熱したものを食べるのは少し考えもんですな。生のものを腹七分、腹六分で食べる。これが一番ええです。生菜食はこのタイプのベジタリアンですわ。質問 生のものを腹六分とは、厳しいですね。甲田 生菜食は確かに厳しいですわ。たいていは続きません。私は1日1食、約750Kcalですが、1日2食から1日1食の生菜食にするまでに、20年以上かかりましたね。ほんま、険しい。 本当に病気を治したいと思うか、それでも食べたいと思うか。この天秤ですわ。たいていの方は食べたいほうに負けよる。ところがね、重病にかかると、治りたいという思いが強くなって、厳しくてもやり遂げますな。病気の軽い人はようけ失敗しよるけど、重い人はだいたい失敗しないですな。 質問 病気でない人が、健康になるために一番気をつけなければならないことはなんですか。甲田 やはり食べ物ですわ。タバコをやめるのもいい。アルコールを控えるのもいい。しかし、根本は食べ物ですわ。食べ物はきちっと決めたものを食べる。腹七分くらいなら何とかできるし、腹八分ならできますがな。 まず、夜食やつまみ食いをやめる。次に、白米やのうて、玄米食べてみませんかちゅうことですわ。玄米は炊いて食べてかまへん。その代わり、青汁を飲む。これでええと思います。1日2食でようやらん場合は、朝ご飯も食べて1日3食。昼と晩も普通に食べてええ。これだけでも、普通の人より健康で長生きできること、間違いないですわ。
2007.06.06
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質問 裸療法とは、どのようなものですか。甲田 裸療法とは、裸になって全身を空気にさらし、規定の時間がくれば毛布やドテラを着て温まる。それを繰り返し行う体操ですわ。 裸療法することによって、血液中に酸素が送り込まれ、一酸化炭素、炭酸ガスが完全に皮膚から出てくるから、血液が非常にきれいになる。便通も良くなりますね。冬でも風邪をひかないような体になってくる。そして、どんな重病人でもできる体操ですわ。質問 ビタミンCは1日にどのくらいとったらいいですか。甲田 ビタミンCの栄養所要量は1日100mgで、日本人は平均1日135mgとっとりますが、それでも足らんと思うとります。1日1~2gとらなあかん。ビタミンCは吸収が悪いので、1日3~4回に分けて飲む。1日5gも飲むと下痢しますよって、1日2gがちょうどええですわ。 柿の葉茶だとビタミンCがやや少ないので、柿の葉の煮汁がええですな。これだと100gに600~800mgのビタミンCが含まれる。日本中の家庭に柿の木が1本あれば、病は激減するはずですわ。柿の葉の若葉の天ぷらもおいしいでっせ。ビタミンCは鉄分やカルシウムの吸収を良くし、脳の機能も良くなるから、特に妊娠中はしっかりとらなあきません。これは現代医学でも証明済みですわ。 ビタミンEも天然のものを1日200mg、ビタミンCと一緒にとるとええですわ。1日1kg以上の生野菜をジュースで食べる「完全生菜食」なら、1日1000mgのビタミンCをとれるから、サプリメントは要りません。質問 ビタミンCで肌をきれいになると聞きますが。甲田 ビタミン類のうち、ビタミンA、B2、B6、Cなどが、肌をきれいにすると言うとりますな。特に、ビタミンCは肌を白くし、ビタミンEは血管を拡張させて血流を多くします。 それからシワですけれども、これは皮膚を膨張するものを食べるとええ。すなわち、青い菜っ葉ですわ。逆に皮膚を収縮させるものは肉食でんな。せやから、肉をたくさん食べる人はシワができやすく、逆に生野菜をたくさん食べている人はシワが少ない。 これはね、一つの哲学ですわな。膨張と収縮は陰陽の関係にある。すなわち、陰が膨張で、腸が収縮ということ。肉食には求心作用がある。これに対して野菜類は遠心性で、膨張作用ですわ。生菜食療法を続けていると、みんなシワが消えて非常に若返りますよ。 例えば南方の人は、野菜や果物を食べているから、案外シワが寄らないが、寒い地方に行くと肉食が多いから、シワが増えてくる。つまり、同じ高齢者でも、南方と北方ではシワが違うんです。 