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札幌滞在最終日、私は母が入院している病院に行き、あれこれといろいろ話しをしました。私はその時どうしても尋ねたいことがあったのです。それは、母は私にどういう期待をしていたのかということ。つまり、どういう子供になってもらいたかったのか、ということ。


人間関係とは、「期待」し合う関係です。自分の期待に叶う人を「好き」と感じ、自分の期待に叶わない相手を「嫌い、うっとおしい」と感じます。


例えば、自分がたくさん話しているときに、テンポよくうなづいてほしいと期待しやすい人は、そうしてくれる人を好きと感じ、そうしてくれない人を苦手と感じます。


しかし、ここが人間関係の面白いところですが、それならば相手に「ここではうなづいてほしい」と、自分の期待を明確に伝えているかというと、必ずしもそうでもなく、言わないでいて自分の心のなかで不満を言っていることが多いように感じます。


私もそうだったのです。とくに母に対して。母は私をわかってくれない・・・と。


それで母は私にどういう子供になって欲しかったのかを尋ねました。
「母さんが、俺の小さい時に期待していたことはなに?」


するとこう言いました。
「そうだねえ。やっぱり私のうちは父が官僚だったし官僚といえば北海道では北海道大学に行くのが一番のコースだったので、そういうことを望んだかもしれないね」


ああやっぱり、と思いました(笑)。なんとなく品行方正にして成績もよくないといけない、と感じていたのはそういう母の期待を読み取っていたからなんだ。


私は言いました。「俺はさ、おれの存在をありのままに認めて欲しかったんだよ。俺は本来、いい加減な人間で受験勉強なんて好きでもなかった。もっと自由に生きたい人間なんだ」


そのときふっと思いました。母の期待はもう一つ大きなものがあった、と。


「俺が小学校1年から3年まで、おやじはマレーシアに単身赴任していただろう。その時、母さんは俺に頼らせて欲しかったんじゃないの? 父さんがいなかったから心細くて・・・」


「ああ、それはあったね。なんせ女でひとりですべてをやらなければならなかったからねえ」


思ったのです。私が今の人生で非常に時々重い感覚を感じるのは、子供の時、子供ながらに母を背負わなければならない、と思っていたからだ。母の期待に応えなければならないと思っていたからだ、と。


お互いに「期待」することがずれていたのです。そして、私は母の期待に応えようとめちゃくちゃ無理していた。


その誤解が双方で溶けたとき、なんとも言えずに心が晴れ晴れとしたのです。
お互いの期待は期待として、かならずしも期待どおりに応えられるわけではないのだ、と、わかったのです。


親子でこういう話ができるととっても心が軽くなりますね。






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Last updated  2011.01.06 10:31:48
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