日本では青森や秋田の辺りは肌がきれいと言いますわな。これはやっぱり菜っ葉類のおかげです。肌をきれいにするのは、やはり野菜なんですわ。 メラニン色素の抑制にビタミンCが役立つことはよく知られていますが、青汁も効果があることを最近、カゴメが佐賀大学と共同研究で突き止めたんですわ。ニンジンや青い菜っ葉に含まれている色素のカロチノイドに、メラニン色素を抑制する効果がはっきり出たんですね。そういう点では、これから夏に向けて青汁を飲むことは、肌にとって非常に有効だということですわな。 しかし、美肌の一番の決め手は、宿便を排泄することですわ。宿便をいっぱいお腹にためておきながら、鏡の前に座って一生懸命に化粧しているのは、滑稽なことです。今の娘さん方は、たくさんそれやってますけどね(笑)。 一番手っ取り早く肌をきれいにするのは断食でっせ。10日間くらいの寒天断食か、すまし汁断食をやったら、そりゃもうイボやホクロまで取れますわ。だから、見合いする1ヵ月くらい前から断食をやっておけばいいんやな(笑)。これが厳しいというなら、1週間に1回、1日断食をやるとええですわ。一番無難なのは、朝食抜きですね。これでむくみも取れます。 むくみを治すには、朝食を抜いて腎臓を働かせなあきません。シワも同じです。肌にハリがあるということは、腎臓とか肝臓が完全に働いているということです。 なぜかというと、食事を1食抜くと、血液が胃腸に集まらないで腎臓へ来るんですね。食べてしまったら、その血液が胃腸へ行って消化のほうへ回されます。そうすると腎臓がお留守になるでしょ。お留守になるっていうことは、それだけ毒素を排泄できなくなる。そうすると、むくむんです。 今の人は朝から晩まで食べまくってますからね。「血糖値が下がるから、朝食はとったほうがええ」とか、一つ一つを細かく見たら理屈はあるけれど、大きく全体を見てたら抜けてますねん。朝食を食べると、結果的に宿便をためてしまい、それによって体がガタガタになる。朝食を食べなさいというのは、木を見て森を見ない議論ですな。 ニキビなんかも食べ物から治さなあかんですね。肉、チョコレート、甘いもんをやめたら、スッと治りますよ。 美肌を目指すうえで一番大切なのは、甘い物を控えること。甘い物は腸を荒らします。美肌のカギを握っているのは、何と言うても腸ですわ。 断食博士が語る「西式甲田療法入門」松下勝則著より
2007.05.21
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水とビタミンC質問 健康法にも、「水を1日2~3リットル飲みなさい」というのと、「なるべく水は飲むな」という二つがありますが、どちらが正しいですか。甲田 西式健康法では前者で、生理学的にはこっちが正しいんですわ。水を極端に飲まないと、やはり病気になるんです。 最近よく、寝る前に水分をとらないと心筋梗塞や脳梗塞になると言われますわな。これらが午前中に多いのは、寝てる間に血液が濃厚になるからで、血液が濃いと血管の中で固まりやすい。だから、朝起きたら必ず水を飲んで、血液をサラサラにせにゃあかん。西先生が言うておられたのは、「6時間、水もお茶も何も飲まないと、胃の粘膜が荒れてきて、積もり積もって胃潰瘍になる」ということ。水を飲まないと、いろんな障害が出てくるわけですわ。 ところが、「水を飲まない」健康法が完全に間違っているかというと、そうでもないんです。 胃下垂の人は水を多くとらないほうがいい。水を飲んだら、もたれてしまいますねん。特に、昼から夜は飲まんことです。胃の弱い方を治すには、まずいっぺん水を断たなあかん。水を飲まさないで塩をたくさんとる。つまり、胃液を作るんですな。 胃液というのは塩酸でしょうが。塩酸の材料は食塩ですわ。だから食塩をとらないと胃液が薄まる。これから夏になって胃の弱い方が出てくるのは、汗かいとるのに塩をとらんからです。 ところが、今は何でもかんでも減塩ですわ。だから胃の弱い方がどんどん増えとる。甘いものがやめられないのも、塩が足らんから。我々の血液は0.86%の塩漬けになっとるんですわ。その塩漬けでバイ菌がわかんようになっとる。食品にバイ菌がわかんようにする保存方法には、塩漬け、砂糖漬け、アルコール漬けがありますね。体もこれと同じなんですわ。 汗をかくと食塩濃度が減って、塩漬けがうまいこといきません。そしたらバイ菌がわきますわ。塩をとればええんですが、とれなかったら砂糖漬け。砂糖が欲しくなるわけです。もし砂糖がとれなかったら、今度は酒屋さんの前を素通りできなくなる。 だから、汗をかいたらすぐに塩をとる。塩をとらないと肝臓でブドウ糖を作れない。血糖値が下がってくるからすぐバテますね。それから、失われた水も補給せなあきません。 汗かいても水を飲まんと、血液中にグアニジンがだんだん増える。そうすると、顔色がどす黒くなるんです。水を極力飲ませない健康法の指導者は、たいてい顔がどす黒いですわ。 尿素とアンモニアが結びつくと、グアニジンになる。グアニジンは血液中にだいたい0.1~0.2mg/dlあるのが正常です。この10倍になったら尿毒症ですわ。汗をたくさんかく人は腎臓がうまく働かず、グアニジンがどんどん体の中にたまる。グアニジンがたまっているかどうかを判断するには、水風呂が冷たいか、汗をたくさんかくか、寒がりかの三つです。 西式では、1日2~3リットルの水をちびりちびり飲む。30分ごとに30ccですわ。でも、本当に健康になったら、いっぺんに1升でも飲めます。水をたくさん飲めない人がいっぺんに飲んだら、肝臓がまだ機能してないから、普通はすぐにおしっこに行きます。 ところが健康になったら、つるべ1杯グーッと飲んでも、1日中おしっこにあんまり行かへん。それに、いつもおしっこが透明です。おしっこに色がつくようなら不健康なんですわ。質問 飲み水は、どんな水がいいですか。甲田 水道の水はちょっと具合が悪い。だから浄水器でカルキなどを取る。コンビニで売ってるミネラルウォーターもええんですが、水道水をどこかにためて太陽石とか麦飯石とか、ミネラルが溶け出る石を入れるとよい。磁気活水機も非常においしくなりますな。 しかしね、問題があって、塩素を全部とってしまうと、その水は腐ってしまう。塩素があるために細菌がわかないんで、塩素を取った水はすぐに使わんとあかん。だから、あんまり塩素を嫌うと、かえってO-157のような食中毒がはびこるんですわ。 最近話題のアルカリイオン水は、少し疑問がありますね。胃液はpH1.5~1.7の酸性でなかったらあかんわけですが、アルカリの水を飲んだら、たちまち胃液は薄まりますわ。ピロリ菌の培養はpHが7.4、つまりアルカリですわ。O-157もそう。健全な胃なら、ピロリ菌は繁殖できないし、食中毒も起こりません。質問 水はいつ飲んでもいいですか。甲田 風呂に入る前40分と、講演のときは飲んだらあかん。講演で熱弁を振るうと、脳の血管が膨張しますわな。そこへ水飲んだら、脳卒中。講演中にぶっ倒れるのはこういうことなんですわ。また初心者は、食事中と食後3時間は、水やお茶を飲んではあきません。胃液を薄めるからですわ。味噌汁も1杯まで。お茶漬けをよく食べる人は、口内炎や口の端が切れたりしますねん。これも同じですわ。 水を飲むんやったら、空腹時がええ。私は朝起きて5合の水を飲む。1時間後に3合の水。そういうふうに、空腹時にどんどん水を飲む。私は1日に1升5合、3リットル飲みますわ。質問 お茶はどうですか。甲田 カテキンに抗酸化作用があるんでお茶が注目されていますが、緑茶は弱アルカリ性で、お茶をガブガブ飲んだら、いっぺんに胃が悪くなります。お茶飲むんやったら柿茶にしなさい。柿茶は酸性ですから。胃は酸で持ってるんで、これをアルカリにしてもうたら、やがて胃潰瘍になりますがな。アルカリばかり入れとったら、将来、潰瘍からガンになりますわ。梅干とか酢は酸性ですからええですよ。質問 柿茶は酸性なので薦めているのですね。甲田 それもありますが、一番大きな理由は、柿茶にはビタミンCが豊富に含まれているからです。 ビタミンCについて、最近はいろんな本がいっぱい出とります。一番有名なのは1970年のライス・ポーリングの『ビタミンCと風邪』。これでビタミンCといえばポーリングとなった。しかし西先生は60年も前からビタミンCを提唱されていた。西先生はやっぱり天才やったなあ。「合成のビタミンCと天然のビタミンCは別に変わらんから、こだわらんでもええ」と言う人もおりますけど、それは違います。合成のビタミンCを食べるとおしっこが直に黄色くなりますわ。ところが、天然のビタミンCは飲んでもおしっこは黄色くなりません。天然のビタミンCのほうが体にええんですわ。 1990年にうちの庭の柿の葉を調べてみたら、100g中にビタミンCが1903mgあった。そのビタミンCでお茶を作って、コップに一杯のビタミンCを測ったら、23mgあったんですわ。 それで、合成のビタミンC30mgをコップに入れ、両方にフタをして、10日経ったらビタミンCがどれだけ減ったか確かめる実験をした。10日経っても柿の葉茶はまだ20mg残ったが、合成のほうは10分の1に減ってますねん。 やっぱり合成より柿の葉茶のビタミンCのほうがええですな。しかも、合成ビタミンCは、たくさんとると蓚酸石ができるという説は一応否定されましたが、腎石や胆石とかの原因にならないとは断言できません。天然のビタミンCは蓚酸にはならんから安心ですわ。質問 ホウレン草や漢方薬などにも蓚酸が多いですが、心配ないですか。甲田 西式では、裸と着衣をくり返す「裸療法」をするんですわ。血液の中に酸素を入れてやれば、蓚酸とカルシウムは結びつかない。これを覚えておけば、蓚酸の多いもんを食べてもええんですな。続く・・・
2007.05.21
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朝食抜き質問 現代医学者は「朝食を抜くのは最も健康に悪い。朝食は1日のうちで最も大切なもの。朝食は絶対に抜いてはいけません」と繰り返し警告しています。それでも先生が朝食抜きを薦めるのはなぜですか。甲田 私自身が朝食を抜いて約50年、その間の色々な体験と、何万人という人々に朝食抜きを指導してきた経験から、絶対の自信を持って断言できるからです。 大部分の人は、「朝食を抜いてから体の調子が大変良い」と喜んでくれます。ただし時折、胃下垂症とか内臓下垂症で痩せている陰性体質の人は、朝食を抜くと午前中にひどい脱力感が現れる場合がありますから、慎重に進める必要がありますが、このような人こそ朝食抜きが必要な病人です。上手に指導すればやがて朝食抜きに慣れ、元気な陽性体質に変わってしまうんです。このような症例を数多く診てきたのでよく分かるんです。質問 脳はエネルギー源としてブドウ糖しか使わないので、夜寝ている間にブドウ糖が脳で消費され、朝、目が覚めたころには底をつき、もし朝食を抜いたら血糖値が下がり、脳へのエネルギー補給が不十分になるのでは?甲田 確かに、普通に食事をしているときに脳はブドウ糖だけを利用しますが、断食を長期間すると、体脂肪を分解したケトン体(βヒドロキシ酪酸50%、アセト酢酸10%、ブドウ糖30%)を脳はエネルギー源とします。 また、胎児や出産後の乳児期は、脳がケトン体を使っていることが京都大学薬学部の香月博志教授の研究で分かってきました。胎児の脳にケトン体(βヒドロキシ酪酸)をブドウ糖に加えたほうが、ブドウ糖だけより脳の発育がよりスムーズになり、生後間もない脳は、ブドウ糖よりβヒドロキシ酪酸を利用しやすくなっている。だからこそ、母乳中にβヒドロキシ酪酸が大量に含まれているのでしょう。 大人が朝食を抜いても、脳はケトン体も使えるので機能は低下しません。断食すれば分かるように、むしろ頭脳は冴えますがな。まったく心配ありません。 昔は、「昨日は腹いっぱい食べたけど、今日は食べ物がない」ということがざらでした。人間の体は、食べた日は食べ物を燃やし、食べない日は体脂肪をエネルギー源にすることを自然にやっておったんです。食べ物と脂肪のスイッチ切り替えができとった。ところが現代人は、朝も昼も晩もしょっちゅう食べますから、脂肪を燃やすスイッチが錆びついているんですな。質問 「朝食抜きは低体温につながり、力が出ない」という批判もありますが。甲田 確かに、朝食を抜くと体温が下がってくる傾向があります。しかし、だから元気がない、スタミナがないかというと、まったく逆です。 食後は血糖値が高くなりますが、このとき血液中の脂肪は脂肪組織に取り込まれやすい。一方、空腹時には血糖値は下がり、血中脂肪は筋肉に取り込まれやすい。スタミナとは持久力のことで、そのとき筋肉は主に脂肪をエネルギー源にする。つまり、空腹時によく働けるように人間の体はできている。朝食抜きの人は、朝食を食べている人より、肉体労働も頭脳労働もよくこなせるんですわ。それはもう、自信をもって断言できます。質問 断食をしなくても、朝食を抜くだけでも健康になれるのですか。甲田 前日の夜から翌日の昼まで食べないと、体は体脂肪を利用するほか、積極的に老廃物を排泄するようになる。半日断食を毎日繰り返すのと一緒なんですわ。 空腹になると、腸は蠕動運動を亢進させる消化ホルモンが出てくる。モチリン(Motilin)と呼ばれ、カナダのブラウン博士が1971年に発見したものです。モチリンは、ギリシャ語のMitil(運動)から名づけられたもので、腸の運動を活発にし、腸内に残っている内容物を排泄するために分泌されるものです。 腹が減ったときにグーッと鳴ることがありますが、このときモチリンの分泌が高まる。これを確かめたのが群馬大学の伊藤漸名誉教授です。モチリンによって胃腸の大掃除が行われるのです。 朝食を抜いてはいけないと信じ、空腹でないのに食べていると、胃腸で消化し切れなかった排泄内容物、すなわち宿便が腸管内に渋滞します。「毎日便通がある。便秘でもなければ、ましてや宿便なんかない」と多くの人は早合点しますが、これが大きな間違いであることが、おいおい分かってきます。 宿便を出す最良の方法は断食ですが、朝食抜きは15~16時間の半日断食なのです。1日1回、強い空腹を感じれば、胃が空っぽになり、腸の蠕動運動が俄然活発になり、宿便が徐々にとり除かれ、健康になるのです。 米ウィスコンシン大のワインドルック博士らの研究では、朝食抜きの1日2食は、酸素の消費量が13%減ると言います。その分、体を老化させる活性酸素の産出量が減るわけです。活性酸素は、臓器や組織に障害を与え、ガンや動脈硬化、老人性痴呆症などいろいろな病気を引き起こします。つまり1日2食は健康長寿法でもあります。質問 ダイエットにも効果がありますか。甲田 ダイエットにもよろしい。しかし、朝食を抜いて夜食や間食をしては意味がありません。まず、夕食を早めに食べ、寝る直前に食べることをやめ、少し空腹気味で寝る。すると熟睡でき、朝はすっきりと目覚められる。まあ、やってみれば分かりますがな。次は、つまみ食いや間食をやめる。間食は胃腸などの消化器に過剰な負担となり、栄養過剰の原因でもあります。 この二つだけでも相当な減量になりますが、次には夕食を少し減らす。夕食は家族団欒のときですから、減らすのは大変難しいですが、腹九分に減らしてみる。夕食を減らしてみると、睡眠時間が少なくて済み、疲労もすっかり取れる。そしてようやく朝食を減らしいくのです。 いきなり朝食を抜いたり、減らしたりすると、失敗することが多い。ゆっくりと体を少食に慣らしていけば、やがて朝食抜きができます。その頃には、ダイエットはいうに及ばず、健康な体になります。質問 食べないと、肌の張りがなくなったり、白髪が増えたりしないか心配です。甲田 少食になると、色つやの良い美肌になることを保証します。少食によってまず便通が良くなり、宿便が排泄される結果、体内を循環する血液も清浄になり、それが皮膚表面にも表れるためと考えられます。自分の肌が目に見えてきれいになるのに驚かれるでしょう。 白髪が黒くなったり、はげた頭に毛が生え出す現象も起きます。長年の臨床経験から、脱毛症の多くは、宿便の停滞によって起こる「腸麻痺」が腎機能に悪い影響を及ぼし、むくみやすい体質になることが原因だとにらんでいます。頭皮に触ってみてブヨブヨしている人は、むくみやすい体質です。まず宿便を排泄して腸麻痺を治し、腎機能を活発にすることが肝要です。質問 子供や妊婦の人でも、朝食を抜いたほうがいいですか。甲田 子供でも、朝食を抜いたほうが健康になれます。しかし「今日から朝飯抜きや」と言うても、根性がひねくれてしまう。だから、小学校6年生までは腹いっぱい食べさせたらいいです。本人が朝食抜きをやりたいという気持ちになるまで、強要してはあきません。「朝食抜いたら健康になる」と百万遍も聞かせておけば、いつか「それならやってみよか」と思うときがくる。 妊婦の方は朝食を抜くのがいい。お腹が出っ張ってくると、足首に負担がかかって故障が起こる。足首が故障すると、今度は腎臓が悪くなってむくむ。妊娠腎です。これを防ぐのに一番いいのが、朝食抜きですわ。朝食の変わりに青汁(生野菜ジュース)を1、2合飲むのは構いません。 朝食抜きは、1日の摂取カロリーをそれまでの3分の2に減らすという意味です。3食分を2回に分けて食べることでは決してありません。そのとき、最も重要になるのが食事の質です。ハンバーガー2個を1個に減らすという少食では、栄養不良で倒れることになります。玄米や新鮮な野菜を丸ごと食べる、大豆製品や小魚、海藻を積極的に食べるといった工夫が必要です。断食博士が語る「西式健康法」松下勝則著 より
2007.05.18
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西式健康法とは解説 故・西勝造氏(1884~1959年)が編み出した健康法。西氏は、炭鉱勤務を経てコロンビア大学に学び、当時の東京市電気局の技師となり、上野―浅草間の地下鉄敷設を担当した人物。下痢と風邪が交互に続き、17歳で結核にかかり、「20歳まで生きられない」と言われ、古今東西の医学や健康法を研究。医学、宗教、哲学、栄養学、工学など7万3000冊の文献を読破。現代医学をはじめ、漢方、鍼灸、ヨガ、カイロプラクティック、指圧、呼吸法、冷水浴、乾布摩擦など、362種の健康法を自ら試した末、よりすぐりのものを1927年(昭和2年)に西式健康法として発表した。質問 西勝造氏とは、どんな人ですか。甲田 西先生は大天才ですな。あんな人は、もうちょっと出てこないと思いますよ。1000年に1人、出るか出ないかの人やと思うとります。西先生は、連日睡眠時間3時間あまりで過ごし、東京都土木技師としての正規の職務のほかに、医学の研究や講演などの激務を平気で消化されていました。普通の人間ではとうてい真似できないことですな。また、世界各国の文献を片っぱしから読破検討され、それに独自の見解を加えて、西医学を集大成する材料にされたが、あの膨大な文献の重要な個所はすべて暗記しておられたんです。ほんまに、われわれ凡人の目から見れば、気の遠くなるような才能の持ち主でしたわ。質問 西式健康法とは、どんな健康法ですか。甲田 世の中にはいろいろな健康法がありますが、西式は、健康法の中でも最高のものだと、私は思うとります。西式は、精神的にも肉体的にも、最高のものを作っていくという壮大な目標があるんです。 精神面では悟りですわ。迷いがない。肉体面では無感だと思うとります。自分の胃や眼、あるいは鼻などがどこにあるのかまったく感じない。そんな人こそが真に健康な人です。「胃がもたれる」「眼がかすむ」「肩が凝る」「足が重い」と、無感になれない人は健康でない証拠。この最高の状態を西式健康法で実現できる。しかも、誰もが、どこでもでき、かつお金もかからない。 西式では健康になるための四大条件として、「体内の酸とアルカリの平衡を保つ」「血液循環は等速」「左右の神経は対称」「脊柱を正しく整える」があり、これに私が後から「環境の浄化」を加えました。 西式の運動は、どれも簡単です。金魚運動も毛管運動も合掌合蹠も短時間でできます。食事もややこしいことありません。青汁と玄米と豆腐だけで十分です。西式では「朝食抜きの1日2食」が基本です。そのほかは水か柿茶だけ。簡単なもんです。あとはお風呂で温冷浴をし、寝るときには半円柱形の木枕を使って平床に寝る。たったこれだけ。何も難しいことありません。断食博士が語る「西式健康法」松下勝則著 より
2007.05.17
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